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最前線  作者: TF


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アフターストーリー 10

「ここでは、様はいらん」

小さく首を振られた青年は、ああっと頷いてから

「父さんはどうする?何しに来たの?」

フランクに接する辺り?二人の関係性がわしの思っているモノとは違うのやもしれんな?

おや?存外、こやつは子供をしっかりと見ていたのか?

「…いきたい場所があってな」

遠い遠い場所を見るように顔を上げる、その先が何処なのか伝わってくる

予想はしておったが、あそこに向かうのか…今の時代であれば馬も踏み入れることが出来るからの

「あ、そっか、まだ行った事なかった?はず?でしたよね?」

「ああ、行く勇気がわたし…俺には無かった、恥ずかしながらここにくるのに7年も…いや違うか、何十年もかかってしまった」

懺悔のような言葉に耳を疑ってしまう

何に対して悔いておるのじゃ?あの王都もこの街も大変だった時に手を貸さなかったことかのう?

だとしてもじゃけどな?賢いこやつであればわかっておろう?


お前が一人いたところで何も変わらんかったと思うが?


武としての力量も無く、脳が優れているわけでも無し、こやつの領地から支援物資は届けられていたのは知っとる、それで充分ではないか?何を悔いておる?


お前が居たところで何も結果は変わらない、それがわからないほど、こいつは馬鹿じゃない

強かで心が強く…いや、我が強いのを知っている。


だからこそ、こやつは王都の貴族達とは馴染める様子がなかったからのぅ

うむうむ、少々、昔の評価を思い出せれたい。こいつは若い頃は尖がっておったっという噂を聞いておったわ。


わしが知っとるこやつは昔ながらの貴族と何ら変わらず何処か野心を秘めて傲慢で利己的じゃった。

そんなこやつがこの街に来てからどういう動きをするのか、静かに見守っていると

「ここは、いい場所か?」

切なそうな声で家柄から切り捨てた息子に語り掛けるとは…貴族として教育しといて外に放り出されるのがどういう意味が分かっていない筈がなかろうて、なんちゅう…人の心が無いんか?

「ここ?」

恐らく…こやつ、姫ちゃんにしたことを悔いておるのか?だとしたら…

違うじゃろ…本当に聴きたい相手でもないのにその質問をするのは卑怯じゃろうて

己が救われたいがための代替品として息子を利用するのなら…


わしはこいつが姫ちゃんの父であったとしても今後の付き合い方を考えさせてもらおうかの。


どの様な返答があろうと、わしは弟君を守ってやるぞ

姫ちゃんと同じように守ってやろうと心を固め答えを待つと

「俺はここに来るのが夢だったから、いい場所さ」

責めるような事はなく、彼自らが望んだという答えに、彼の優しさを感じた。


…落としどころがうまいのぅ、自ら出向いたことにして家から放り出されたことに対して親として責任を感じることは無いと、優しい子じゃのう、姫ちゃんもそうじゃった。

「そ、そうか…そう、か…」

噛み締めるようにしとるが…まぁええわい、目の前にいる息子に関しては許してやろう。


じゃがな、重ねるでないぞ?

お前がこの街に捨てるように置いてきた若き娘…あの子と違ってな、時代が変わっておる。


目の前にいる息子がなこの街に来た時は姫ちゃんの名声が轟いていた後じゃ

死の街という評価から全ての貴族から脱しようとしている最中じゃった。

ああ、そう、そうか!弟君の言葉の意味がわかったぞ!

姫ちゃんの威光に憧れを抱きやってきたっ、そういう流れって、ことに弟君はしたいのじゃろう?

そうすれば、家を放り出されたのではなく、自ら憧れてこの街にやってきたことにしやすいからの!


きっと、弟君のやつは、家から出るように促されてしまったが、行く当てがなく、何処に行こうかと悩んでいる時に、過去に家から追い出された姉がこの街で奮闘していたのを思い出した、自分も行き場が無い、もしかしたら、同じような目にあった姉であればこんな自分でも受け入れてくれると一縷の望み、希望を抱いてきた!って、ところじゃろ?


だがな、姫ちゃんは違う…彼女は、な…あの子が生きた時代は…


この街はまごう事なき、死の街だった

シヨウのやつが変えようと努力をしていたが

根本は何も変わっておらんかった


まだまだ未熟な幼子が生きていけるような優しい世界ではなかった


そう

お前は…姫ちゃんをこの街…死が間近にありすぎる街に捨てたのじゃからな

死ぬしかない過酷な環境に娘を置いてきた、貴族であるお前がこの街がどの様に扱われ、どのように思われているのか知らないわけが無かろうて…


姫ちゃんに会うてから、このわしが姫ちゃんの事を調べてないと思うてか?


幼き頃の姫ちゃんは、貴族達が集まる社交界にもなじめず、独りでいることが多かったと調べがついておる。

そもそも、あの風貌で、母が誰なのか貴族であれば察しが付く、それなのにお前は大した橋渡しもせず、姫ちゃんが自分の力で社交界に馴染むと思ったのじゃろうな、無茶が過ぎる。

そもそも、お前が管理する領地こそが白き特異な能力に目覚める白きモノが産まれ落ちる大地だと有名だからな、それを知らない貴族がいるわけがない。

白き運命を背負った子であると一目見て察するわ!!

それだというのにお前は何も姫ちゃんにしてやらんかったとお前と古くから交流のある貴族から証言を得ているからな!


記憶というのはきっかけがあれば溢れ出るように流れるように連鎖的に思い出してくるの!

そうじゃったそうじゃった!こやつが幼き姫ちゃんにした許しがたい行為の数々を思い出してきたわい!


こやつからすれば姫ちゃんという駒は、貴族としての責務、家との繋がりを強固にするための駒としての使い道がなかった、鼻から見捨てるつもりでいたんじゃなかろうかっと勘ぐってしまうのも致し方あるまい?


こやつは…姫ちゃんという存在を持て余していた


伝承通り、いや、姫ちゃんの母親が辿った通り、残り僅かな道しか歩むことが出来ない我が子


望んで手に入れたわけでもない訳ありの妻

その妻との間に子が出来、残していった…それが何を意味するのかわからないこやつではなかろうが?

教会として失ってしまった長く永く存続させようとやっきになっていたが途切れてしまった聖女、その正当な血筋


火種になりかねない白き運命を継いだ子

それが姫ちゃんじゃ


お前たちが起した全てを知っている人物は貴族の中にも無論いる。

あの出来事がきっかけで、数多くの人が死んだからの、今でも忌むべき事件だと指を刺すやつもいる。


王家としても教会の力を削ぎたかったからという思惑もあったからの。

あの時代は教会と王家との間柄は一言で言えば一瞬即発じゃった。

なにせ、教会の一部では聖女信仰ではなく始祖様信仰でもなく、悪魔信仰をしている疑いが教会にはあったからのぅ、あの当時は殺伐としておったからな。


今になって冷静に思い返してみると…それも王族や教会の力を削ぎたかった貴族達の策略謀略だったのかもしれんがな、そうでもして聖女信仰を消していきたかったがゆえにな…


姫ちゃんの母もまた、抹殺対象ではあったからのぅ…

その話を聞いて、わしも直接関与はしとらんが軽く手助けはしてやったのを思い出したわい。

恐らくじゃが、頼まれたアレが、そう、じゃよな?…古い記憶すぎて朧気じゃわい。


正統なる血筋という激物を引き取ったのは野心なのではないかと、東の領主は王に矛を向けるのではないかとな、貴族の間ではお前の事をそう囁かれておったな。


わしも、当時はその意見に関しては否定することが出来んかった

あの当時を知る者としてな、っま、わしも教会にいる聖女達の扱いに不満を覚えておったからな、殺すのはおかしいじゃろと思うてな、あれがそうであれば、少々手を貸してやったからな!共犯といえば共犯者じゃな!わしがいたからこそ、姫ちゃんはこの世に生を受けたんじゃ!っと、誇るべきなのだろうかの…


っふ、そんなのを小耳に挟んだのを思い出してしもうたわい。


時は流れ、その忘れ形見が王の座を奪おうとしてきたのじゃからな…

殺そうと判断するのも致し方あるまいな、わしには息子の一件で王には恩義があるが為に、頷いてしまったあの時のわしを永遠に許すことが出来ない。

じゃがな…あの出来事があるからこそ、わしは王族からいや、王城にいる多くの貴族共から小娘ひとり殺せぬ腑抜けものっという烙印を押され、王家から解放される流れになったんじゃよ。


そうそう、そうじゃったな。

うむうむ、思い出してきたぞ


それからじゃな、わしも自由となり王族のこと以外にも意識を向けれるようになってな、ふと、気になってしもうたんじゃよ。


姫ちゃんの父親との関係性ってやつをな。


何がきっかけじゃったかの?どのタイミングかどの日なのか忘れてしもうたが。

ふと、何かの話の流れで、これは聞いても良さそうな気がしての、姫ちゃんに実の父親の事について、その、触れてはいかんと思っていても質問してしまったんじゃよ


「お父様にっていうかね、貴族の家からいらない人物として死の街に捨てたようにさ、当時は見られちゃったよね。ってのはさ、うん、否定しようがなく、まごう事なき事実だけどさ~、それ勘違いだからね?お父様は私をここに捨てに来たんじゃないよ?ここに私が来たのは、自分の意思だよ?私が来たかったの、私がね自分で望んでだよ?別に私に使い道がないとか養う余裕がないとか、そういうのじゃないからね?お父様は悪くないよ?お父様もさ、私が…その、ほら?お爺ちゃんなら知ってるでしょ?私達ってさ、その、長くないじゃん?だから、お父様はこんな私を不憫におもって最後くらい好きにさせたかったんだと思う、よ?たぶん?だけどね?お父様に確認したわけじゃないから、にへへ、ちょっと自信ないけどね」


皆が思っていた内容と真相は違ったわけでな。

ああ、そうじゃ、この言葉が無ければわしにとってもお主は最低最悪の将来性を見ることが出来なかった虚けであり救いがたし父親っと、なっていたわけじゃ


姫ちゃんの言葉が無ければ、初手の段階で同席何ぞせんかったわい

あの時にわしの中に巣くっていたこいつへの言われなき負の感情が消えたんじゃったな。


そして、この街に到着し見届け続けていて、わかったわい。

この情けない後姿を見て、確信したわい


こいつはこいつなりにずっと姫ちゃんの事を案じておったのじゃな


どんな状況でも悔いており償おうと救いを求めている時点でこいつは、ずっと悩み苦しんでいたことになる。

悪意が当時にあるのかどうかよりも、今どう思っているのが大事、じゃよな?

なれば、聖母のお義父様として導いてやるとするかの



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