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最前線  作者: TF


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798/843

Fine 憧れ敬愛した輝きを胸に 11

空に産まれし白き黄金の太陽

その光を大地へと落す

光は柱となり大地を裂いた


俺は…俺達はそれを見た、この目で、そして肌で感じた。

そう、そうだよ、共に聖女様と共に、世界を、不幸な戦争を止めるために傍で聖女様を支え続けてくれたラジアータさんも

その光に悲しみ絶望し


色を失った


彼が放った有り得ない超常なる力

それがまたここに再現されるというのか?

だとしたら、衝撃に備えるべきか?

【大丈夫だよ。あの人じゃないからあの人が残してくれた精霊様、私達の悲しき運命に嘆いて残してくれた力】

姿勢を低くする前に答えを教えてくれる懐かしき音

年甲斐もなく彼女に頭を垂れ足元に縋りついてしまいたくなる


それほどまでに俺の魂にとって二人は眩く輝かしい存在なのだと痛感する。


【お願い、柳さん、こんな私だけどさ願っても良いかな?お願いしてもいいかな?私達が残した未来を守って欲しい、こんな、終わり方なんて私は嫌だよ】


勿論だとも!!

でなければ、死者である俺がでしゃばることなんてしたりはせん!!

寧ろ…不甲斐ない俺で申し訳ない。俺がもっと彼のように光り輝きこの大地を守ることが出来たのであれば


【癒しの聖女が願います、光の精霊様、太陽の騎士から託されたその願いをもって不浄を焼き払ってください】


声がきこえた

大地から太陽へと還ろうとする声が聞こえた


一筋の光が希望となって空へと昇る

光の一筋は件の獣が持つ魔道具を穿ち天へと登っていくその先には

輝く太陽、光はそこへと登るように旅立って行った


不浄を焼き払う一筋の光、過去に見た一筋の光とは違う

俺が見た悲しき光とは違い絶望と悲しみに包まれては無く

その輝きは明日を…未来を望み託そうとする希望の光


彼の輝きが俺の心を奮い立たせる

敬愛する人物に託されたのであれば期待に応えぬわけにはいかない

魔道具が砕かれ死者の動きは終わる

俺の鎖も解け何れ天へと還るだろう


だが!その前に俺は期待に応えたい!!

魔力が無いのであれば!!!


妹が、ユキが頷き体内の臓器に狙いを定めてくれているが俺はその贄に対して拒否を示す。

魂を贄にすればいい、何れ俺の魂は解放され消えていく。

消えるのであれば使ってしまえばいい…未来へ進む為に贄を捧げればいい!!!

【私達が繋ぐ、希望を!!】

魂を燃やし魔力へと変えようとした瞬間、誰かの、違う、多くの意思が俺達の中に流れ込んでくる

これは、祈り…多くの悲しき運命に翻弄された少女たちの祈り?

それに、これ、は…ラジアータ、ねえさん?

『ううん、違う。これはNo2、彼女と、後はだれ、だろう?』

ユキも感じたか、この人は、もう一人のNo2さ、何度か顔を会せているだろう?

『このひと、が?』

ああ、そうか、これが…貴女が宿した願い、貴女がずっと欲しかった奇跡なのですね。


多くの祈りをこの身に宿し

多くの意思を背負い

俺は地面を蹴る


今の俺なら…聖女様の祈りを背負った俺なら何があろうと希望となる

件の獣が絶望した顔で魔道具へと手を伸ばし掴もうとしている、崩れていく魔道具を必死に縋るように助けを請う様にお前がいるのは海でも川でもなく大地だというのに溺れ藻掻く様に腕を動かしている。滑稽だな。

哀れで滑稽な愚者に向かって一筋の光が俺よりも速く怨敵の目を撃ち抜く

光を追いかけるように「死ね」っという恨みが込められた音が俺にも届きその単純で尚且つストレートな言葉に笑ってしまいそうになる。

「Aaaaaaahyagya!!!」

眼球を撃ち抜かれた愚者は目を抑えるために何とか砕け散ろうとしてる魔道具を繋ぎ止めていた腕をふり上げてしまう、当然、勢いよく放り投げられた魔道具は形を保つことが出来なくなり砕け散っていき青白い輝く光が消えていく


怨敵である件の獣が痛みや内から溢れ出る感情に狼狽えている間に!

俺という魂が解放され消える前に!!


奴とは別れを告げる!!!


祈りに満たされたこの体であれば!!加速する様に膝に力を込めると

天をも穿つと言わんばかりの渾身の振り上げが目を抑え叫んでいる愚かな獣の喉元に剣がぶつけられている。

その一撃から伝わってくる底知れぬ感情、俺らよりも、いや、誰よりも愚かな獣に対して溢れんばかりの感情が籠った全身全霊の剣が振り上げられた、だが、彼本来の体ならともかく死者の体では件の獣を切り捨てるほどの力が無かった


力が足りてないのであれば手を貸すだけ。

貴方の背中、頼もしかったですよ。

「助太刀します父さん!!」

膝に蓄えた力を爆発させ光の如き速さで飛び全ての体重、全ての力、あいつとの因果因縁全てを断ち切る祈りを込め

槍を件の獣、そのうなじへと振り下ろす


二つの刃が重なるように動き獣の首が空へと舞い上がった。


獣の首が空へと飛びあがるのを見届けながら槍の石突で獣の体を地面へと落ちるように叩くと何も抵抗することなく体は地面へと崩れ落ちていった。


この姿をみて

完全に終わったのだと心が晴れやかになるのと同時に

意識が徐々に薄れていくような

まるで

眠る寸前のような心地よい感覚に包まれていくように感じる

ユキ…すまない…急ぎ、サクラのもとへ

鎖に絡まれていたサクラの方へと視線を向けると鎖は消え涙を浮かべているサクラの顔が見え、つい、その姿に緊張の糸が切れてしまう。


足が踏み出される

俺の意識とは違う、ユキが体を操作してくれている。

俺の意識は何時、消えてもおかしくない

体の感覚がわからなくなってきている

サクラへと向かおうとすると、足音が遠くへと離れて行くのが聞こえた

敵わないな


『さようなら父さん」


二人で敬愛する父の足音へ別れの言葉を捧げる

偉大なりし戦士長に託そう

俺の怨敵を殺し俺達の仲間を助けてくれるのを、託そう


遠いとおい、何処か遠い場所を見つめているサクラの隣に立ち

「懐かしい人の声が聞こえたよ、彼女もまたこの大地に繋ぎ止められていたのだな」

声を出すと自分でも驚くほど穏やかな声だった

俺の終わりが近いのだと言い逃れが出来ないほどに感じてしまう

『大丈夫、姫様だったらお兄ちゃんを繋ぎ止めてくれる』

妹の根拠のない言葉に自然と頷いてしまう。

サクラなら俺の意思を繋ぎ止めてくれる

「うん、気が付かなかった、たぶん、何度も助けてくれてたんだと思う」

彼女であればそれも可能とするのだろう

人々の願いが彼女をこの大地に繋ぎ止め

我らを見守っていてくれたのだろう

「そうか、聖女として死してもなお人の為に、穢れ無き崇高なる人だな、それにあの光」

心に刻み込まれた大地を裂く嘆きの光

今回のは希望に満ちた輝きだった

「光?私が敵に向けたやつ?」

おっといけない、失念していたよ

件の獣、その目を貫いたのも一筋の光だったな

「いや、違う、白き黄金の太陽が大地を裂いた時に用いた光だ」

自分の功績を褒めて欲しいのだろうが、伝えたい光は別だ

「っとなると、天へと向かって駆け抜けていったあの魔道具を壊した光だね。確か…精霊って聖女様が言ってたけど、もしかして白き黄金の太陽って人じゃないってこと?精霊だったりする?」

精霊…ああ、そうだ、そうだった。

白き黄金の太陽は、人ではなかったか。

忘れていたのか、見て見ぬふりをしていたのか

どっちだろうな、いかんな、思考がぼやけてきている

彼は…かれは

「素性も何処か遠い大地の生まれと育ちくらいしか俺達は知らなかった、扱う文字も見たことのない文字に聞いたことのない言語だった」

幼き頃にエルフや大陸を旅する一団から多くの話を聞き、多くの知識を持っていたとしても彼の言語を知らなかった

「全てに置いて得体の知れない人だったからな。我々は彼を異国の人だと思っていたが、もしかしたら、人ではなかったのかもしれない」

聖女様は知っておられたのだろうか?今となっては知る術もなし

知ったところで何が変わろうか

「だが、それが何だというのだ、俺は彼に何度も何度も…死んでからも助けられるとは思ってもいなかった。彼の気高き心は我らと同じく人だ、我らを太陽のように見守り力を与えてくれた素晴らしい人だったさ」

空に浮かぶもう一つの太陽は姿を消しこの場にはもういない

気配を探ろうとしても感覚が朧気となってきている俺では

聖女様の気配も感じ取れない…

サクラは感じることが出来ているのだろうか?

「我が祖よ、この様な場所で拝謁賜り何と」

兜を外して頭を下げてくる、俺の血を僅かだが受け継いでいるであろう遠き親戚がいる

「ああ、いいよ。キミはキミらしくしてくれて」

俺の事に気が付くなんて恐るべし慧眼だ

故に、サクラと反りが合わなかったのかもな

「では、その様にさせていただこう。それにしてもだ、くく、さすがは魔女だな、王族の意思を具現化させるとは恐れ入ったぞ」

俺の言葉を素直に聞き、可愛らしい笑顔をするではないか

我が遠き子孫は曇ることなく血を紡いだのだな

何処か遠い場所で二人のやり取りを眺めてしまう。

『大丈夫?』

「…って大丈夫!?消えたりしない!?」

っふ、鋭き二人に心配されてはな、隠すこともあるまい

「実のところ、少々危ういと感じている、俺を繋ぎとめていた楔は消えた。もう一人の俺であればまだ俺を肉体へと繋ぎ止めてくれるかもしれない、悪いが傍へと誘ってくれるかい?」

っふ、賢いサクラなら直ぐに気が付くだろう

もう一人の俺とて死者である彼もまた楔が消え

俺と同じであることを…

「うん!もちろん!」

気が付いていないのであればそれでよし

この体には魔力が廻り背中に背負っている魔石にも魔力が逆流する程に満たされている。

っであれば、俺の魂

その使いどころは…この先となる

もう一人の俺もそう考えているだろう

神経を集中させユキではなく俺の意思で腕を動かす

立ち上がる彼女の前にそっと白く染まっていく視界の中

俺の魂という魔力を彼女に託すためにああ、そのまえに

いしきが きえる そのまえに

「No2にも感謝を言わねばな、彼女のおかげでここ一番で、足りなくなっていた魔力が満たされ渾身の力を発揮できたよ」

らじあーたねえ、さんにおれいをつたえて、くれ

「驚いちゃった、まさか、そんな方法で私達に魔力を届けるなんてね」

ユキ、あとはまかせたぞ

指先を僅かに動かすことですら今の俺には…むずかしい

消え入りそうな意識の中

僅かに残っている体の感覚が抜けていく

おれというまりょくが

ゆきのからだからはなれ


最後の聖女へと注がれていく

さようならユキ


人類を頼んだぞ


『うん、聖女様の願い私が叶えるから安心してね』


ああ

おれの

じんせい


むねんをはらせれて


よかったさ



私を幼い時からずっとずっと見守り続けてくれた暖かい光が体から離れて行った。

彼に託された心技体、その全てをもって紡がれた願いを叶えて見せる

「え?」

驚いた声が聞こえ目をあけると紡ぐために繋いだ手が赤く染まり驚きの光景に瞼が上がり瞳孔が開き視界の焦点が合わなくなる

光の反射が目の奥へと届き眼球を反射される光へと動かす

「ぼさっとするな!我ごとで構わぬ!大地との別れを告げさせてやれ!!!」

光り輝く鎧は砕かれ胸椎の7番目辺りから赤く染まった毛むくじゃらの腕が姫様の眼前へと迫っていた

僅かに前へと、姫様へと進もうとする赤く染まった毛むくじゃらの腕を手に持つ槍を短剣へと変え瞬時に切り落とすと

「熱よ熱…我らに授けたまえ

 原初の輝きを我らに授けたまえ

 天に輝く祖なるは日輪へと届き

 汝らの願いをここへ叶えよう

 偽りの天を駆け抜け

 真なる天へと還り願いを成就せよ


フレイムタワー!!!」

気迫に満ちた声が周囲に響き渡ると大きな火の柱が空へと登って行った








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