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最前線  作者: TF


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最終話 魂底の願い 3

冷静に結論を出してみると今の光景ってそれを否定してんだよなぁ…

あの魔道具が壊れたって言うのに動いてるんだよなぁ?完全に失念してた可能性。


思考を止めてしまうっと言う愚かな油断

可能性全てを探り、その先を何時如何なる時でも探り続けることこそが先へと進めることが出来る。


慢心してはいけない。

その油断が、また、私は…私を大切に思ってくれる人を死なせてしまった。

何度も何度も、私は…私を大事にしてくれる人の犠牲でしか学ばない、気づけない。


成長しないな私は…だから、私は愚者、天才じゃない。

ただの、多くの人生を歩んだだけの愚者。


団長のふとした疑問で気が付かされた可能性

しっかりと考慮して行かないといけない…


自分の中で答えを確固たるものへと固めるために

思考を走らせ、会話という手段を通して思考を固めて行こう


「遠隔操作?あの獣達を?ん~私も詳しくないから申し訳ないけど、よいしょっと。機械がねえっと、詳しくは知らないからはっきりいえないけど、どういう風に動くのか予め決めておいいて、ボタン一つとか、条件を決めといて~、動く様に?何ていってたっけ?えーっと…そうそう!自動化!機械の自動化っていうのを看護師さんが話してた!そういうやつじゃないの?」

槍を投げながら難しい会話をする団長の変化に…気が付かない私じゃない

「色々と思い出せてる?」

「うん、なんかね、頭がスッキリしてる!耳鳴りも無くなった!からかな?今ね、すっごく軽い、羽が生えてるみたいに軽いんだ」

視線を団長の顔へと向けると、いつも以上に幼い雰囲気を感じてしまう。

彼女もまた、獣共に縛られていた…愛する旦那と同じく、彼女の魂も解放されてしまうのだろうか?


だとしたら…それが正解だった場合…団長が動ける時間にも限界がある。

姉妹揃ってタイムリミットがあるなんてね…

私は体が既に限界を超えてて、妹は魂が肉体から抜け出ようとしている…

ふふ、私と団長が混ざり合ったら最強だったんだろうなぁ


「ほいさ!」

手に槍が戻っては直ぐに投げつけている彼女の顔が生き生きと輝いている、私達とは違って復讐とか恨みを晴らすためといったストレスをぶつけているのではなく、ただただ、この状況を楽しんでいる?そういえば体動かすの好きだもんなぁ、荷物運びとか整理整頓とか喜んでしてくれたもんね。

「楽しい?」

「うん!」

状況が状況なら微笑ましくて此方の胸も暖かくなるんだけどなぁ

ほんっと綺麗な顔、あの人がしない眩しく弾ける幼い笑顔、可愛いなぁ

「楽しい!すっごく楽しい!汗をかくのって気持ちいいから好き!体を動かせれるのって楽しい!」

笑顔で槍を投げ続けている。

まぁ、対象物が壊さないといけないものだから良いんだけどさ、それに彼女の事を深く知ってるから絶対に勘違いしないけど、良く知らない人がこのシーンだけ見たら、完全に狂人だよね。

「ずっと…うん、ずっとね、憧れてた。友達が見せてくれたゲーム!テレビゲーム!そのゲームをしているみたいで凄く楽しい!!」

テレビゲーム?…確か、始祖様が私達に残してくれた記憶の中にそういったものがあった、内容は…思い出せないけど、娯楽の一つだよね?

「友達がね!よいしょっと!ファミコンとかさ!すーぱーだっけ?あれ?違ったかな?ゲームボーイだっけ?アドバンスだっけ?んー思い出せない!っでね!そんなゲームがさ!凄く好きでさ!一緒にやろうよっていっっっぱい!何度も!なんども!なんどもお!!誘ってくれたの!でも、私の体はそれについていけなかった!」

小さな雫が頭に落ちてくる、冷たくも暖かい雫が彼女の心を私に伝えようとしてくれる

「うん」

私にできることは彼女の全てを受け止めてあげること、目一杯、心のうちを叫んでいいんだからね。

「こうやって!っさ!友達とゲームをしたかった!!よいしょっと!いっぱいいっぱい!体を動かしたかった!ともだちと、みんなと、もっと!もっっっと!遊びたかった!!」

震えるような声と共に槍が空を駆け、大地を駆け、木々ごと敵を射貫いては戻ってくる

「それで!うごか!よっこいしょ!!うごかなくなっ、って、なってきた!わたしでも!!みんなが!み、んな…っが!!!わた、私を!…ぅぅ…わたしでも、楽しめるようにって!いろんなアニメを教えてくれたの!!お父さんやお母さんに!!!ありがとう!面白かった!!いろんなお話が私の楽しみだった!!ありがとう!!できるなら、さいごに、みんなと…遊びたかった!!!!」

感情と共に飛ばされていく槍

槍は彼女の全てを受け止め

慰めるように?ううん、彼女の全てを肯定する様に敵へと飛び

彼女の悲願を晴らすように敵を吹き飛ばしていく


泣き叫ぶ声が止むまで…今は、彼女がしたい様にさせてあげよう、歌は少し待ってもらおうかな。

【彼女もまた、獣に歪められてしまった悲しき存在、彼女の魂が安らげることを願いましょう】

そうだね、君達の出番はこいつらが消えてからになるから…少しだけ待っててね。

【ええ、ご安心ください。私達の呪い…祝福はあいつ等とは別ですので、私達の事はお構いなく、お優しいのですね貴女は存じ上げておりますが…老婆心ながらご忠告をお気づきと思いますが、貴女の母が持ちこたえるまで私達は待てますとも】

母?…あ、そっか、お母さんが魔力を皆に渡しているんだから、お母さんが限界きちゃったら、無限の魔力も途切れちゃうのか。

なら、目一杯、体の中に魔力を溜め込むように圧縮したほうがいいよね?


何もしてないよりか備える事の方が大事、抜けていく魔力、もう二度と私の中で精製されあることのない万能の物質…溢れ出て行かないように体の中、奥深く…肝臓だけじゃなく全ての臓器、骨、筋肉も例外なく、魔力を折りたたみねじ込もうと意識を向けると

【手伝ってあげる。こういうのに適任な子達も来てるから。ほら、おいで君たちのママが頑張ってるんだから手伝ってあげなさい】

洗濯物でも畳もうとしていると多くのやんちゃな子供達が雪崩れ込んできて、手伝ってくれる。翅のない子もいれば、翅がある子もいる、お友達かな?


ありがとう、私の可愛い子供達…


彼らを一人一人抱きしめてあげたいけれど、彼らもまた、魂が解放されようとしているのかぼんやりとしか意識を感じることが出来なかった。


一つのやり残したことが解放されると

一つの魂が空へと旅立っていく

私の中で頑張ってくれている子供達が

一つ、洗濯ものでも畳むかのように魔力を折りたたみ終えると空へと旅立っていく


何故かわからない、魔力を見ることが出来ない私なのに

空へと旅立っていく多くの魔力が見える


過去にも見えるはずのない魔力が見えたり、魂を感じる時があった、総じて…その後に何が待ち受けているのか、経験が教えてくれる。


死期が近いのだろう


この年齢まで今代の私が生きれたのが既に、奇跡。

これ以上先の未来を望むのは欲張りだよね。


最後の命短し運命を背負わされし乙女として…世界を救わないとね。


「これで最後!!っと!うし!先に敵影無し!討伐完了!!」

多くの魂を見送っていると豪快な言葉に驚いてしまう。

「とう…そうだね、お疲れ様」

気持ちよさそうな汗を腕で拭い落している彼女の為に念動力を用いて車椅子のポケットに入れて置いた飲み物が入った瓶を持ち上げて渡そうと近づけると

「大丈夫だよ?姫様の分だからそれは」

受け取りを拒否するので

「魔力で精製した水じゃ力が入らないでしょ?前衛として力を発揮できるように水分と栄養はしっかりとって」

瓶を強引に進ませ瓶を顔に当てると

「むぅ、姫様は言いだすと聞かない…わかりました~」

観念したのか唇を尖らせて受け取り瓶の中身を飲み干していく

「空っぽになった瓶はその辺に捨てといていいよ、持ち歩く方が邪魔だから」

「不法投棄はマナー違反だよ?って、世界のルールが違うか」

地面に瓶が落とされ、その音が最後の道へと進む為の発射合図かのように車椅子が前へと進みだす


長い永い…足場の悪い道なき道を進んでいく

世界の果て、終わりの場所、私達の…最後となる果


「ここから先は」

「誰も知らない世界」


森を抜けると冷たい風が通り過ぎていく


森を抜けると、そこは何もなく、障害物が何一ついない開けた場所だった。

本当に奥へと進んだのかと確かめるように後ろを振り返ると、デッドラインと呼ばれる岩が見えた。


お互い後ろを見て本当に私達は超えたのだと実感を感じていると


「お父さんが超えれなかった場所」

「誰もが到達するということを考えてはいけない場所」


自然と言葉が溢れ出てくる。

世界の果てに…人類が踏み込んではいけない場所へと私達は進もうとしている


視線を前に向けると開けた場所からは冷たい冷たい風が吹き下ろされてくる。

「森を抜けたら」

「敵が待ち構えているもんだと思っていたけれど」

開けた場所には何もなかった、そう、何一つ獣の姿が無かった。


周囲に獣が潜んでいないのかと、探るように意識を集中していると

【聖女よ】

歴々の聖女が語り掛けてくる?

【秩序を失った獣が狂い叫びながら街へと進んでいます】

っげ!?そうなの!?数は!?

【疲弊しきっている民では迎え討てはしません】

そう、だよね…戻れって言いたいの?

【いえ、貴女は貴女の成すべきことを成してください、憂いは私達が請けおいましょう】

任せても良いの?

【はい、お任せください、ですが、これより先は】

皆の協力は無しってことだよね?

いいよ。元より、そのつもりだし、その為に…


仕込んであるから


この命を贄としてね…


【止はしません、魂底の願い、その成就を願っております】

うん、任せて。


最後の一言と共に、風のように私達の周りにいた気配が消えていく…

街をお願いします、歴々の聖女達よ…

彼女たちの姿が見えなくなり何も感じなくなると



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