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最前線  作者: TF


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45/843

知りたくない背景、知りたくなかった過去

加筆修正完了!


誤字脱字の見逃しあれば教えてくださいませ~><;


後、後書きにネタバレなどが含まれてる設定資料とかも残していこうかと思っていますので

初見さんは見ないようにしてくれますと嬉しいです!

重苦しい夢…これは悲しい夢…

夢だってどうしてわかるの?だって、目の前にいる女性を私は知らない。


ひとりの女性が永遠と泣いて、鳴いて、泣き崩れる夢だった…

声を聴いた…生きたいと

声が効いた…想いの重さに

声に訊いた…どうして悲しいの?いきれなかったから?


違う?会えないのが悲しいの?誰に?


…はっと目が覚める、貰い泣きしたのか、私の体も重たい、


目の前も真っ暗だ…こんなにも…ま、っくら?なんで?


ん?何で真っ暗なの?

腕を動かそうにも重たい…っていうか、息苦しい…!

ん!っと腕に力を込めてを動かそうとすると上に動かせない、腕が何かに当たってる感触がするし軽度に挟まれている感覚がする、動かすたびに頭よりも上から声が聞こえる、上には動かせない…ってことは!上がダメなら!下には動か、、、せれる!


何かに挟まっていた左腕を何とか引っこ抜き、全身を覆っている掛け布団をめくる!朝日のお陰で今の状況がなんとなくわかった。


私の頭を、がっしりと抱きしめるようにホールドしてるのはたぶん、姫様!目の前にあるネグリジェの色で判断する!そして目の前にある透けて見えるお臍は姫様ってことだよね!


っで!私の左腕を両足で挟んで股の下にガッツリと挟み込んでたのも姫様だ!

んじゃ、背中からずっと感じるこの熱い吐息は…メイドちゃんか!横っ腹の上に何か重みのある何かはきっとメイドちゃんの腕か?視線を下げると腕らしきものが見えたので、メイドちゃんの腕だと確信が出来る。


ん?足首も何かに挟まってるな、たぶん位置的にメイドちゃんの足の間に、挟まってると考えるのが普通かな?


ふむ、何となく今の状態を把握しきれた気がする。

頭の上は、姫様が、がっちりと私の頭部をホールドしている。

目の前に綺麗な臍、背面には、メイドちゃん、そして、恐らくメイドちゃんの左腕だと思うものが、私の横っ腹の上。私の右足首にメイドちゃんの両足


動かせれるのは左腕、右腕は伸ばしていて姫様の横っ腹の下敷きになっている。

動かせれるのは左足、幸いにも何も乗っていない、右足首はメイドちゃんの足に挟まれている…


うん、今回の脱出はイージーゲーム!姫様の脇腹を左手で擽れば!


…いやまて、短絡的に動くな待つんだ私、想像しなさい、擽った勢いで姫様の膝が私の顔面に刺さらないこれ?


…可能性が高い、危険だ。


なら、メイドちゃんの左腕を叩いて起こせばいいのか!それが一番だね!


空いた左腕でメイドちゃんを叩く!起きて欲しいと願いを込めて叩く!!

構造的に自分のお腹を叩くような感じでメイドちゃんの腕をペチペチと叩き続ける、しかい、反応がない…あることはあるのだけど、おでこを私の背中にこすりつけてくるだけ。


起きないなぁ…お日様が差し込んできてるのだからそれで起きて欲しいのだけど。

この二人って目覚め悪過ぎない?どうしたものかな?これは、あれかな?前回と同じように強引に起きるべきかな?どうしようかな?


どうやって起きようかと思っていたら視界の端に何か動くものが見えたなぁって、おもっていたら、真っ白な強い光が走った後にパシャっと音がした、この音を私は知っている、恐らく、カメラの音だね。


誰かが写真を撮ったのだろう、うんうん…って!

冷静に判断してる場合じゃなくない!?誰かに写真を撮られてる!?こんな恥ずかしい恰好を!?やだもう!恥ずかしい!誰か知らないけれど!悠長に写真を撮ってないで起こしてよ!


恥ずかしさで見悶えていると、聞きなれた声が聞こえる

「可愛い写真も撮れたし、ほら、貴女達、起きなさい、王城に行くのでしょう?お風呂に入って身支度を整えなさい」

ゆさゆさと頭が揺れる、きっと姫様を揺らし起こしてくれているのだろう。

それだけではなく背中も揺れる、きっと、メイドちゃんの肩を揺らして全体を揺らす様にして起こそうとしてくれているのだろう。


声の感じからしてお母さんだ。

もう、寝起きの写真なんて撮らないでよ、恥ずかしいなぁ…記念にのこ、す、よう…な…


まて?カメラ、写真、現像?だと?

…今の私の恰好はなぁに?ネグリジェ姿だよ?スケスケだよ?

…現像するときってさ、誰かに渡すよね?専門の人に渡すよね?じゃぁ、当然だけど、見知らぬ誰かに見られるってことになるよね?…


羞恥心が限界突破!頭の中から思慮が消える、本能のままに!流されよう!溢れる大河の如く羞恥心という感情に身をゆだね体が、勝手に動き出す。

「お母さん!それ現像しちゃ、やだよ!」

全身の力、おそらく無意識にそう、日常的に使ってしまっている、身体強化の術式を発動し、ガバっと勢いよく起き母へと手を伸ばす!

目標はお母さんが手に持っているカメラ!!だが、カメラを奪おうとするが手が届かない!!


強引に置き、母へと手を伸ばしているその間に、後ろの方でバターンと音がし音の後に「あきゃぁ!?」っという悲鳴が聞こえてきた、更には、別の場所からゴンっと物を叩く音がして「あが!?」此方は声が同時に聞こえてきたけど気にしない。


ベッドから降りてお母さんからカメラを奪おうと手を伸ばすが寝起きだからなのか奪えない!躱される!っていうか力づくで盗られないようにカメラを背中にまわさないでよー!私の性格を熟知してるぅ!!


「だぁ~いじょうぶよ、女性の人に現像してもらうから~いいじゃない、可愛い娘達の写真、欲しかったもの」

何で普段、持ち歩かないカメラ持ってるのよぉ…もしかして、ずっと前から寝てる姿を見て、こっそりと、カメラを取りに行ってたの?起こさずに?


お母さんとカメラの奪い合いをしていると、後ろから声が聞こえてくる

「いたいー!団長は、どうしてもいっつも起きるときはダイナミックなの?ゆっくり起きれないの?」この声は姫様だね、文句を言うのならこっちも文句を言いたいよ!寝相が悪いのが悪い!

声の方向を向くと、姫様は、どうやら頭をぶつけたみたいで頭を摩りながら目を覚ましている。

上の方にいたからベッドのヘッドボードにぶつけたのだろう。

「そーですよ~たまには耳元で甘く囁くように起こしてくれても罰はあたりませんよ?」

メイドちゃんがベッドの外まで弾き飛ばされたみたいで、ベッドの外からひょこと顔を出して文句を言ってくる。


じゃぁさぁ!キングサイズのベッドで三人でも悠々と寝れるくらいの大きさなんだからさぁ!私に絡みつかない様に寝てよ!!

私が悪いの?って反論しても、寝相をコントロール出来る物ならしてみせてよって、反論されて何も言い返せないのが目に見えて、言おうにも言えない…


なので、甘んじて受け止めようではないかその罵倒…!!

いつか、どんな寝相の悪い子供でもきれいにおりこうに寝れる方法を確立して本にして売ってやる!!見てなさいよ!!


寝起きすぐにそんなやり取りもあったからか、三人の目はしっかりと覚めた。

昨晩はお風呂に入っていないのを思い出し、全員でお爺ちゃんの家にある大浴場に入ろうと提案し、皆でお風呂場へと向かった。


お爺ちゃんの家にある大浴場を見て感じることはただ一つ!

流石は大貴族!!価値観が違う!!


まず浴槽が違う!細部までのこだわりが凄いとしか言えない!!

王族が来ても恥ずかしくないレベルの浴槽


服を脱ぐ場所、体を洗う場所、お湯につかる場所、天井、部屋の細部に至るまで煌びやか。

飾られている石造の造形が凄いとしかいいようがない、だって、私は美術に詳しくない、そんな私からしたら出てくる言葉は、凄いの一言だけだよ。


そんなことを姫様に言うと、王族の筆頭騎士が住む本家本流ですよ?これくらいは当然であり、当り前なの、だってね、有事の際とかのさ、いざって時が来たら、王族が避難する場所でもある。

だから、来賓室も、貴賓室も、王族仕様。


これが、当然なんだよって教えてくれた。

わかりやすい説明ありがとうございます。基本的に私って平民で、尚且つ友達もいなかったから世間知らずだもの…


ちなみに昨日、三人で寝た部屋も王族仕様の特別な部屋で、王族が来ても恥ずかしくない来賓者用の特別な部屋だよっと教えてくれた。

たぶん、姫様を泊めるには相応しくあろうと考えてくれたからだって。


私が小さかった頃に、お爺ちゃんの家に泊まる時はあんな豪華な部屋じゃなかったし、お風呂もね、基本的に部屋にある個浴で済ませたりしていたので大浴場に入ることは無かった。


それに、小さなころは気にしていなかったけれど、大人になって常識を知ってから、よくよく考えるとお客様が泊まる部屋に個浴がある時点で、おかしいんだよね。

私の実家にそんな部屋ないもの…

幼い時から使ってたから気にしてなかった、お爺ちゃんの家はそういうモノだと思っていた。


大貴族って、部屋っていうか屋敷の管理も大変そう。

だってね?廊下に置いてあったツボ!何処からでも、どの角度から見ても高そうだった!

何気なく飾ってある額縁に入った優雅な絵も高そうだった

これらを管理するためにも、使用人が、数多く必要なのも頷ける。


お父さんが、子供のころはここで育ってきたんだとさ改まって思うと…不思議な感覚だった。


だって、想像がつかないんだもの。

私の中にある、お父さんのイメージってね、ガサツだし、大袈裟だし、お母さんには、すっごい甘えん坊でさ、すぐにひっついてる、私にもひっついてくるけどね、髭が痛くて体がゴツゴツとして全てが硬いイメージだったもの、こんな優雅な場所で育ったお坊ちゃまだなんて想像も出来ない。


そんな人が、こんな綺麗な場所で育って大人しく生活していたなんて、ほんっと!想像が出来ない。


いつか、お爺ちゃんにお父さんが子供のころ、どんなだったのか聞ける日がくればいいな、たまにね、私の中にあるお父さんに似通った部分が重なってしまうのか、私を見て悲しそうな顔をしているから聞く勇気がわいてこないから、聞けないでいるの、今も…たぶん、今後ずっと、聞けないんじゃないかな。


お風呂に入っている間、ずっと、お父さんはどうやってこの家で育ってきたのかを考えてしまった。


少々アンニュイな気分のままお風呂を出ると使用人の方が廊下で待っていた。

姫様達が使用人を見て頷いた後、動き出すのでそれについていくようにすると、案内された場所には朝食の準備ができていた。

私達が席に着くと親戚一同も集まってくる、全員が集まったら、朝ご飯を食べ始めるのだけれど、まだ時刻が早かったのか、こくりこくりと舟をこぎ眠そうにしている従妹達の姿を微笑んで見守った。

眠そうにしている従妹ちゃん達も、何とか目を覚まして食べようとしているけれど、今にも目を閉じてしまいそうな程にすっごい眠そうだった。

昨日はお話が楽しくて夜更かししちゃったんだね。


そんな微笑ましい家族のゆったりとした時間が、ゆっくりと流れていく…この感じ、いいなぁ、こういった家族の団欒って凄く好き。


っていうか、やっぱり!うん!再認識した!私やっぱり子供が好き!

ぁ~あ、子供、産みたかったなぁ…欲しかったなぁ…No2の子供が、産まれたら絶対に会いに行く!…会いに行きたいなぁ、絶対に可愛いんだろうなぁ。


微笑ましく私が求める未来を堪能させてもらった、さぁ後は、準備して!王城へと!行くのだろうと勇んでいたのだが…ご飯を食べた後は、王城に行く準備の支度をするのかと思いきや、みんな服装を着替えることなく、そのままの姿でゆったりと食休めかのように過ごしている。


どうして、ドレスに着替えないのだろうかと疑問を感じているとメイドちゃんが流れを教えてくれた。

普段着のままで王城の門まで赴き、手荷物等や身体検査などの全てを終えてからでないと王城に入れない決まりになっているので、着るのに時間が掛かるし、身体検査もしにくい王室用のドレスを着ていくよりかは、着の身着のままで赴き、中で着るドレスも検査しやすいようにしてあげるのがマナー。


それに、着替える為の、更衣室兼来賓室があるので、そちらで着替えるのだそうだ。

なるほど。って、思っていたらお爺ちゃんは軍服を着ていた。


お爺ちゃんという格式高い立場の人といえど!ラフな格好で王城に行くのは憚れるそうです。

来賓者と共にであればなおさら、正装で赴かないと部下への示しがつかないんだって。

まぁ、それもそうだよね。


ほどなくして、全員の支度が終わったみたいなので、王城へ向かうことになったのだけど、てっきり、車で行くのかと思えば徒歩で向かうことに、歩き、なんだ、疲れないのだろうか?

手荷物を持てば疲れるだろうが、貴族のほとんどが個々のドレスなどが入った鞄を従者に持たせるので特に疲れることはない、寧ろ貴族としての基本だそうだ。


なお、遠方から来られるのであれば、王城の手前に馬車などを停める専用の場所があるので、そこに車や馬車などを停めてから王城へと歩いて向かうのだそうだ。

その為に従者が控えるための小屋も用意されている、ちゃんと馬で到着してもいいように馬房もある。


実のところ、お爺ちゃんの家は王城から目と鼻の距離なので、歩いたとしてもそんなに時間がかからない、なので歩いて行ったほうが早くつく。

大貴族として車が一番好ましい何故なら、見栄があるから、でもお爺ちゃんはあまりそういうのは気にしない人。つまり、あんな派手な車を買ったのは見栄ではなくただの趣味だということだ…


お爺ちゃんのコレクションを横目に見ながら王城へと歩く…

歩いて向かっている間は、お爺ちゃんと親戚一同に守られながら歩いていく、その、平民である私からすれば恐れ多い人達に守られていることになる。


普段だと彼らは王族を守る為に近衛騎士として働いている人達


そんな集団が歩いていれば周囲の人達を威嚇してしまうのではないかと注目の的では?っと思ったけれど、誰も此方を見ない、軽く会釈をして通り過ぎていく人達ばかり…どうやら私の気にし過ぎっということかな。

お爺ちゃん曰く、彼らはまだまだ技量が育ちきっていないみたいで私達の街にいるベテランさんからすると未熟者だと教えてくれたけれど…騎士組からすると上位に与する人達だよ?

そんな彼らと私達と共に街へとやってきた戦乙女達に完全に守られながら歩き続ける。


暗殺を企てるやつが、この布陣に対して攻撃を仕掛けれる勇気があるとは思えない、姫様も、それを感じているのか完全にピクニック気分でのんびりとのほほんと気の抜けた感じでいる。

私も彼らに負けじと気合を込めて周囲を警戒!…してはいるのだけれど、する必要性を感じることができない、無駄に気を貼りすぎていてはいけない、弛めるところは弛めよう。


王城の手前に当直するころには適度に緊張感が抜け自然体である蹴れるようになってきた。

王城へと通じる大きな大きな門の前には当然、門番がいる。

その門番にお爺ちゃんが挨拶をすると姫様も手を振って挨拶をしている、お互い緊張することなく世間話をしている間に門が開かれた。


ここで何かしらのチェックでもあるので何処に検問室があるのかと指示を待っていると、何もなくそのまま真っすぐに通してもらった。

きっとあれだよね?近衛騎士が居るので、そのまま通してもらったってことだよね?

本来であれば、門近くにある検問室までは門番や騎士が同行して、手荷物や身体検査などを徹底的にしてから通してもらえる手筈になっている。

こんな簡単に王宮へと通じる門を通れたりはしない。


因みに、手荷物などの荷物はすべて渡してある、検査はするみたいで、検査が終わってから、従者が騎士と共に、貴賓室、または、来賓室に向かうようにと手筈を整えてくれたみたい。

あれ?私も、もしかしなくても貴賓扱いされてない?…されてる気がする。


警護で来たはずなのになぁっと自分で思っておきながら、初めてくる王宮への道に心が浮足立ってしまう。

王城なだけあって警備は頑強で堅牢。

故に、中で事件が起きることは稀なのである、だが、それは王城の中が腐っていれば話は別である。

そう思い返し浮足立つ心を地につかせるように意識を改める。


姫様の過去の経験や立場からすると、王城もまた、敵の懐の中になる。

私が守らなきゃ!初めてくる煌びやかな場所だからと言って油断してはいけない!観光できたんじゃないのだから!


気を引き締めて何が危険なのか考えていく。

お爺ちゃんが傍にいる間は直接的な攻撃は無いとみていいだろう。

間接的な、そう、毒やお香等による誘惑に幻術等々の絡め手を警戒しないといけない。

その為か、王城の外よりも、門をくぐってからお爺ちゃんも近衛騎士も戦乙女も、もちろん私も姫様も一気に緊張感を高め警戒している。


ここにきて思い出してしまう、お爺ちゃんも、本来であればそんな不埒は輩はとっちめてやりたいのだが、王族がその不埒な輩と通じていたりするから迂闊に手を出せない、そんな一派がいると嘆いていたのを…


王族と言えど一枚岩ではない。

お爺ちゃんが警戒しないといけないことが多すぎるって嘆いていたけれど、どうしてそこまで?


王族なのか、王族と関係がある貴族なのか、何方かはわからないが、どうして、姫様の事を警戒するのだろうか?


私が知っている知識なので間違いが有るかもしれないけれど、たしか…

基本的に王族は世襲制で、王族の血無くしての継承権は無いって教えてもらったことがある。

だから、姫様の財が増えていったとしても王には成れない。


王都の民も王族に対して大きな不満を抱いているとは思えない、よね?

私の知識が古いから何も言えないけど、あれ?前の王様と今の王様っていつ変わったっけ?

それくらいの知識しか私は持ち合わせていないので断定できないが…

もしかしたら、今の王様に対して不満を持ってる人は数多くいる可能性もあるよね。

だから…世襲制っという古い制度を取り払い、新たな王を迎えるべきなのだと声を上げる人が…いてもおかしくないってことか。


きっと、私の知らないピースが幾つも散らばっていて、全体図が見えていないだけなんだと思う。

全てのピースを把握しているお爺ちゃんや、姫様だからこそ見える世界があるのだろう…

うん、私が幾ら考えたってわからないからいいや、関係ないし、護衛に集中しよう。


気品よくお母さんを見習って平民であろうと淑女のような佇まいで歩き続ける…あれ?

疑問があるんだけど、どうして、お母さんもさらっとついてきているのだろうか?


違和感なくずっと居たから誰も突っ込んでいないのかな?いいのかな?平民が普通に王城にはいってもいいものなのかな?


私は一応ね、姫様の護衛として数に入っているだろうし、メイドちゃんは従者だし…

戦乙女の方達は…何名かは門のところで別れたけれど、後で合流するとして、彼女達も護衛として来ているわけで許可をもらっているはずだから…許可はどうしているのだろうか?


ぁ、そうか、お爺ちゃんの従者枠として見られてるのか、もしくは愛人?


…その線もあるのか?ん~、いくら考えても答えが出ないので、考えるのはやめよう、判断材料が少なすぎる。


そんなことよりも!私がすべきことをしよう!


ふぅっと一息吐いた後、神経をより尖らせて毒に備えていく、毒は、医療班にとって絶対的な必要知識。

最前線の街でトップを名乗る存在が毒の知識で負けるわけにはいかない、如何なる毒であろうと見つけて返り討ちにしてあげる。


大陸全土で最高の地位であり、誰よりも知識や経験が豊富でなければ成れることが出来ないNo1の力を侮るなかれよ?


私達、最前線の姫を狙おうものなら鏖殺、毒殺、圧殺、一族全員、鏖だ。

人類の要に、仇名すものは全員獣と同義!敵であれば殺すは道理!


人を殺す覚悟?そんなものは医療を志すものであれば当に乗り越えているさ、人を殺すのと生かすのは表裏一体、馴れたものさ。


殺意と殺気が昂ってきてピリピリとしていると姫様がトントンっと肩を叩いて

「ダメよ、その気配は、消しなさい、貴女の役目は盾、殲滅する抜身の刃じゃないわ」

冷静な顔で落ち着きなさいと咎められた、私がここに居るのは姫様からしたら何かしらの意図があるのだろう、だから、服装も指定してる、成程、姫様は


この服装が似合う人物として行動することを求めているのか


先の一言で姫様の意図が少し読めてきた、私の役目は盾


そして、この服装は姫様の愛するお母様が愛した服装、っということは姫様の縁深きものと認識させる為


つまり、影武者は…無理があるか、姫様の顔は、ここに居る人達なら全員が知っているはずだから、姫様の従者?縁者?もしくは、私に注目を集めさせる為?


真なる意図は読めきれないけれど、恐らくそういった感じなのかも?っであれば、ここは姫様の縁者として祝勝会を楽しむ淑女として活動しよう。

そこに何かしらの意図があると思う。


教えてくれてもいいんじゃないのって思ったりもしたけれど、私は私を良く知っている、理由などを知ってしまうと、意識しちゃって出来ない動きも出てきてしまう、今回の意図は恐らくはその類だと思う。

つまり、この格好をさせることで、私を何処かの縁者として認識させる、つまりは、王都でも出版されている最新医療の申し子と言われる最前線のNo1である私だと悟らせないためかな?


ふむふむ、なるほどね、っであれば、私が神経を尖らせるのは良くない、この服装に似合うような極上の淑女として振舞おう。


ん?私の迷推理が囁きかけてくる?これってさ…場合によって、もしかしなくても、私って、切り札的な立ち位置じゃないこれ?…

んあ!?それは気づきたくなかった!?そんなの事前に知らされていたらあがっちゃう!?絶対にボロだしちゃうじゃん!?緊張して夜寝れなくなっちゃうやつじゃん!!

…意図を話さないでくれてありがとう…


取り合えず、今は!全力で淑女としてあろう!!


沸き上がる殺意を完全に消し去ると、ちらりとこちらを心配そうに見ていたお爺ちゃんもふぅっと溜息をついた後は、視線を前に向けていた。

そうだよね、お爺ちゃんの立場からすると、傍にいる人が王城の中で殺意をまき散らすのは良くないよね、ごめんなさい、迂闊でした。反省します。


反省していたら頭を撫でられた、撫でてきた人を見るとお母さんだった、偉い偉いっと褒めてくれるように撫でてくれる。


うう、この人たちからすると私はまだまだ手のかかる子供って感じがしてダメダメだなぁって痛感しちゃう、やっぱり私に政は向いてないのだと痛感しちゃうよ。


私の心が落ち着くと同時に、城の前に到着した。

タイミングが完璧すぎて、歩く歩幅も調節されていたのだと肌で感じる、もしかしなくてもきっと私の昂る気配が落ち着くのを待ってくれてたんだね。

はぁ、この集団は凄いなぁ、ありとあらゆる策略や、謀略が、通じなさそうだと感じる。


こうなると私程度の知略策略なんて児戯も同然ってことだね。

そうとわかれば、私はその場その場の判断に、流れに任せて動くのが吉ってことだね。


そんなことを考えていると、あっという間に来賓室の前に到着。

到着したのだけど、お爺ちゃんも、姫様もドアを開けて中に入らない、防御関連の術式を展開した戦乙女がノックをした後に、すっと来賓室の中へと先に入っていく。


ってことはつまり、罠の確認ってこと!?来賓室も無断ができないってこと?姫様も目を閉じて神経を集中させている辺り、遅延性の罠などで、誰かが部屋に入ったら発動するタイプの術式が起動しているのか、していないのか、チェックをしているようだ…

この辺りの術式に関して姫様以上の術者はいないので姫様に任せるのが適任。


部屋から戦乙女が顔を出して合図を出してくれた、どうやら危険性は無いと全てのチェックを終えたようで、お爺ちゃんが入っていくとみんなお爺ちゃんの後ろから逸れることなくついていった。


中に入ってからは、休憩する間もなく次の行動へと移していく…

全員がドレスコードに沿って着替えていく。


私も同じようにドレスを着て装飾品をつけていくんだけど、こんな高そうなのいいのかな?姫様が持っていた宝石じゃないのもあるけど、どこから?って思っているとお母さんが「お義母様達のコレクションをお借りしたのよ、どの品も最上級の逸品よ」っと、教えてくれた。


私に用意されたドレスは以前、姫様が届けてくれたお母さんが造ってくれたドレスだった…

お母さんの前でこれを着れるのが凄く嬉しかった。

場所が場所じゃなければもっと最高だったのに、、、

「本当は貴女の結婚式でみたかったわ」

お母さんもそう感じてくれたみたいで思っていることは一緒だった。

慈しむような表情でこちらをしみじみと見てくれる。


実はこのドレスってね、お母さんが自分の結婚式で着るために造られたドレス。

このドレスは何処の如何なる場所でも着て行っても恥じない出来栄えで、私の自慢。


ドレスを着てお爺ちゃんの前にでると、お爺ちゃんの目から自然と涙が零れおちた、きっと、お父さんとお母さんの結婚式が脳裏に蘇ったんだと思う、すぐにはっとして涙をハンカチで拭いて豪快な笑顔で「孫ちゃんは世界一可愛いぞ」っと応えてくれた。


姫様も、メイドちゃんも、その場にいる全員が世界一可愛いよね!って褒めてくるのやめて!恥ずかしいから!


顔を真っ赤にしているとドアがノックされ、返事を返すとドアがゆっくりと開かれ、マントなどの豪華な装飾が施された鎧を着た人物、恐らく王宮騎士の方だろう。

彼が優雅に、準備が出来ましたので移動を願いますと、声をかけてくれたので全員で移動を開始する。


私もこの姿になってしまった以上、来賓者として気品があって、優雅に、淑やかに、誰から見ても、どこの誰にも、後ろ指を刺させない淑女として動こう。

勿論、いざとなればドレスを穢したとしても私は動く。決意を胸に抱き歩をお淑やかに進めていく。


祝勝会の会場に到着すると以外にも人が少なかった、もっと大勢が居るのかと思ったけれど、そうでもなかった。


会場の中には複数のテーブルが置かれ、全体的に落ち着いた雰囲気でスペースもかなりゆとりがある。

きっと、各々のテーブルに置かれた軽食を立食スタイルで食べる感じなのだろう。

確かにこのスタイルの方が不特定多数の人が食すので毒を盛るといった行為は警戒してなくてもよさそうではあるけれど、警戒は怠らない。


どこぞの誰か知らない人が持ってきたものは全て警戒した方が良さそうだ。


毒味係に徹するのがいいのかな?って思ってると姫様がトントンっと肩を叩いてなんだろうと思って、姫様が首のスカーフをちらっとめくって見せてくれた


魔道具装備しとるやん…

効果は確か、登録してある毒が近くに来ると振動して教えてくれる毒を発見する魔道具、通称、検知機器

空中に散布された毒、飲み物の中にある毒、食べ物の中にある毒も検知してくれる優れもの。

登録してある全部の毒に警告をしてくれる優れものだ。


毒持ちの敵に対して生み出した対毒用の兵装。


なお、世間には公開していない。

どうしてか知らないけれど、姫様が故意に秘匿した技術の一つなので、それを持ち出してくる辺り本気で気を付けないといけないのか。

全ての毒に対して対処できるように毒見係頑張るねっと頷くと首を横に振られ耳元でささやかれてしまう。

ん?これつけてるから大丈夫?毒味いらない?でも、その体はした方が良くない?ぇ?流石に王宮の中でそれをするのはマナー違反?確かに、了解ですぅ…


余計なことはしないでねっと釘を刺され、淑女として背筋を伸ばしてただただ、立ち尽くしていた。


緊張が途切れることが無くとも祝勝会が恙なく進んでいく…

姫様もメイドちゃんが持ってきた飲み物しか一切、口を付けていないので、私もそれに倣おうとする、それを察しているのか、事前に打ち合わせしていたのか、メイドちゃんが姫様と私にも飲み物を配ってくれている。


お母さんとお爺ちゃんは普通にその場で待機している従者から飲み物を貰っている。

お爺ちゃんが優雅に振舞っているのは理解できるんだけど、お母さんはどうしてそんなにも落ち着いて行動が出来るのだろうか?…お爺ちゃんに色々と付き添わされているのかな?


周囲を警戒しつつ、何があっても動けるようにしていると…

何事も無く祝勝会の締めとして最後は、姫様が玉座の間に連れていかれて受勲と報酬を受け取ってお終いっという流れになったんだけど…

玉座の間に入れるのは呼ばれた人だけなので、姫様だけが中に入っていく

大丈夫だろうか?


お爺ちゃんも入ろうと思えば入れるのだが、現在の王様の筆頭騎士はお爺ちゃんじゃないので、中に入るのを遠慮しているとのこと、暗殺を企ててる愚か者がいたとしても玉座の間に賊が入れることは無いし並大抵の者は出入りできないので安全だって言ってるので、安心して待つことに。


大人しく待っていると、誰かが近づいてくるので誰だろうとみてみると、軍服を着ていて、顔を見るとお爺ちゃんと年齢は近い感じ、軍服には数多くの偉そうな輝かしい星や月が飾られている、私って偉いんです!ってオーラを撒き散らした人が近づいてきて私達一同に向かって声をかけてくる

「来てたのなら一言くらい欲しいぞ」

ん?ああ、そっか、お爺ちゃんの同僚かな?でも、来てるなら一声欲しい?位が近そうだし、王城に内にいるってことは王城勤めでしょ?だったら、毎日会ってそうなのに?お爺ちゃんの上司は王様以外いないよ?誰に対して言ってるの?


「どうして、私が貴方様に声をかけないといけないのですか?軍務大臣様」

お母さんが冷静に冷酷な態度で接し始めた、っていうか、軍務大臣なんだ…ぁ、どっかで聞いたような声だと思ったらあれだ、毒猿の時に話してた司令官の声に似てる、っていうか本人?


「っぐ、む…騎士の、何とか橋渡しをしてくれんか?」

軍務大臣が情けない声でお爺ちゃんに声をかけるが

「前も言ったであろう、自業自得だと、己が過去の罪だ、認識して改めよ」

基本的に誰にでも優しいお爺ちゃんが厳しい?何かやらかした人なの?っていうかお母さんも態度がすっごく冷たい…何をしたの?


「に、認識して改めておるよ!その機会をくれといっておるのだ」

この言葉に、二人とも沈黙して一気に雰囲気が悪くなっていくんだけど?

これってさ、私でもわかるくらいに一触即発状態ってやつだよね?


どうしてこうなったのか、状況が理解できず、やや思考がパニックを起こしてしまう。


一体全体何事?ぇ?状況がわからない!?

完全に蚊帳の外、こういう時はどうしたらいいのか…

部外者オーラを出して、私はその場にいませんとモブに転じて静観するのが一番。

静観しながら状況を分析して把握することに努めよ、だね。


「ふむ、そうだな、お主としてはしっかりと反省したのだと思うが、その態度はいかんな」

お爺ちゃんが叱っているのを見る限り、お爺ちゃんの方が年上で偉いと判断

お爺ちゃんの鋭く冷たい言葉を投げかけられても何も反論せず静観を務めている軍務大臣、やや眉間に皺が出来ているが何に対してだろうか?

直ぐ近くにいて声もかけられているのにお母さんは彼へと一切の視線すら寄こさない辺り、相当ご立腹?

…貴族嫌い…

っは!?そっか、もしかして、この人が原因じゃないの!?

お母さんの敵は私の敵!こいつは敵だ!私もお爺ちゃんに倣って静かに相手に気取られない様に殺意を高めていく。


「っぐ、む、そ、そうはいってもだな、私にも立場というものが」

軍務大臣の人が弁明を言おうとした瞬間にお爺ちゃんが言葉に割って入る

「それ以上、その先の言葉を紡いでみろ、お主は永遠と贖罪の機会を失うと思え、それは自分自身に対しての保険であって、誠意がない、謝罪の言葉を述べたとしても、その態度では、到底、相手が受け止めるとは思えんぞ、わかっておるか?このワシが、ここまで譲歩してやっているのも、お前の立場、出自、故だからな?そうでなければ、不敬罪を用いて、この場でその首を落とされたとしても、誰も文句は言えんのだぞ良いのか?」


お爺ちゃんの殺気がドンドン膨らんでいくのがわかる。

この人、何をやらかした人?まさか、姫様を暗殺しようとした粛清できない王族とつながりのある一派?だとしたら全人類の敵だけど?一歩でも近寄ったら殺すよ?

内なる殺意のボルテージがグングン上がっていくのが解る。


「う、ぐ、はい、申し訳ございません、師匠には幾星霜、人生の全てを教えてくれた方の言葉に正直になります、ここからはただの一人の愚かな人間としての発言をお許しください」

軍務大臣の方が直角90度に曲がるほどお辞儀をすると、それを見たお爺ちゃんが冷静に忠告をする

「そうだ、最初っからその態度で接すればよいのだ、二度は無いぞ?間違えるなよ?これが最後の贖罪を拭える機会だと思って誠心誠意、一人の人間として向き合いなさい」

膨れ上がった殺意が一瞬で消えるあたり、お爺ちゃんとしては、面倒を見ないといけない相手っぽいね、そんな人物が姫様の暗殺を企てるとは思えないので、私も殺意を鎮める。


頭を上げた後、お母さんの方に体の向きを変えて先ほどと同じように直角90度、ううん、それ以上の角度まで頭を下げて

「あの件は、申し訳ないと思っている、許して欲しい、愚かな私を許して欲しい」

何かについて謝っているけれど、軍務大臣がお母さんに何をしたの?…ぇ?もしかして性的な事?だったらお父さんに変わって天誅を下すけど?お母さんが許しても私とお父さんが許さないよ?

落ち着かせた殺意がまた心の底から湧き上がってくるのを感じる。


「具体的に、仰っていただけますか?どの件で謝っているのかしっかりと内容を伝えないと相手には伝わりませんよ?軍務大臣様」

お辞儀を一切見ないで答える辺り、本気で、お怒りなのが伝わってくる。

内容次第でお母さんが許しても私は許さないよ?


「…愛した人の葬儀に出ないで、墓にも一度もでむけれ、いや、違うな行かなかった件です、心の底からお詫び申し上げます」

…ん?…ぇ?墓参り?愛した人が亡くなったけど、何もしなかったってこと?

それは、まぁ、確かに人として最低だけど、ん?なんでお母さんに謝るの?


「それだけ?」

お母さんから出た声が、非常に冷静に冷酷に声を出しているのが、声の雰囲気からも静かな怒りを露わにしているのが伝わってきてしまい、背筋が寒くなる。

あ、え?まだあるの?この懺悔の席は、まだ続く感じ?どれだけ余罪があるの?どれだけの罪を背負ってるの?


「…お前が産まれてから、大きくなるまで一切会わないで、お金だけを渡して、アイツが、いや、良くないな、貴女の愛する母親が死んでから、我が物顔で貴女の前に、上から目線で声をかけ横暴な態度を取ったことを心の底から反省しております。あの時の、いや、今までの私は人として最低でした、可能であれば、今一度、贖罪をする機会を頂く機会をお与えくださいませんか?何卒、何卒、お願い申し上げます」

話を聞いて漸く経緯がわかった、そうか、この人がもう一人の、お爺ちゃんなんだ。

そして、お母さんが貴族嫌いの原因となった人か。


お母さんから怒気が消えていくのを感じ取れる、ゆっくりと軍務大臣の方に体の向きを変えて

「心からの謝罪を受け入れましょう、貴方のその言葉を、もう一度、母の墓前でしていただけたら贖罪として受け入れましょう」

慈愛に満ちた表情で許してあげていた、その言葉を聞いた軍務大臣が顔をがばっと上げて大粒の涙を流している、その姿を見たお爺ちゃんはふぅっと安堵した顔で溜息をついていた。


「ありがとうありがとう、こんな愚かな大馬鹿野郎を許してくれてありがとう、ありがとう!!」

お母さんの手を握って俯いてボロボロと大粒の涙が流れ、床を濡らしていく…


落ち着いたら色々と話を聞かせて欲しいなって思っていたら

「ふぅ、私はね、正直、もう、貴方の事なんて一片たりとも頭の片隅にもなかったくらいどうでも良かったの、気にもしていなかったわ、ただね、お会いした時にしっかりと反省してくれていないのであれば、お母さんが許さないと思うし、その先も無いと思っていたの、しっかりと反省してくれているのであれば、私からは何もいいませんよ。」

すっとハンカチを渡して涙を拭いなさいと言う、その姿はまさに聖母そのものだと感じてしまう。


ハンカチを受け取り顔を上げて涙を拭っている軍務大臣にお母さんは

「でもね、謝りたいからって呼びつけるのは愚かな行為よ?それもしっかりと反省しなさい」

しっかりと反省の足らない部分を追撃する辺り、容赦のない人だと実の子供としても恐ろしかった。


その一言を聞いた軍務大臣も顔を真っ青にして、

「はい、その節も大変申し訳ありませんでした。」

もう一度ガバっと頭を下げて謝っていた。


「もういいですから、頭を上げなさい、初めて会う孫に愛想をつかされますよ」

へぇ?っと情けない声を出しながらガバっと顔を上げて辺りを見て、直ぐに私が孫と判断したのか私に目線を向けてくる。

ん~私も初対面だしこれはどうしたらいいのかな?


「あ、ぇ、あれ?噂では産まれた子は男だと聞いていたが、もう一人、産まれていたの?」

状況が、読み込めていないご様子、それもそうだ、私の出生時は男として届け出を出しているのだから、そう思うよね、普通なら、二人目が居たんだと、そう考えるよね。


「いいえ、私の愛する子供は一人だけよ、この可愛い子だけ、男じゃないの、女だったのよ」

何か事情があってそうしたのだろうと、何か理由があったのだろと察したのか

「なるほど、そうだな、そういった事情もあるか、孫よ、大変な宿命を背負わせてしまったようで申し訳ない、私が至らぬばかりに!!この爺を許して欲しい」

慌てて目の前に駆けつけてきて手を握り、震えながらも謝ってくるけど、貴方の頭に生まれた物語がどうなってそうなったのかわからないよ、だれか説明して欲しいですぅ。


ふぅっと腕を組んで天を仰いだ後、お母さんがポツリと言いだした

「よく聞きなさい娘よ、貴女の血筋を頑なに教えなかった理由を今から説明するわ、予想通りといいますか、姫様が貴女を王宮に入れる時点でこうなるとは思っていましたけれど、本当にこうなるとは思っていませんでした、こうなってしまった以上、姫様のご要望通り全てを語りましょう」

え!?姫様も知ってたの!?しかもこの状況を予測していたの!?


そこからは、ゆっくりとお母さんが丁寧に説明をしてくれました。

お母さんの知らない部分は軍務大臣の方が補足を入れてくれました。


簡単に簡潔にまとめますと


軍務大臣は王族の血筋でした、つまり、私は王族の血筋という事になります!


嘘でしょう…嘘だといってよ…


ぇ?もっと詳しく?

そうだよね、私も、内容が、驚きの連続で、なんてまとめたらいいのかわからなかったの。

まとめるのが難しいので、ほぼそのまんまを言うとこんな感じ?


まずは…

軍務大臣は、現王の祖父君?つまりは、えっと、前々王と側室の間で産まれた子供で王位継承権を持っていたけれど、結果的に言えば、軍務大臣は、王に成れなかった。

自分自身も王位継承の時に器ではないと思っていたけれど、当時の王よりかは自分の方が王として器も何もかも、全てにおいて相応しいと驕っていた。故になのか、王には成れなかった。


当時、次代の王を決める王位継承の候補には上がっていた、けれど、内情では絶望的だったのを後になって知った。


そんな悲しみと絶望の渦中にお爺ちゃんが平民の女性と出会った。

その人が、自分の身分を隠して接していても、親身になって相談にのってくれて慰めてくれて本気で、心の底から惚れた。

その人のお陰で立ち直れたし、前に向かって歩けたのだと感謝もしているし、本当の愛を知れた。


幾度も逢瀬を重ね、その都度、二人の恋と愛は燃え上がっていって、ある日、その人の妊娠が解ったのだけれど、その時の軍務大臣は王位継承権を有しているにもかかわらず、悠々と生き過ぎていて、ろくに結果も出せていなかった。


当時の軍務大臣を諫める人からも、愛に溺れていたのだと注意もされていたので、これ以上、評価を下げてしまうわけにはいかないので会いに行けなかった。

本音は、一緒に暮らして子供を育てたかったが、王宮務めとして結果を出さないと自分の立場も危ういし、相手にも迷惑をかけてしまうがゆえに近寄れない状況ではあった。


悩みに悩んだときに、子供のころに鍛えてもらった、そこにいる筆頭騎士様に相談し本格的に弟子入りし、人生をやり直すつもりで、ゼロから見習い騎士としての道を歩むことにした。


その結果、王位継承権を破棄し、一兵卒の見習い騎士として王宮で働く許可も貰い働くことになった。


当然、貰える給金は非常に少なく王族だったときとは比べ物にならないくらいに貧しい生活だった、少ない給金を貰っては妻の家に出向きドアをノックして会いたいと…願っていたけど、貴族として失墜してしまったので、会わせる顔が無いと思い、お金だけを置いて去る日々を送っていた。


今になって思い返してみれば、妻には一度たりとも自分が貴族だと話したことが無かったので、見栄なんて張らないで素直に会えばよかったと反省している。

現に何度も何度も、師匠にお小言として言われ続けていたのに、頑固に意固地になって会いに行かなかったのがダメだったのだと心の底から後悔している。


元々、側室からの出自である私は貴族としての背景が無いので、誰も助けてくれないと思っていた。

だから、独りで孤独に頑張り続けていたのだが、この地位に立ってからこそ、知る真実があるのだとわかった、見えないところで師匠からは幾度となく助けてもらっていたのだと知った。


その後、騎士として結果も残して元王位継承者っという部分も配慮されて、恐らく前王、今代の王の父上が融通を利かせてくれたのだろう。

一部隊…騎士部隊の隊長にまで登り詰めたので、今度こそ!胸を張って堂々と、愛する妻とまだ見ぬ子を迎えに行こうと思い、正装を着て会いに行ったのだ。

扉をノックし、愛する妻が出てくれるのだと思っていた、思っていたのだ…まさか、亡くなっていたとは知らなかったんだ。


目の前には、愛する妻に似た10代半ばの幼さを残した女性が居て、すぐにわかった、娘だと、私たちの愛から産まれた娘なのだと一目見てすぐにわかった。

娘は、母親の家計が代々してきている、服飾の仕事を一人で切り盛りし生計を立てていた。


私が置いていたお金はどうしたのだろうかと聞いてみると、貰ったことはないと言う、嘘をついているようには見えない、どうやら、いつの日からか家の前に置いていたお金は誰かに盗まれていたのだとわかった。

いや、最初っから届いていなかった可能性の方が高い

…迂闊だった、平民がまさかそこまでお金への執着が強いのだとは思っていなかったのだ、目の前にある人さまのお金を盗むなんて非道をするとは考えが至らなかったのだ…

愚かな世間知らずの私が悪かったのだ。


それが解ってしまった以上、出来ることは目の前にある愛の結晶を保護するべきなのだと思い、つい横暴な態度を取ってしまった。

私の中にある父親の姿は、偉大な父しか知らない、そのせいもあって横暴に接してしまったんだ。


その後は、風の噂で師匠の息子と子を成したのだと知り、師匠の息子であれば、何も心配はいらない、私は関わってはいけないのだと思っていた。

だから、会わない様にしていた、だけど、悲報を知り、独りで生きるのは辛いだろうと思って何度か呼び寄せたのだが、応じてくれなくてな、今に思えば、全てに置いて横暴すぎると思っている。


そして、気が付けば、息子も死の街に旅立ったと聞く、その時も何度か連絡をしたのだが、返事が返ってくることは無かった、私の助けなど要らないのだと思っていた、そんなときに一度だけ返事を貰って、勢いよく開けたその、中身は一言だけ


【反省の色なし】


その一言で自分のしてきたことが間違っているのだと心の底から理解し、何を反省するべきなのかはわかっていたのだが、プライドが邪魔して謝りに行けなかったのだ。


そして、今日に至るというわけで、頭ではわかっていても、プライドというものが邪魔をしていた結果、こう、なってしまったわけだ。


全てを語り終えた軍務大臣の目は赤く、鼻も真っ赤に染まっていた。

そんな軍務大臣が私の手を震えながら取り

「王位継承権が、貴女にはある!私の血筋として、王に至る、その可能性を残すために出自を男性としたのだな、そして、男として亡き偉大なる父の様に死の街で成果を上げて騎士としての喝采を浴びてから王位継承権に挑むつもりなのだろう?茨の道を歩ませて済まない!だが、孫の願いであれば、この老骨、例え道半ばで死のうが絶対に叶えてみせようぞ、その時がくればぜ」

一人、感傷的になり早口で、全力で、勘違いのまま突っ走ろうとする軍務大臣の頭をお母さんが叩くと

「…ぇ?」

素っ頓狂な声でお母さんの方に振り向き、何がどうなったのかわかっていない様子だった。

まさか、実の娘に頭を叩かれるとは思ってもいなかったのだろう、お母さんは誰であろうと容赦がない。


「ふぅ、お父様は勘違いなさっておりますよ、その子は出自を知らないので、自分に王位継承権があるなんて知りもしないのにどうやって、その道を歩むのですか?」

やれやれっと溜息をつきながら注意をするがお父様っというフレーズに感動している様子だった

取り合えず、私としても私の意見を通すべきだ、よね?

「えと、お爺ちゃん?っでいいんだよね?あのね、お爺ちゃんが思っているようなことは一切ないからね?」

私も流れに乗って、軍務大臣の思い違いを正そうとするが、お爺ちゃんというフレーズが更に感動を呼びせてしまったのか、更に手が震えていく。


このまま、放置しても何も起きそうもないので、今のうちに我を通させてもらおう。

そこからは、今までの私の人生を語っていく…

おとなしく話を聞く人なのかな?っと不安に思いながらも語っていく。


驚いたことに、素直に、真剣に話を食い入るように聞いてくれた。


そして大粒の涙を流しながら抱きしめてきた、そういった行動は嬉しいけど、お胸の勲章が痛いなぁ…配慮がたらん!


「もっともっともっと、俺が素直になって、お前たちに寄り添っていれば!済まない済まない!不甲斐ない父親で不甲斐ない爺で!不甲斐ない弟子で申し訳ない」


そこからは、落ち着くまで待ってあげてから、勘違いを一つずつ正していく流れになった…

糸を掛け違えるだけで、人生は複雑に絡まっていく…そんな言葉をお母さんが呟いていたのが耳に残ってしまった。


一通り落ち着くとお爺ちゃんが軍務大臣に向かってポツリと小声で

「よいか、幸いにもここに居る、警護や使用人は、全て私の息のかかった信頼できる人物だから良いが、お孫ちゃんが姫様と共に王城に来たことは伏せるのだぞ」

忠告している…やっぱり、私を女性の恰好を貫きとおそうとしていたのは、娘として認識させるためってことだよね?男だと、問題があったってことか。


念のためにお爺ちゃんに向けて小さく手招きをして近くに呼び寄せて小声で、確認を取る。


男性のままで姫様と一緒に王城にいくのってもしかしなくて

王位継承権がある男性が、世界中で賛美され、大陸を豊にした伝説の女性と共に王城に入っていったと世間様に見られてしまったら


これはもしや?下剋上?一揆?みたいに早合点して捉える人が出てくる。


そして、その流れを使って、今の王政に離反を唱える人達が集まってきて、私と姫様を担ぎ上げて反旗を広げ、国家転覆を狙い、私と姫様を王様と王妃に据えようとするって企みが発生するってこと?


お爺ちゃんがコクリと頷いたことにより予想は確定すると同時に冷や汗が背筋を全力疾走する。


あっはー、そういうことね!

姫様が危惧していたのはそういうことなのね!私の出自を姫様は理解してくれていたのね!

それでか!!私と一緒にさ!王都に行きたがらないの!そういう意図があったのねーー!!知りませんでした!っていうか、知るすべがないよ!!どうやってもそんな答えに辿り着けるわけないじゃん!!


ん?ぇ?ちょっとまって、それじゃ私って王族の血もあって、尚且つ、筆頭騎士の血もあるってこと?王家にとって最上の血筋ってこと?一揆を興すには最高の条件整い過ぎてるってこと!?


想像してしまった自分が玉座に踏ん反り返っているが、裏では色んな人たちにあれをしろこれをしろと指図され傀儡になっている姿を…


あー、知れば知るほど重なっていくぅ!真実が積み重なって答えがみえてくるぅ!!!政の御輿に乗せるには最良物件すぎるぅぅ!!!腐敗した王家を正常なる王家に戻す御旗じゃーん。

やだー!そんな人生望んでないーーー!!


知りたくない真実…

きっと、周りの人達、全員が私のことを思って秘密にしてきた内容なのだと話を聞けば聞くほど理解していく。

今までの私だったら、自分自身のことで精いっぱいで、余裕なんて一つも無かった。


そんな、自分のことだけしか考えれない、アクションを起こせない、そんな人が王政なんて関れるわけがない。

今でなら、向き合おうと思えば向き合えるかもしれない…

旗印に成れと言われたら…条件次第では成ってもいいかと思ってしまう。

そう、人類一丸となって、人類の脅威に対抗するのであればやぶさかではない。


でも、きっと、そうはならないと、今までの話の流れから察することができる。

お会いしたことがないから断定はできないけれど、あくまでも予想だけど、今の王様は、きっと、

誰からも祝福されて、誰からも信頼を寄せられて、誰もが敬意を、忠義を、愛を持っている…


そんな人じゃないってのが何となくだけどそんなイメージがする。


そして、今の王政を崩したい人も、きっと中には国を愛し、民を愛し、人を愛している人もいるだろうが、殆どが、目先の欲だけを求めているのじゃないかって邪推してしまう。


私は…それらに関わりたいとは思わない。

人類の要、最初であり最後の砦、最前線で命果てるつもりで家を出たんだ、そりゃぁ、叶えたい夢が最も近い場所じゃないかなーって思ってたし、お父さんの仇を討ちたいって思ってた部分もあるから、100%人類の為にってわけじゃないけれど。



王政の為に命果てる気はしない。



家を出てから、あの街で生きてきた部分が今の私を形成している。

あの街で得た出来事、繋がり、その全てが私をより良いものへと導いてくれたのだと思う、それこそ、お父さんが見守ってくれていると感じれるくらい。


だから、私が死ぬときはあの街の人達と共にだよ。



そう、なんだけどね、そう、うん、ほんと、ちょっとだけだよ?ほんっと、気持ち程度だけど…大穴を完全制圧したらお姫様も悪くないにゃぁって思ったのは秘密だよ?

…だって、女の子だったら皆が憧れて夢見ちゃうじゃないの?誰かの特別、誰からもの特別な存在ってさ?



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追記:

完結してから、一度、見直して修正するところとか、読みにくい所があれば修正してます。

当時の目標が完結優先で、急ぎ足で書いていたので見直していなかったのです。

完結後に見直し訂正する予定でしたので!

ゆっくりと修正して行こうと思います。




─※ 完結まで読んでから見てね ※─ 

─※ ネタバレ注意 ※─ 


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気を引き締めて何が危険なのか考えていく。

お爺ちゃんが傍にいる間は直接的な攻撃は無いとみていいだろう。

間接的な、そう、毒やお香等による誘惑に幻術等々の絡め手を警戒しないといけない。

その為か、王城の外よりも、門をくぐってからお爺ちゃんも近衛騎士も戦乙女も、もちろん私も姫様も一気に緊張感を高め警戒している。


──────────────────────

いえ、単純に場所が場所なので姿勢を正し気品を損なわないようにしているだけです



──────────────────────


私達、最前線の姫を狙おうものなら鏖殺、毒殺、圧殺、一族全員、鏖だ。

人類の要に、仇名すものは全員獣と同義!敵であれば殺すは道理!


人を殺す覚悟?そんなものは医療を志すものであれば当に乗り越えているさ、人を殺すのと生かすのは表裏一体、馴れたものさ。


──────────────────────

これは、何方の感情なのでしょうね?

愛されてますね、サクラは…




──────────────────────


「よく聞きなさい娘よ、貴女の血筋を頑なに教えなかった理由を今から説明するわ、予想通りといいますか、姫様が貴女を王宮に入れる時点でこうなるとは思っていましたけれど、本当にこうなるとは思っていませんでした、こうなってしまった以上、姫様のご要望通り全てを語りましょう」


──────────────────────

尚、この話も、亡くなった母親(団長のお祖母ちゃん)が酒を飲んでいる時に語ってくれたので少々、盛られている部分やあやふやな部分があったりします。

その辺りはカットし、大臣の話しメインでまとめました。




お祖母ちゃんの設定資料

名前は考えていません。

基本的に楽観主義で、皆と一緒なら何とかなる

そんな感じの人です


事業(機織りや、布づくり)だけでは食べていけないのでウェイターとして街の酒場で働いてたりもしていました。

とにもかくにも色んな意味でお酒に弱く、つい、寂し気な男性を見つけたので声をかけたら

なんか、色々とあって、付き合う流れになり子を授かったという…

特に何も考えず行動するくらい何も考えていません。

そんな感じの人です




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