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最前線  作者: TF


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アフターストーリー 2

「そう!スピカはい~っぱい!食べないとダメ!私達の救世主様なんだから!」

器を受け取ってなみなみと零れてしまいそうなくらいスープを注ぎ、溢れないようにテーブルの上に器が置かれると、スピカったら、嬉しそうにスープを飲み始める。


スピカったら正直者ね、嬉しそうな顔をしちゃって、あの幸せそうな顔、作る側としても感無量よね。

まったく、成長期なんだから遠慮しなければいいのに


「それじゃ、お母さんは洗濯物を洗いに行ってくるからね、ルーチェちゃんスピカをよろしくね」

出かけ際に軽くウインクして仲睦まじい将来のお嫁さんに息子の事をお願いすると

「はい!」「母さん!」

恥ずかしいのか困った顔のスピカを無視して外に出ると暖かい日差しが出迎えてくれる。

「今日は暖かいわね」

今は…姫ちゃんが残した書物によると春っという季節に該当するのよね


この時期は気温も穏やかで雪も降らないし積もらない

心休まる穏やかで温かい、安らぎを覚える日々・・・なんだけれどね、困ったことにこの穏やかな気温も僅かなのよ。


あのころと違ってこの大地は大きく変化した。


春から次の春っという一年の周期で言うと、この暖かく穏やかな日々は一つ齢を重ねる周期という枠組みの中では1か月から2か月間くらいかしら?僅かな間くらいしか穏やかで暖かな日がなくなってしまった…


私達が生きた時代と比べて、この大地は大きく変わっていった。

外だろうと家の中だろうと、体を震わせ吐く息が白くなり、寒さを埋めるために肌を寄せ合わないと生きていけなくなるほどに寒い大地へと変わってしまった。


私達の街から少し離れた場所、王都にまで下りれば…そうね、ここよりか、ほんの僅かだけれど暖かい日は続くのよね。


それでも…寒い日は寒い、王都にも雪が降ることがある、ここほどではないけれど雪が薄っすらと積もるのよ。


何処であろうとも星は回る、今までが異常だった、っということよね、常に暖かく肌寒い日の方が珍しいっていうのがおかしかったのよ。


古い書物によれば、元々この土地は寒い土地、雪がよく積もる土地って書かれているのよね。

昔に…獣が関与していない土地に戻ろうとしている。


だからね、最も寒い季節になるとこの大地はもう真っ白に染まる。

あの姫ちゃんも真っ白に染まってしまうほどにね…


あの日が終わってから…忙しい日々だった、気が付けば、この大地は人が生きるのに違う意味で厳しい大地になってしまった。

死が襲い掛かってくる大地ではなく、この大地で人がどうやって生きるのか、試されている気がする。

創意工夫を凝らし、自然と対話し共に歩んでいく、いえ、歩ませてもらう。そんな場所へと変化していった…


「そうね、今日みたいな日に…暖かい間に、会いに行かないといけないわね」

気温の変化を肌で感じながら合同洗濯場に向かって歩いているとすれ違いざまに多くの人が律儀に挨拶をしてくれる。


身長は私達と殆ど変わらなくて耳が長い人…そして年齢不詳なのよね。彼らが言う年齢は本当なのかしら?生活の知恵や魔術の知識、驚くほどに色んな知恵と知識を持ち合わせているので色々と相談に乗って貰ってたりしているのと、様々な地方の知識も持ち合わせてもらっているので、外の大陸の人達との衝突を緩和してくれる役割もしてくれてたりするし、子供達の勉強会といった、子供達の教育も引き受けてくれている。


身長が私の腰くらいしかないけれどガタイのいい人…この方たちも年齢不詳なのよね、工業に必要な鉱石の鑑定と東の土地から仕入れる際の取引をお願いしている。

後、お酒が大好きなので、彼らの為にお酒を造るために近くの街が悲鳴を上げてるのよね。


女将よりも筋肉質で身長が高い人…彼らは主に農業や建物の建築に携わっている、この街の特殊な作りに驚いて覚えるまで凄く時間がかかったわね。

王都から、この街から、近くの街から、色んな荷物を運ぶお仕事も担ってくれている。

彼らが乗りやすい大きい車の開発も急がないといけないわね。


普通の体格だけど、身長が私の腰くらいしかない人もいる…彼らは手先が器用だから色んな魔道具のメンテナンスを手伝ってもらっていることが多いし、耳が長い人達の中にはキャラバンって彼らが言う旅の商人をなさっていた人達がいて、彼らから色んな生地の編み方を教えてもらって、それらの再現を頑張ってくれている。

この街に移り住んだ人たちの文化を失わせない為に尽力してくれているのよね。


他にも…そうね、手足どころか全身細くて長~い人もいるのよ、身長は女将と同じかそれよりも少し小さめかしらね?重い荷物とか持てないけれど、私達では届きにくい場所での作業を担当してくれている。

細かい作業や細く狭い場所での作業が得意だから、身長が大きくて筋肉質な人達と一緒に行動していることが多いわね。


この世界…この星にはこんなにも多種多様な人達がいることを知らなかった。


ただ…私としてはね、ずっと待っている人達が居るのよね。

あの子達に会いたいと願っている、願い続けている人達にはまだ出会えていないのよ、お祖母ちゃんとしては心配なのよね。

スピカも彼らに会いたいと探しているけれど…見つかっていない。


あの子達に助けられたのだから、あの子達が困っているのだったらお祖母ちゃんとしては手を差し伸べるべき!そう思い続けていても、上手い事行かないわね。


この大地に縛られている私達では、生涯出会うことが無かったであろう、そんな多くの人達が安住を求めて懸命に必死に命を賭けて、この街へと辿り着き、荒んだ心を癒すように腰を下ろし住んでくれている。


だからもう、この街は【死の街】なんて悲しい名前じゃない、この星に残された人達が集まる希望の街

そして、何れ自分たちの故郷へと帰る為に力を蓄える街


もう一度、強く咲き誇るのだと全員が強く願い誓った街


絶望から解放された人達は、明るく明日を夢見て毎日を歩んでいる。

そして、そんな彼らをまとめる役目をこの私に押し付けてきたのよね…なんて、無理難題もいいところよ~ほんっと!今でもいいから誰か変わってくれないかしら?女王だの、聖母様だの、がらじゃないのよ。


かといって今更、幹部会に参加する面々にこの議題を出したとしても全員が絶対に俯いて視線を下げるのは目に見えている。

わかり切っている結末に時間を割くのも馬鹿らしいので、これを議題に出すことは絶対にない、これからも変わらず忙しい日々になるのだと溜息を小さく零しながら洗濯場に入ると、大勢の子供達と一緒に耳の長い人が洗濯物を畳んでくれている。


耳の長い人が洗濯場に入ってきた人物が誰かと視線を向け私であるとわかると手を止め

「これはこれは!我らが救世主様をお導きになられました聖母様、ご機嫌麗しゅうございます」

子供達と一緒に洗濯物を畳みながら子供達に色々な話を聞かせてあげているのに、わざわざ話を止めてまで立ち上がって頭を下げてくれる。


律儀な人よね~、そんなに畏まらないでいいのよ?ほら、子供達も慌てて立ち上がって頭を下げてくるじゃない。

私も彼らと同じように挨拶をするように頭を下げると、耳の長い人が子供達に偉いね良く挨拶できたっと褒めながら優雅な佇まいで腰を落として近くにある洗濯物を畳むのを再開する。


耳が長い人の中でも、この人は少し変わっていらっしゃるのよね。

特に他の人達と違って子供達にお話を聞かせるのが大好きな人なのよね。

「いつもご苦労様」

そんな彼に労いの言葉をかけると優しく、何処か、切なそうに微笑んでくれる。


彼はね、名前は…何だったかしら?フルネームが長すぎて覚えきれていないのよ…かといってね?馴れ馴れしく名前を短くして呼ぶのも躊躇ってしまうのよね、この街を代表するものとして如何なものなの?ってなっちゃってるのよね!誰かさり気無く名前を教えてくれないかしら?優秀なメイドが欲しいわね~…


何かのきっかけで名前の断片を思い出せないかしら?覚えている事となると…確か、種族名としてエルフっていうのを教えてもらったのよね、あ、ってるわよね?ここですら不安なのよ…物覚えが悪くなっていやよねぇ。

えっと、それで、彼は、そのエルフと呼ばれる一族の方で、率先してこの街にいる多種多様な子供達の面倒を見てくれているのよね。

彼曰くだけど、何でも、この大地と…大昔に縁がある一族だと教えてくれたのよね。

この大地で人同士の戦争が始まる前まで交流があったと教えてくれたのよね。

キャラバンっていう旅をする商人たちの一団、その一員に祖父が所属していたらしいのよ…何百年前の出来事なのに、祖父って、どういうこと?

まぁ、本人たちがそういうのでしたら変に突っ込むのは宜しくないモノね、その辺りはスルーすることにしてるのよ、世界は広いって事でね…駄目ね、名前が何一つ欠片も思い出せないわね。


何とか思い出そうと頑張って思い出そうとするが

えっと、たしか、その祖父の方も彼みたいに語るのが好きだったのよね?

祖父の方がキャラバンとしてこの大地に訪れた際は、方々の町や村で若い人達に様々な知恵や知識を伝え歩いていた、らしいのよね、彼曰くね。


色々と彼から聞いた話や周りの人達から聞いた話を繋ぎ合わせてみたが、肝心の名前が思い出せなかった。


…うん!何も思い出せない!諦めましょう!

思い出すのを諦めて洗濯魔道具でどれが今は使われていないのか、空いているのかチェックを始めると

「さぁ、お仕事を頑張る君たちの明日が良き日々へと繋がるように、話の続きをいたしましょう」

彼もまた祖父の意思を継いでなのか、今もこうやって洗濯物を畳みながら子供達に多くの事を語り継いでくれている。


お陰様で、この街には絶対に敵に経験不足な役割、教師という存在として頼りにさせてもらっています。

だって、この街って子供達を教え育てたことがない人が多いのよ、ほんっと、心の底からお礼を言いたい程よ。


教師っというか簡単な座学であれば私達だけでも出来ない事も無いのよ?

でもね、スピカが助けた人達ってね、見たことも聞いたことのない民族の方達ばっかりだから。

彼らの常識何て知らなさ過ぎる故に何をどう教えたらいいのか見当もつかなかったのよね。

流れついて来た人達が落ち着いてきた頃合いに浮き彫りになってきた問題!



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