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最前線  作者: TF


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最終話 魂底の願い 5

「反応ないね」

私と同じ経験を得た彼女もこれ以上前に出るのが危険だとわかってくれているのか何時でも下がれるように車椅子が気持ち後ろへと動こうとしている。

「ほら、低脳だから会話っていう高等な技術持ち合わせていないんだよ」

無視するのなら相手がどの程度で反応するのか挑発してみると

『言語…把握…現地人か、煩わしい失せよ』

音ではない何かが聞こえてくるのと瞬時に警戒態勢へとかえると、団長も同じように手に槍を持ち私の前に立って槍を構える

「会話できんじゃん」

「何処から?なんか、え?声?聞いたことのない声がした?」

耳を澄ます必要なんてない、きっと、何かしらの術で語り掛けてきてるんでしょ?

『忌むべき匂いを含む現地人…失せよ』

忌むべき匂い?お前ら獣の方が臭いってーの!私達の星から失せろよ!

っという、苛立ちを抑えながら対話を試みる

「失せよって、失礼な、こっちはお前に用事が有んだよ糞ドラゴン」

『ドラゴン?否…個はドラゴンとは…失せよ…知恵無き者よ』

失礼な!誰が知恵無き者じゃ!っていうか、そんななりしといてドラゴンじゃないなんて、そんな言い分とおりますかってーの!馬鹿にすんなよ?

「失せる気は無いよ、お前を殺しに来たんだから」

腕を持ち上げると殺気が伝わったのか閉じられていた瞳が開かれ此方を射貫く様に視線を向けると

瞬時にこいつに殺されてきた嫌な思い出がフラッシュバックし背筋が凍り付きそうになる

『時は満ちた…願い…至高の…悦び…苦悶は終わる…』

細長い首を真っすぐに天へと向け翼を広げると…直ぐに団長がドラゴンへと飛び掛かる


先手必勝!相手が何かをする前にアクションを起こす!大事だよね!わかってる!!


私も彼女を追うように車椅子から立ち上がり車椅子を念動力で持ち上げ敵の翼に向けて術式を展開する

「何処に行こうってーの!?いかせるかボケ!易々と飛べると思うなよ!糞ドラゴン!!」

翼を動かさせないように念動力で翼を掴み薄い皮膜に向けて土を上空から落とし皮膜にこびりつかせようとするが

『・・・』

ドラゴンが羽ばたく様に羽を動かすと念動力と上空に精製した土が吹き飛ばされ、その突風に吹き飛ばされそうになるのを足裏から念動力をスパイクのように成形し地中に向かって撃ちだして、直ぐに正面から襲い掛かってくる風という質量を分散させるために念動力の形をドリル用のように成形して風の勢いを分散し飛ばされないように堪え、直ぐに団長も飛ばされないように支援しようと視線を向けると…私の補助はいらなさそう!

団長は槍を地面に突き刺して何とか飛ばされないように耐えてくれている。


翼を仰いだだけで…

たった、たった、一度の動きで此方側が圧倒的に力不足なのだと痛感してしまう。

瞬時に理解する、無限の魔力を得たところで圧倒的な力には…暴力には敵わないと…


真っ向勝負、搦め手なしで勝てる相手じゃない、力で対抗するのは愚か

「っへ、軽自動車が業務用のトラックと馬力勝負するようなもんじゃん」

単純な力だけでは絶対に勝てない

視線を団長へ向けると団長も同じことを考えているみたいで此方を見て頷いてくれる


ドラゴンが羽ばたくためなのか翼を左右に大きく広げ、るだけじゃない?更に翼の先を天高く持ち上げようとしている?飛ぶための前動作?あんな巨体、易々と浮かすことは出来ないって事?

「飛ぶために力を貯めてる?」

うん!きっとそうじゃん!

あれ程の質量を持っている物が飛ぶためには相当な力で風を生み出さないと飛べやしない!

溜めがある時点で隙だらけ!!


飛ばさせない為に術式を構築する!

歌は無くても!彼女達の願いは、術式で疑似的に再現できる!


念動力と土を精製する術式、そして、地面の中にある鉄を引き寄せる術式をプラスし混合!!

多重同時術式発動!!


前の時は多くの瞳が術式を補助してくれていたけれど!今回は独り!!

頭が熱を帯びるように熱くなり視界が揺らめく

体内から溢れ出る魔力を制御し術式へと注いでいく度に皮膚という皮膚が裂けそうに震え始める

「鎖よ!在れ!」

地面から急造した鉄の鎖を精製しドラゴンの足元へと巻き付けていく

全力で魔力を放出し術式へと変換するために力を行使すると自然を強く歯を食いしばってしまう、その力は歯が欠けそうになるほど

「こん・・・・・・・・・のぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

頭の血管が切れてしまってもおかしくないほどに力を込め、喉が裂けてしまいそうな程の雄叫びをあげて鎖を精製しドラゴンに巻き付かせていくと

「何処にもいかせない!」

団長が槍を握り締めながら敵の間合いに入ろうとしている

彼女を補助するためにも!速くこっちも終わらせないと!!


複合術式で生み出した鎖で徹底的にドラゴンの足回りを固定し、鎖の隙間に複合術式で生み出した杭を打ち込んでいき、強固に固定していく


「っし!次は!」

固定を終えて団長の方へと視線を向けると細長い首をうねらせているドラゴンのやつは口を大きく開き団長に噛みつこうとしているが、そうはさせまいと、団長は槍先を敵に向けて牽制している!!

あの状況であれば私が出来ることは、って!?ちょっとまって!?

「あぶない!」

慌てて団長の側面に分厚い土の壁を精製するが瞬時に切り裂かれてしまう。

「ありがとう!!」

私の声と壁を見て直ぐに下がってくれたおかげで団長は敵の腕、正確には指先から瞬時に伸びてきた鋭い爪から逃れることが出来た!が!!あんにゃろう!!!


土の壁を産みだすのと同時に聞きたくない音が広がり、見たくない光景が私の努力を嘲笑うように踏みにじってくる。


そう…産み出した即席の鉄の鎖では糞ドラゴンの動きを繋ぎ止めるのが不可能だった。

あいつが爪を伸ばす為に一歩前へ出ようとしただけで巻き付けた鎖が跳ねるように壊されていた。


足元に巻き付けた鎖は全て派手な音と共に弾け飛んでしまった。


地面に打ち付けていた杭も地面をひっくり返すように抜けてしまっている。

なんて、力!!っていうか!爪!伸びるのなんて知らないんだけど!!!


「ドラゴンって、こんな感じで攻撃してくるの?想像していたのと違う!」

団長のつぶやきに納得してしまいたくなる、想像以上に力任せというか!所詮は獣ってところなんだけど!

「力強すぎない?」

率直な意見に団長も頷き相手の出方を伺っている。

「それもあるけれど、火を噴いてきたり、雷が降り注いだり、氷が落ちてきたりとかそういうのが無いんだね」

団長が想像していたのと私が想像していた警戒していた内容が違い過ぎて驚くのと同時に、地球ではもしかしたら、ドラゴンが普通に生息していて、伝承とか残されてたりする?


ドラゴンって、術式に長けてるってこと?


「…ドラゴンってそういう伝承があるの?」

「どうだろ?私も詳しくは知らないけれど火を噴くイメージがある、それに、物語によってはなんか、色々として来てたから、警戒してたんだけど…でも、してこない」

成程、噛まれるのを警戒していたのではなく火を警戒していたってことか、だとしたら

「たぶん、火は吹かないよ、一度も吹いたとこ見たことないから!たぶんだけどね」

「そっか、なら、危険なのは噛みつきとか、爪ってところか…」

二人で話し合っているとドラゴンがまた先ほどと同じように翼を広げようとしている

「何処かにいこうとしてる?」

「なのかも?王都とか?」

その可能性も捨てきれない!王都には私が見つけれてないだけで悪魔信仰の何かしらの術式が埋め込まれている可能性がある!

お母さんを触媒にして儀式を発動させるのではなく、こいつ自身を触媒にして、王都の上空に現れた大きな目を召喚するのが目的かもしれない!鎖がダメなら

「やらせ…え?なに、あれ?」

だめなら、他の手段でって術式を構築しようと頭の中に思い描くと先と違う光景に思考が停止し…


思考が勝手に動き出す


敵の翼

いや

敵の頭上に大きな大きな陣が


そう、アレは魔法陣…

私達の理とは違う別の世界の理で作られし陣

魔術とは異なる法則


あれは


魔法


あの魔法こそがあいつのするべきこと

急いで…切り札は私


瞬時に流れ込んでくる記憶…この記憶が何を意味するのか…解らない私じゃない。


「私は、何処かの私は…ここまでたどり着いている!!これは一度目じゃない!!!」


車椅子に取り付けて置いた魔道具を念動力で手元に近寄らせ

「使うの!?」

「猶予が無い!あの魔法陣が発動したら全てが終わる!!」

この時の為に用意された魔道具を手に持ちドラゴンへと走る

「前は任せて!」

私よりも足が速い団長がドラゴンへと正面から駆け寄ると、迫りくる人にドラゴンも迎撃しようと小さな両腕を前にだし団長へと爪を伸ばす、団長ならあの程度よけてく…え!?

「っ!!」

爪が団長を貫き地面に深く刺さった…

なんで、避けないの!?…違う、相手の爪を塞ぐため…

私の為にとってくれた痛々しい選択を横目に念動力で足場を作りドラゴンの頭ほどの高さを目指し登っていく

「動きはぁ!!!させない!!私が!!楔となる!!!お姉ちゃん!!!」

彼女の悲痛な叫びを背負いながらドラゴンの頭よりも上空へと移動すると


ドラゴンと目が合ってしまう

飛び乗ろうにもいま、飛び込むとドラゴンの口が私を捉え食いちぎられる!!

「こっちをみろ!!」

吠えるような声と同時に「Giyaaaaaa!!!」ドラゴンの口から悲痛な叫び声が生まれた

ドラゴンの両腕を貫き、翼にも届きそうな程に槍が伸ばされている

団長が二つの槍を使ってドラゴンの手を貫いてくれた!!


強固な鱗を貫いた槍を持つ人物を恨めしそうに睨みドラゴンは口を開き


彼女の肩から胸にかけて噛みつく

「お姉ちゃん!早く!」

噛みつかれながらも悲痛な声に、声を荒げてしまいたくなるのを堪え上空からドラゴンの首元へと飛び乗り


「ロック芯パージ!セット!念動力セット!私という座標を固定!」


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