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最前線  作者: TF


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アフターストーリー 8

思いがけない提案だったからなのか物凄く驚いた顔をしおって

お主の服装で娘ちゃんにおうたら、娘ちゃんが仕事モードにはいるじゃろて

こちとらせっかくのOFFなのじゃから緊張した娘ちゃんと一緒にいるのは肩が凝って敵わん、娘ちゃんもわしの傍にいる間くらい父と思うてリラックスして欲しいのじゃよ、わしとしてはな

「そうと決まればじゃ」

馬車の窓を開けて従者にこの先にある服飾屋に寄るように指示をだすと会話が聞こえていたのか小さく笑っているかのような声で返事を返してくる

冷たい風が滑り込もうとする窓を閉めて

「ほれ、従者も同じ気持ちみたいじゃな、お主、さては周りの意見を聞かずに突っぱねたであろう?」

「…」

図星だったのか、何も言わずに視線を下げてくる。

こういうところが嫌われてしまった要因なんじゃ無かろうか?


少々見えてしまったこやつのダメなところ

叱ってくれる人が長い間、不在だったのであろうな

領主としてそういった部分に気を配ってくれる良き従者を見つけれなかったのがお主の運が悪かったのじゃろうな


ふむ、かといっても、それは非情すぎるか?

こやつの背景を考えればこうなってしまうのも致し方ないっと一考する部分もあるかの。

深くは追及せぬように気を付けてやるとするか。


初手でぶつけられた不躾な内容に困惑しておるのか、目の前にいる奴は何も口を開こうとしない、わしも今の状態で口開くと傷口を抉り倒してしまうと判断し口を閉じる


その結果、会話で楽しませると言っておきながら会話が途切れてしまう。

馬車の中では無言の老骨二人、何も会話が成されず無言で馬車が進んでいく。


会話の種を探すように馬車の中で座っていると、この馬車がとても素晴らしいのだと伝わってくる。

家紋などは外しておるが中身は超一級品じゃな、これ、もしやすると、姫ちゃんが昔愛用しとった馬車じゃ無かろうか?何一つ、そう、水面すら揺れないであろう、そう感じてしまうほどに馬車が揺れないようにクッションが効いておる。

それだけじゃないの、中の装飾も目が走らないようにと全体的に調和がとれていて、なによりも品がある。

窓のフレーム、椅子の形、ドアノブ、そのような細部に至っても拘り抜かれておる…美だけじゃないの、窓もそうじゃ、外の音をある程度遮断する様に創意工夫が施されておる。

椅子から素材まで全てに置いて拘り抜いておる、うむ、全てに置いて快適じゃのぅ、王を乗せても問題ないわい…


この様な極上の品に乗せられているだけっというのもな…つまらんな、やはり何か会話で楽しませてやらんとな。

このまま無言で進むのもつまらぬと考え何かきっかけが欲しいと視線を彷徨わせ話題の種を探しているが特に見当たらないなっという結論に到達してしまいどうしようかと悩みそうになった瞬間、良きタイミングで従者が窓を開けて目的のお店に到着しましたと声を掛けてくれる。


馬車が止まりドアが開かれても…目の前の太った老骨は動こうとしない。

下りるぞと言っても動こうとしない。

土壇場になっても嫌がる重たい体を腕で引きあげ馬車から引っ張り降ろし、店の前に立つがそれでも中に入ろうとしない大バカ者を蹴飛ばして店の中へと放り込む。


騒がしくしてすまないなと店員に申し訳ない気持ちを抱えてしまうと、ちょうどカウンターに店員が居て一部始終を見ていたのか、目がおうてしまう。

すまぬなっと気持ちを込めて頭を小さく下げると苦笑しながらも受け入れてくれた。


この店はの、実は少々前から馴染みがある店でな、よく贔屓にさせてもろうておる、わしにはもう服をこさえてくれる人がいなくなってしもうたからな。

それはさておいてな、王都の店ではなくこの店を贔屓にする理由は単純じゃよ、この店が扱っとる商品がわし好みじゃからじゃよ、何せあの姫ちゃんの意思を受け継ぎ、あの衣服へのこだわりが強すぎる姫ちゃんが自身が欲しいと残した様々な衣服のアイデアが詰まったデッサン本という目録が姫ちゃんから受け継いでおる。

この店は、彼女が求めていた衣服を作ること、その一点のみに重きを置いておるがゆえにな!王都には無い素晴らしいデザインの衣服が揃っておるのじゃ!


じゃからこそ!わしが求めておる服がある!

信じておったんじゃよ!まだ在庫が残っておってよかったわい!!


懸念点があるとすれば…比較的王都に住まう多くが痩せておるからの、こやつのような体じゃとなぁ…

店員とは古くからの付き合いじゃからな、わしが何を探しているのかいわなくても通じてくれておる

アロハシャツのコーナーに案内してくれる

どれどれ?

陳列棚に置かれている棚へと視線を向けると

お!やるのぅ

こやつにも適したサイズがあるのかっという杞憂をしておったが、しっかりと大中小と、いや、それ以上の様々なサイズが用意されている。

流石は姫ちゃんの意思を継ぎし店じゃわい!柄も豊富じゃしサイズも小さな子供用まであるの!


流れるように上下セットを見繕い手早く支払いを済ませ

わしと同じナウでヤングにバカウケファッションを見繕い渡そうとすると、プレゼントを断ろうとするので睨みつけながら押し付けて渡してやったわ。


勿論!あの体格とはいえ薄着になるからの寒さ対策もバッチリじゃよ!


プレゼントした内容はな、わしと同じく寒さ対策のインナー、色はわしと同じ黒ではなく少し青みがかかっているがの、まぁインナーじゃ何色でもええじゃろ。

アロハシャツの柄は花は嫌じゃというので南国に生えるという木をあしらった柄にしておる。

ハーフパンツ?っというのか?これも嫌じゃと抵抗しおったので、チノパンっというやつか?それの大きめのサイズで頷きおったわ。

靴に関しては歩くことを想定してそのままじゃが…

目の前のこやつの全体像を見て納得したわい。

姫ちゃんが言っておった言葉での、今一つ理解できなかった言葉がある。

『ファッションは靴から!!これ大事だからね!』っという言葉がな、この瞬間まで今一つ理解できなんだが、ようやっと理解できたわい。


武骨な金属があしらわれた靴と、このファッションだと調和が取れん

幸いにしてチノパンっというやつで靴の多くが見えにくく隠れているが…動くと時折覗かせきよる武骨で黒く光沢のある靴先が、全体の調和を乱しておる、ふむ、靴もまたファッションとはこういうことか。

こうやって実体験してみて理解できるとはな、まだまだ、知らない世界があるということか。


元々着ていた服を従者に渡し馬車に乗り込むと落ち着かないのか周囲を恥ずかしそうに見回している姿に

「初めて舞踏会にいく初心な女子かお主は」

つい冷たく言い放つと恥ずかしそうな顔でそっぽを向かれてしまう

こやつ…意外とからかいがいがあるの?

湧き上がる悪戯心を宥めつつ、親睦を深めようと声を掛ける

「普段からあのような堅物が好む服装をしているのか?」

「はい、それがわた…俺の役目でありますから」

不服そうに返事を返しおって、お主も良い年齢なのじゃからもっと柔軟になればよいものを

「外交に出るのであれば正しいが、普段からその様な恰好では休まらぬであろう?」

「やすまらない?」

不思議そうな顔をしおってからに、こやつあれか?姫ちゃんと違って真面目すぎるのか?

っとなると、姫ちゃんはお母様似っというわけ、かの?

「真面目で勤勉なのを美徳と捉えるのも重々承知じゃ、わかるぞ?真面目というのは素晴らしきことじゃがな、それは仕事をする時だけで良かろうて、仕事以外でも前に立つものが常に気を張りすぎていては後ろにいる者達が休みたくても休めないじゃろ?」

貴族として常に正しく在れっという言葉があるが、わしにとってはの、その言葉が呪いのようにしか受け取れんかったわい

「はぁ…」

返ってきた反応に一気に目の前の人物から興味が失せてしまいそうになる。

こやつもまた、その呪いに取りつかれ価値観が固まってしまった愚物と言ったところか、あの姫ちゃんの父親であるというのに情けないのう。


返ってきた反応に呆れて言葉がつまってしまう。


「仕事の時間であれば厳しくするのも当然ではある、だがな、誰だってそうじゃぞ?王でもそうじゃぞ?気を抜いてもいい時がある。そのときくらい心も体も休めれる格好をするのもメリハリがきいてな、気持ちの切り替えにもつながる。張り詰めてばかりでは見落とすこともある、休むということは人生のおいて大事なんじゃぞ?その、うん、だいじ、じゃぞ?」

目の前の人物がただの愚物であると感じてしまったからか、段々と注意するのも助言するのも馬鹿らしくなってしまい、最後の方は、尻すぼみのように会話を終わらせようとしてしまう。

「助言痛み入ります」

此方の毒にも薬にもならぬような助言を受けた愚物は年上の助言を受けたのだという部分だけで不服そうに頭を下げてくる。


不服そうに頭を下げおって、ったく、普段から考え過ぎじゃないのか?

熱が籠るから頭を冷やす為に必要に迫られて薄くなるんじゃ、おお、眩しくてかなわんわ


姫ちゃんの父親であり、あの腐りかけていた、いや、邪教へと染まろうとしていた教会相手に堂々と相手取ったっという他の貴族にはない肩書を有しておると言うのに、所詮は愚物であったか?

その肩書に、わしが期待し過ぎてしまったのかもしれんのぅ…この程度の愚物であれば暇つぶしにもなりゃせんか。


目の前にいる人物が大切な人その父親であるというフィルターすらも外れてしまったのか、完全に興味が無くなってしまい、何かをしようとも思えなくなってしまった。

故に、その後は何も会話が無く、静かに馬車が進んでいく…すまんな、初手の約束は無しとさせてもらおうか、楽しませる話題が思い浮かばんわ。


相手に興味が無くなったとしても一連の流れで反省するべき点があるではないかと感じてしまい、思い返す。

街につくまでの道中、振り返り反省を行う。


反省の末、出てきた答えがある。

要らぬことを口走ってしまったな


人生とは幾度も反省を繰り返し己を見つめなおすこと成。

それがわしの…何時だって肝心な時に置いて行かれてきたわしが繰り返してしまい続けている風習じゃ。

何処が間違っていたのかと、今度はそうならないようにするにはどうしたら良いのか、何度も何度も反省を繰り返しわしが望む結果へと辿り着くために足掻き続け、この歳になってようやく得られた教訓じゃからのぅ…



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