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最前線  作者: TF


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最終話 魂底の願い Fin

それを観測してから更に少し過去へと干渉し

私が幼い私に記憶をねじ込むのを阻止した


ここという時空に戻ると、まだまだ魔力は残されていた。

計算式が直ぐに答えを弾き出す

この程度では消費したことにはならない


それなら…


せめて、お母様は救えなくても

この結末を変えれないかと私が目覚めてからの世界へと干渉を試みた



ダメだった

結論で言うとこれが最も最良だった



何度も何度も何度も!干渉してみたが私という存在に意識を繋げることが出来なかった

故に、運命は変えられなかった、いや、もっと悲惨でどうしようもない結末ばかりだった。


なら、どうすればいいのか、どうすればここへと繋がるのか…

直接干渉するしか無かった、私というファクターを疑似的に生み出し魔力体、他の星ではマテリアルボディという体を産みだし私とつながりのある人物にだけ干渉するのが精一杯だった。


何度も何度も

助けようとした人がいたけれど

助けることが出来なかった

どう足掻いても、助けようとした人を助けてしまうと


ここに辿り着くことが出来なかったから


無情だと笑ってくれていい

無能だと蔑んでくれていい


どれだけ、繰り返しても、どれだけ、語り掛けても、どれだけ…

干渉しても…誰かを助ければ誰かが死に、この結末へと辿り着くことなく


人類が敗北してしまった


タイムパラドックスっという言葉が他の世界にはあった。

今まさにそれが起きてもおかしくない

おかしくないのだが、失敗を幾ら繰り返しても私という存在が消えることは無かった

恐らく、この時点に私が居る限り、この状態が確立しているからだろう。


私という自我が存在する限りこの結末は変わらない。


どう足掻いても、どう頑張っても…

団長を救えない

女将を救えない

ベテランさんを救えない

ティーチャーくんを救えない


お母様を救えなかった


わたしは…無力だ…なにも…できない…



お母様…

最後の聖女として私は何も…なせませんでした…



それでも…

これだけは…

やらないといけない…


強引に私が居ない時空へと繋げ

彼女に奇跡をもたらす

彼女がいたからこそ

私はここにいる


ごめんなさいお母さん…

貴女の大切な人は守れなかった

ごめんなさい叔母様…

貴女がいないと私はここに辿り着けなかった


魂の冒涜という禁忌を犯した私をお許しください…


そして

王都が滅びない為にも

最後の力を振り絞って強引に時空を開き

マテリアルボディを作り空を飛び


王都に壁を産みだし

王都を救うための足掛かりを作った


恐らく

これが私がするべき最後の仕事…



仕事が終わり意識を体の内側へと向ける


残された魔力は…ああ、なんだ…もう殆ど無い空っぽじゃん。

そっか、何も成せなかったけれど、無駄に魔力を消費したから

世界は…救えたんだ。


空に描かれていた魔法陣が消えていく

生命の実は…どうやって動かせばいいのかわからない、私の中に宿っている。

なら、せめて…せめて、この星だけでも救わないと


足を大地と繋げるようにして星と繋がる

かつて、この体を操作していた土竜のように

星の鼓動へとアクセスしこの器を星の一部へと構築を変えていく


星の鼓動が私を包み込む

これでもう大丈夫

世界は…星は…まだ生きる。

後はきっと、皆が何とかしてくれる


きっと…



しこうが


とまる


このからだもまた


まりょくがなければ



うごかない



えいえんの



やみへと



おちて



いく














「…?」

めがさめちゃった


まわりにはだれもいない

「おかあさま?」

だれもいないのがさみしかった

ひとりでいるのがこわかった


不安だった…そう、私は独りでいるのが怖かった。

よくわからない恐怖がずっと私の中に根付いていた


べっどからおりるためにしーつをつかんで

ひっしにあしをのばす


あの頃の私は、一人では何も出来なかった

ずっと、お母様に助けられていた


あしがじめんについたから

あしおとをだしながらどあをあける


空けようとしても背が低くて届かなった

まってね、今空けてあげる


どあがかってにひらいた

うしろをみると

せのたかいしろいかみをしたひとがてをふってくれている


「あなた、だれ?」


お姉ちゃんだよ、ほら、君と同じ…ううん、お母様と一緒で髪の色が真っ白でしょ?


「ほんと、だ!ありがと!ござます!おねちゃ!」

おかあさまとおとうさまがおしえてくれたように

おれいがいえた!


偉いね、ほら、お母様はそっち、わかる?


「そっち?」

しろいかみのおねえちゃんがゆびをさす

あっちはえっと


そう、偉いね、そっちはお母様の部屋がある場所

ひとりで行ける?廊下は怖くない?


「う、うん」

ほんとうはこわい


それじゃお姉ちゃんと一緒に行こうか


「いいの?ありがと!」


可愛らしい笑顔、私にもこんな時があったんだね。

ほら、手を繋いでいこう


「うん!」

しろいかみのおねえちゃん!せなかにへんなのだしたおねえちゃん!


変なの?ああ、そっか、翼…黒い翼

そっか、私、ドラゴンになったんだっけ…

なら、見た目も変わっちゃうか、まぁ翼だけなら?蝙蝠とかそういうのにも見えるし

あれだね、うん、小悪魔みたいで可愛いよね?にしし


「かわいい?」


首を傾げないの、ほら、行くよ。

お母様にいっぱいいっぱい甘えるんでしょ?


「…」

あまえてもいいのかな?


良いんだよ、いっぱい甘えて


「…」

おかあさま、つらそうだから


それでも良いの、今この瞬間しかお母様はいないと思いなさい


「…」

いなく、なるの?おとうさまがいってた

いつか、おかあさまはいなくなるって


嗚呼、そう、そうだった。

私がお父様が嫌いになってしまったきっかけは、ここだった。

お父様はお母様が居なくなるのだと私に何度も言い聞かせようと聞きたくないのに何度も何度も悲しそうに語り掛けてくるからだ。

大きくなり、それが、本当になった…お父様は知っていたのに何もしなかった…

だから、私はお父様を軽蔑した。

居なくなるとわかっていたのに、何も出来なかったお父様を見下し嫌いになっていった。


「…」

やっぱりほんとうなんだ


うん、そこはねどう頑張っても助けることが出来なかった

この時代の私に記憶を飛ばせれたとしても幼過ぎて何も出来ないってわかってるのに

愚かな私を許してね。


「・・・?」


わからなくて良いの。

貴女は全力でお母様に甘えなさい、いっぱいいっぱい甘えて

お母様の記憶を…私はもう擦れて顔すら思い出せなくなってしまったお母様のことを記憶として満たすの

何時でも思い出せるように、何度も何度も、何度だって思い出せるように

お母様との日々を…大切に過ごしなさい


「…うん」


ほら、お母様の部屋はココだよ

行ってきなさい


幼い私の手を離し

ドアをゆっくりとあけると


「あら?どなた?って、凄いじゃない!ひとりでこれたの!?サクラ!」


お母様が幼い私を抱き上げ抱きしめてくれる。

さくら、そう、私の名前はサクラ

お母様が私に授けてくれた名前


「おかあさま!えへへあいたかった」

「私は何時だって逢いたいわよ~、ほら、ここには誰も居ないの、注意してくる他のママもいないのよ?ねぇ、私の名前を呼んでサクラ」


お母様の、名前?


「忘れたの?サクラ、お母様の名前を」


お母様と目が合う


「覚えています、サネカズラお母様」

「はい、よくできました、おいでサクラ、独りで辛かったでしょう?」


お母様が私に手を伸ばしてくれる

恐る恐る部屋の中に入ると


「大きくなったのね、なれたのね、嗚呼、よかった孫は居るの?」

幼い私ごと、私を抱きしめてくれる

「いいえ、残念ながら想い人は故人となり」

「そう、辛かったわね、でも、何時か何処かでいい人が出来るわ、貴女は大人に成れたのだもの」

「なれたとしても…いいえ、そうですね、何時か子を身籠り命を紡いで見せます」

「そうよ、貴女は最後の聖女になんてならなくていいの、命を紡ぎなさい、私の姉が望んだように聖女という願いを世界から消してはいけません、紡ぐのですよ」

「はい、お母様、叔母様は立派な聖女としてご活躍されました」

「そうなの?ふふ、妹として誇らしいわ、私も聖女として最後の役目をまっとうしないといけないわね」

「せいじょとし、て?」

「貴女が今こうやって、ここにいることこそが私の…聖女としての願いよサクラ」

「それは、どういう…?」

「貴女が長生きできるように祈りを捧げます、貴女が始祖様へと繋がれるように、貴女の辛く悲しい運命を乗り越えていけるように…それが私の願い、魂底の願い…聖女としての祝福があるのだとしたら願うのはその一点のみよ」

「おとう、さまと、そのずっと一緒にいたいのかと」

「それもいいわね、でもね、それだとサクラが長く生きれない、それではダメなのよ、母として貴女の大切な未来を願わないでどうするの?」

「でも、それだとお母様は!」

「良いのよ、サクラ、私はね母として、いいえ、一人の乙女として恋に身を焦がし愛を成就し、母として運命を受け入れたの、貴女という私の前を行く女性を産めた、これ以上の喜びは無いのよ?」

「では、お母様は先の未来は望んではいないのですか?」

「望めるのなら…でも、そうもいかない、でしょう?貴女の苦悶した表情を見れば、伝わってきます、だって、母だもの」

「お母様!わた、私は!!」

「良いのよ、頑張ってくれたのでしょう?それで充分、私はね、私の人生に何も憂いなんてない、なくなっちゃった、愛しのサクラがこんなにも大きく育ったのだから」

「はい…はい!!」

「さぁ、ベッドに行きましょう、貴女の好きな始祖様の英雄譚、いいえ、そうね、今日は白き黄金の太陽のお話をしましょう」

「はい、お母様…」


お母様に抱きしめられ

私達はベッドの上で、お母様の話を聞き眠りへと落ちていった。



私の終わりを告げる音は…

お母様が語ってくれた英雄譚

勇ましく、悲しい子守唄


子守唄が


終わりを告げた







始祖様…

アナタの討つべき怨敵の座標は私の中に…

どうか、私という器を壊し



星々を喰い荒らす星喰いを討伐してください

敬愛する始祖様…寵愛の最後の巫女が願い奉ります



私を永遠から解放するためにこの器を壊し

解放して下さる日をお待ちしております






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