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最前線  作者: TF


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最終話 魂底の願い 6

両足をドラゴンの首の根元に挟み込むようにし足につけてある釘を露出させドラゴンの首へと私の足がへしゃげようが!!!強引に!!!全力で!!!念動力で押し込む!!!

骨が折れるほどの衝撃と痛みが足を通って脳に到達する前に!!!痛覚を遮断!!

流れを止めることなく

「この時の為に用意した魔道具!魔力装填済み!安全ピン解除!」

車椅子から取り出した工業用魔道具!!

それを直ぐに両腕で持ち手を握り、魔道具を固定する様に胸に押し当て暴発を防ぐための安全ピンを引き抜くと魔道具が鼓動する様に震え始めエンジン音が鳴り響くとサメの歯から取り出した白い刃が物凄い速さで回転しはじめる

「キックバック対策!術式起動!」

ドッドッドッドっと物凄いエンジン音を響かせながら手順を守る

魔道具に予めセットしておいた術式を発動させると体がぶれなくなる、それはつまり、この状態から私の体は動けなくなる!!

「このまま!私事!!!押し込む!!!!いくよ!!どんな獣だろうが傷口を開かせてやるんだから!!!」

全身が震えるほどの鼓動を魔道具から感じながらドラゴンの首へとサメの歯から造り出した刃を押し込む

「地球の知識と魔術を合わせた特別製!!!これが私が生み出せる最後の切り札!!!」

高速で回転するサメの刃から激しい火花が飛びあがり目の前で生まれ私の体へと降り注いでいく

激しい金属音で耳がおかしくなりそうだけど

「お、ねぇちゃん!いそ、い、でぇぇ!!」

大切な妹の声は聞き逃さない!!お願い!!耐えて!!

団長が敵の攻撃を受け止めてくれているから何とかなってるだけだから!!

「もう少し耐えて!!」

高速回転する刃が何度何度も勢いよく敵の肌にぶつかり切り裂こうとしているが想定以上に刃が奥へと進まない!!!

全力で念動力を使って刃を押し込もうチェーンソーに力を込め続ける。


後少しで強固な鱗、その一部分を剥がせれると手応えを感じた!!

チェーンソーが1ミリ、僅か1ミリ!!敵の首へと沈み込もうとしてる!!

このまま!切り裂いて!!

「っだぁもう!?ちょ!こいつ!!大人しくしろ!!」

だが、思惑通り事が運ぶことはなく団長が敵の動きを封じているのは腕だけ、首はドラゴンが噛みつくのを止めれば直ぐにでも動かせれる!

自身の首に深手を負わそうとしてきているのだから敵もじっとしているわけもない!!


首を激しく振られチェーンソーの刃先がぶれてしまい最も削った場所から外されてしまうどころか、念動力で固定していても振り落とされそうになる。

「ど、どうにか抑えつけれない!?」

暴れ牛のように暴れる首にしがみつくのが精一杯になってしまい、つい、無理難題を言葉に出してしまう

「む、ぅ、や、やってみる!!」

暴れるドラゴンを力づくで抑えるためにドラゴンの小さな手のひらを貫いた槍先を動かそうとしているがドラゴンも抵抗しているのか槍先が震える程度

「ううううううう!」

渾身の叫び、いや、あれは悲痛な叫びと共に槍先がドラゴンへと近づいていき

「あああああああああああ!!!!!!!お姉ちゃん速く!!!」

悲痛な叫び声と共にドラゴンの首の動きが止まった、不快な相手を殺す為に。

そう、ドラゴンが目の前で抵抗する団長を噛み殺そうともう一度噛みついたから


強烈な噛みつきのせいで骨が砕けるような音が聞こえてしまい心が張り裂けそうになるのを歯を食いしばって耐え、全身に力を込め術式に魔力を強く込めるように注ぎ、激しく振動しているチェーンソーをもう一度、ドラゴンの首に押し付けると

「っちょ!!」

ドラゴンが団長に噛みつくのを止め首を揺らしチェーンソーの軸をぶれさせてくる!!

これじゃ!ダメ!如何にかこいつの動きを止めないといけない!!

「この!糞ドラゴン!!!」

何とか抑えつけようと念動力、土での拘束、凍り付かせようとありとあらゆる術式を試そうと頭の中に構築しようとするが

「暴れんな!!」

大きく体を揺らし首に張り付けている私を振り払おうと暴れ出すと

「ぅぅぅうぅぅぅぅぅ!!!」

胴体を爪で貫かれている団長が悲痛な叫び声をあげてしまう。


このままだと!

私が切り札を使う前に振りほどかれてしまう!

それに!

団長がいつ…月の裏側へと旅立ってもおかしくないほどに…


団長のお腹からいつ臓物が零れ落ちてもおかしくないほどに爪によって抉られた傷が開いてきている。

幾ら戦闘服の再生術式によって傷が驚異的な速さで回復していたとしても!追いつかない!

それに、団長の事だから、回復術式が最も効果を発動する箇所を選定してる!

それを物語るように血が外に流れ出ていないし、貫いた爪は確実に脊柱の神経も傷つけているはずなのに足に力が込められている。


団長があの爪をその身に受けてくれなかったら…想像するだけでこの作戦は失敗したのだと心臓が動きを止めてしまいそうになる。


団長の機転を活かしきらないと!!

彼女が事切れる前に!!団長は私に全てを託してくれた!!

私が敵を倒してくれると彼女は信じて行動してくれた!!


だというのに肝心の私は…

こいつを抑え込むことが出来ず傷口を開かせることが出来ない!!

早く!速く!!もっとはやく!!!如何にかしないと!!!!


「こ、この!こいつ!動くな!!とまれよ!!!糞ドラゴン!!!」

歯を食いしばってチェーンソーを押し付けるが首をうねらせ弾かれてしまう。

それでもチェーンソーを押し付けようと力を込めようと先ほどと同じ場所を狙うように首を見ると…絶望が見えてしまった


「こいつ!!」

傷口が塞がっていってる!!

こいつもまた、膨大な魔力によって肉体を再生しようとしている!!

初手で一番深くまで傷をつけた場所が無くなってる!!!


あの猿と同じ!術式がこいつの体にも施されている!!

あの魔道具は…人型を使ってどの程度再生するのか実験も兼ねていたってことか!!!

先生なら…やりかねないよね!!ほんっと!!厄介な人!!!


でも!そのおかげで!このチェーンソーの刃にもその術式を施しているし、戦闘服にも転用できたから、今の状況を作れてる!!

先生のおかげでもある!!ほんっと!!厄介な人!!


焦りながらも、チェーンソーを押し付け回転を強くさせ火花を散らせていると団長の体がふらついているのが見えてしまった…


膝の力が一瞬だけ抜けた!?

意識がどの程度あるのか、確認したいけれど角度的に見えない!!

お願い!おねがい!!この世界に神様が居るのなら!!奇跡を!!

ルの力でも!!始祖様の御加護でも!!なんでもいいから!!!


団長を守って!!お願い!!


願いを、祈りを、心の中で叫び続けても

何も奇跡は起きない、団長の膝が震えているのだけが見え


いつ…彼女が倒れてもおかしくないのだと…伝わってきてしまう。


その光景が私の心を圧し折ろうとしてくる

このままだと…また私はここで失敗するのだと…心が…苦痛に歪む大切な人の顔を見て自分の弱さが…



心を圧し折ろうとしてくる



いま、なら、まだ魔力はある、そう、やり、やりなおせば、記憶を

記憶を飛ばせば…


出来るはずのない術式に縋ろうと震えてる腕を離し祈りの姿勢に変えようと


した瀬戸際に奇跡は起きた。


「頭あげな!!!」

激しくも重く今の私達に最も欲しい声に折れかけていた心が再起し顔を上げると

「司令官!状況がよめねぇ!指示をくれよ!あたいは何をすればいい!?こいつをぶった切ればいいのかい!?つっても得物は何も持っちゃいねぇけどね!やれってんなら首の骨折ってやるさ!!」

鎧すらなく戦闘服のみで駆けつけてくれた女将の…ううん!私達の中で最も力がある屈強な戦士!!粉砕姫が助けに来てくれた!!!

「重たいけど!こいつの首が動かないようにして!」

此方に向かってる大きな巨体に向かって叫ぶと体の底から活力が蘇ってくるのを感じた。

滲む視界を風の術式で吹き飛ばしチェーンソーをより強く握りしめ体重を前へと!前のめりになるくらい力を込める!!

「まかせなぁ!!!っていいたいけど!我慢ならねぇ!!大切な人の子を噛んでんじゃねぇよ!!くそったれがよぉ!!」

ドスドスと重たい足音が私達に近づいてきてその勢いのまま団長の噛みついているドラゴンの鼻っかしらをアッパースイングでぶん殴った

「っだぁ!?んだこいつ!?かってぇな!!」

びくともしなかったドラゴンの上あご下あごを両手で掴み万力を強引にこじ開けようと力を込め

「離せ!!この!!」

噛みつき団長の骨を圧し折ろうとしているドラゴンを引き離そうとしてくれているが、ドラゴンの噛みつく力が強くビクともしない

「女将!!私の事は良いから!!こいつの首を!!動かないようにして!!」

力を失いかけていた団長も!彼女の声に呼応するように震えていた足に力を込め大きく叫ぶ。

「えぇ!?けど、ん?…そういうことかい!切ろうにも魚が跳ねちゃ切れねぇってことかい!!あいよぉ!!」

遠くからでは状況が見えていなかったのか、私の手に持っている魔道具を見て大きく頷き

ドラゴンの首を再度ヘッドロックの形でドラゴンの首を絞め堕とすかのように固めてくれると

「動きが!!」とまった!!!


女将だからこそあのドラゴンの力にも対抗できてる!!

女将と団長が命を削って止めてくれている!!!

この瞬間を逃すわけにはいかない!!!


今持てる全ての魔力を全力で放出!!

放出した魔力を全て魔道具にねじ込む!!


その為に!!私を封じている呪いを希望に変えた術式を解放する!!

「お母さん!今までありがとう!!」

皮膚に刻み込む様に埋め込まれた高純度の魔力が溶け込まれているお母さんの血液を外へと放出するために術式を解除すると、体に刻み込んだ赤き術紋が発光し皮膚から霧のようにお母さんの血液が排出されていく…


私という命を繋ぎ止めるための魔力が空へと解き放たれた


「魔力は力!心は魔力!魂もまた!魔力!!!」

紡がれた糸を通して魔力を強引に引っ張りだす!!今頃お母さんと叔母様が悲鳴を上げているかもしれないけれど!!ごめんね!!



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