アフターストーリー 3
子供達をどう育てるのか!っていう問題が出てきたのよ!
幹部会でこの街に流れ着いてきた子供達に何をさせたらいいのか、何を学ばせたらいいのか、答えなんて直ぐに出てこなかったわね~。
思い出してきたわね、当時の混乱っぷりを…
最初のうちは流れ着いた人達の一部の人達が話す言葉がわからなかったのよねぇ~…
どうやって意思疎通するのか悩んでいる時に助け舟を出してくれたのが、彼ら耳が長い一族の人達だったのよね。
彼らは様々な世界を旅してきたからこそ多くの言語を理解されている。
それだけじゃなく、私達が知らない、見たことも聞いたことも無い多くの種族の方とも面識があり、彼らの生活や仕来り風習と言った深い内容まで熟知していらっしゃった、お陰様で凄く頼りにさせてもらったわね。
今となっては、耳の長い人達が奮闘してくれたおかげで、この街に流れ着いてくれた人達もこの大陸にある言葉を理解し覚え、話せるようになったのよね。
お互いを尊重するように、私達の考えに対しても理解を深めてくれて歩み寄ってくれている。
ほんっと、しみじみとしちゃうのよ、その大きな役割をしてくれたのが彼らだから彼らが居なかったら現場はもっと混乱の極みだったでしょうね、過去を振り返ると…いえ、今も頼りっきり、じゃないの、情けないことにね。
改めて考えると、彼らには申し訳ないくらい頼ってしまっているわね。
今度、彼らに何か欲しいモノや改善して欲しいものが無いか確認するべきよね~っと、次の議題を考えながら、空いている洗濯魔道具を見つけたので洗濯物を放り込み、洗剤などをセットして魔石と洗濯用魔道具を繋ぐための魔道具に魔力を注ぐと洗濯用魔道具が動き出す、偶に壊れているからちゃんと動き出すのを確認しないと後で馬鹿を見ることになるのよね。
さて、洗濯が終わる時間はっと…壁にかけられている時計を見て今後の予定をどうするのか構築していると
「No2…おっと、ラジさんもお洗濯?他にやることがあるなら後は私がしておくわよー?」
昔なじみの声が背中を叩くので振り返ると、古くから医療班に所属しているお酒大好きな彼女が小さく挨拶をするように手を振ってくれている
彼女の気さくな心遣いに
「それじゃお願いするわね、フロウ、何時ものように洗濯が終わったら家の前に届けてもらってもいいかしら?」
医療班団長出会った頃みたいに、彼女へとお願いする、この先に待っている提案も織り込み済みでね。
「いいのよ、遠慮しないで、届けるだけじゃなく、ちゃ~んと貴方達の洗濯物を干して置いてあげるわよ~、気にしなくても良いのよ~私達、医療班なんてね、当時に比べたら仕事が殆ど無いんだから」
そんな風に言うけれどね、医療班としての仕事がまったくないわけ何てね、そんなこと無いのよ。
忙しい私の為に気を使ってくれているのね!ってね、素直に受け取りたいけれど、何時もの流れ、お目当てがあるのでしょう?
こういうところが!姫ちゃんに悪影響を及ぼしていたんじゃないかって今になってわかってきた気がするのよね!
何てね、あの子もまた貴族としての教養を受けていたのだから彼女たちの強かな部分を見てきたからっていう彼女達との関係性からの影響はないでしょうね。
そして、貴族としての教養を受けてきた側室として生きる一族として学んできた狡賢い私もまた、甘えれるところは甘えさせてもらうわよ?
彼女が提案する内容も織り込み済みで甘えているんだから。
その程度の口利き程度ならね、容易い事ですし、何よりも、何時もの事ですし~。
「だからね、何時も通りお願いよ?また新しいお酒が出来たら、ちっこい奴らよりも先に、いの一番に教えてくれればね」
年甲斐もなく片目を瞑ってウィンクしてくるお酒好きのどうしようもない女性に、何時までも若いと思ってんじゃないわよー?っという言葉が思い浮かんだが決して喉から出してはいけない、何故ならその言葉は私にも刺さるからよ!
はぁ、気が付けばお互い歳を重ね過ぎたわね…
そして!予想通りね、何時ものようにこの街を代表する私が持つ特権を乱用させようとしてくるのだから、普段は大人しく、はい!しか言わない彼女がこうも自己主張を激しくさせるなんてね、お酒って怖いわよね~…
思い返せば…姫ちゃんが居た時からこうだったわよね?姫ちゃんが新しく開発しているお酒を楽しみたいからって、こっそりと開発元から貰っていたわね。
欲望に忠実すぎると言いますか、お酒に弱すぎるのよね~この人は…
提案される何時もの流れが予想通りすぎたので軽く鼻で笑ってから
「はいはい、わかったわよ、ストックさんにも伝えとくわね」
「ありがと♪」
特権乱用することを約束する。ったく、お酒におぼれて死ぬわよ?もう、今度抜き打ちで肝臓の検査でも実施してやろうかしら。
さて、ありがたい取引によって時間が空いてしまいました。そうと決まれば!…どうしましょうかしら?
洗濯物を干す時間が省かれたのであれば…そうね、寒い時期が来る前に、今のうちに薬の調合を進めるべきよね?厳しい寒さに備えて薬の数を万全にしておきたいものよね。
今この街で、薬の調合を許されているのは一部の人だけ、理由は単純に薬の材料の入荷が減ってきているため失敗が許されないから。
これもいい加減何とかしないといけないわね~、医療班に新人教育がどうなっているのか、あのへんた…もとい、現団長を詰めとかないといけないわねっと、先の事を考えながら洗濯場に居る人達に手を振って離れて行く。
やることは多くても、あの頃に比べて張り詰めた様な緊張感は無く、緩い雰囲気で日々の激務をこなし続けている化け物の背中を見送っている洗濯場の大人たちの一人が呟く
「ラジアータさん、今日もまた麗しく」
その声に反応した一人の女性が訂正する
「彼女はターアジラですよ、エルフの・・えっと」
しかい、エルフの長い名前を覚えきれていないのか〆まらない注意の仕方となってしまった
「語り部でいいのですよ、麗しき白きフォロー」
そして、エルフからしても人の名前が発音しにくいのか
「フロウよ、人の事いえないわね」
両者ともにお互いの名前がうろ覚えだった
「…」
各々も小さな文化の違いを感じながらも交流を続けている。
そして、気まずい雰囲気を二人で感じながらも、独りで何でも背負おうとする細い背中が去って行ってからは、共通の話題も無く、何も言えなくなってしまっていた。
街の変化の一つとして、もう一つあったわね!風が昔よりも強くなったのよ
長いスカートが風にあおられ浮き上がって捲れようとするのを手で押さえながら私達の家に近づいていくと、家の近くにある木の下で小さな影が見え、遠くからでも聞こえてくる声で頭が痛くなり、つい、溜息が零れてしまった。
動く影が目視できる場所へと移動すると、嫌悪感に近い感情が込み上げてくる
「スピカく~ん♪」「華頂さん、離してください~」
私のスピカに毒の華が纏わりついていたから!
もう一人の私が目を覚まさないうちに何とかしないといけないわね…
ほんっと、こいつは!色んな人から何度も!スピカに対する接し方について詰め寄られるくらいに攻められていたっていうのに、こいつは!…はぁ、ほんっと、こりないわねー、いつか刺されるわよ?
「大きくなったねー!お姉さんにますます似てきましたね~うふふ」
「もー、それは何度も聞きましたー!もういいでしょー」
最愛のスピカをバックハグで抱きしめ続け小ぶりな胸をスピカの後頭部に押し付け誘惑を続けている悪い華、その姿に殺意が湧き上がってくる、これはきっと、もう一人の私の感情ね!
悪い華を追い払おうと近づくと
「スピカくんも、そろそろ」
此方にまで聞こえてくるくらい鼻息が荒くなっているのが更に嫌悪感が増幅されてしまう。
これ以上は危険だと急ぎ足で、あ・え・て!足音が聞こえるように出しながら近づいていく
「大人の女性をしる、ご年齢よね~?そろそろ華に触れてもいいですよね~?お姉さんと、い・い・こ・と~」「知らなくて良いわよ!年増!」
スピカを毒牙にかけようとする悪い華の頭を遠慮も躊躇もなく豪快な音を響かせるように叩くと
「っち、ババアが戻って来たか」
「うるっさいわよ、年増」
何一つ堪えてないのか、スピカごと振りむいて此方を睨んでくる
悪びれもしない邪悪な華についつい反射的に
「仕事は終わったのかしら?メイド長さん?」
この街を取り仕切る者として咎める言葉を出してしまった…言葉の内容的に相手が相手だと、直ぐに後悔する。
この手ではこいつにはまったくもって効果が無いと
「はい、勿論でございます。このメイド、渡されたお仕事しっかりと終わらせております」
澄ました顔で綺麗にお辞儀をする。もちろんスピカを縫いぐるみのように抱きしめながら。
「何事もなく恙無く、ええ、だって私は、あの!伝説の人であらせられる!姫様!直轄の!直接のぉ!!メイドであるこの私が!仕事を疎かになさるわけがありますか?いやない!ですよね~すぴかきゅ~~ん♪こんな完璧でぱ~ふぇくつ!な、お姉さんはどうかなぁ~スピカくぅん、大人になりませんかぁ?」
背を伸ばし自慢気に胸を張り腕の中にいるスピカを持ち上げ、スピカの後頭部に顔を近づけ匂いを嗅ぎまくっている…




