私はいつだって一手遅い
息をつく暇も無いほどの様々な変化が起きた。
あの多大な被害を出した人型を倒し、色々な祝い事が重なった祝勝会から、二カ月、僅か二か月だとは思えない程の、激動の二カ月だった。
内容を簡潔にまとめようと思う、
まずは、No2が懐妊というおめでたい報告もあったり、それだけじゃなく、福音は続くのか、研究塔の長も懐妊するというトップ集団のベィビーラッシュ到来!?という凄くめでたいのだけど、腑に落ちない部分が数多くあるけれども、そこは、もうね、おめでたい事はおめでたいので何も考えずに、おめでとうっと素直に言いたいかな。
それでね、No2が子供を育てる為に実家に帰るってことでこの街から卒業しちゃったのが凄く寂しい、っで!医療班の副団長の席が空いたので繰り上げと言う形でNo3が副団長の座になるのだけれど~、なんでか知らんが、ごねまして、取り合えず、No2を名乗るのはまだ早いってごねてるって、ことで、あだ名がネクストになりました。
本人はサブが良いってリクエストがあったんだけど、姫様が却下してネクストと姫から直々に命名していただきました。
後は、姫様がね、私財を投げうってでも!しないといけない事があるって事で各国の整備なのかな?なんだろう?施設っでいいのかな?作るって言って騎士の部や、隠蔽部隊、更には、医療班の若手で教育対象じゃない人達を各国に派遣して突貫で工事してくるって街を集団と共に出ていった。
個人的な話で恐縮ですが、部分的に、一部の体型が大きく変化させられてしまいまして、お気に入りの服の殆どが着れなくなりました!!
…一部、変化させられた部分ではない部分の影響で!お気に入りのズボンが!着れなくなったので太った疑惑がありますが知りません!!
なので、お洋服を新調する暇もないので、ずっと隊服着て過ごしています。
あと、更に個人的なお話なんだけど、色々と出るとこ出ちゃったせいもあってね、今までは、その男湯の方の大浴場に入っていましたけれど、さすがにね?この体で男湯はいけないなぁってなってたけど、会議で女湯の方に入ってもいいよって許可が下りたので、部屋にある個浴から、大きな大きな最高の大浴場を使えるようになりました!
一部の人がごねたけど、そのごねを却下してくれて嬉しかったです。スケベ!!変態!!いっつもガン見してくるの知ってるからね!馬鹿!
更に、更に!個人的なお話なんだけど、各国の工事の指示が終わって、後はもう工事するだけだから、次は、街の設備に手を入れたいからって言う理由で姫様が帰ってきてんだけど、帰ってきてすぐにね、私の部屋に遊びに来てくれたの。
色んなお土産を頂きました!まさか、私の実家にもお邪魔してたみたいでね、お母さんから色んな大切なものを預かってきてくれたの!それを、渡してくれたの。凄く嬉しかった。
パタンと個人日誌を閉じる。
こんなもんかな?久しぶりに個人日誌を書いてみたんだけれど、こういうのって上手い事まとめれた自信がない、まとめるのって難しいよね。
んん~~~~っと背伸びをして鼻からすぅーっと豪快に吸って口から吐き出して深呼吸を繰り返す。
さて、医療班の仕事なんだけど、最近は特に忙しいわけじゃないし、今日はね、お休みだけど、その、暇だからね、姫様が着工している用途のわからない、設備の手伝いでもしてこようと思います、ダイエット目的もかねて!
ん?技術力向上とか技能向上とかそういうのはしないのかって?私が練習したい技術はね、材料が高い、大元となる原材料も貴重な品物だからおいそれと練習は出来ないの。
最近、本の執筆もしてないし、売りたい技術も殆ど売っちゃったから、新しく技術書を出す予定も無い。
お洋服を買いに行こうにも街の殆どが機能していなくて、街から離れても問題ない人の殆どが工事に連れていかれてる、だからね、お店がやっていないの。
なので!本当に暇!!やる事が無い!姫様も忙しいから遊べないし、それならね?手伝った方が気持ちも紛れるってことで!いってみよう!ついでに運動してダイエットダイエット!
街から少し離れた場所にある、大穴からの襲撃を防ぐための城壁に行くと、皆が重そうなモノを運んだり、何か棒を使って灰色の何かと土みたいな何かを混ぜてる人もいるし、丸い筒?みたいなのも運んでる人が居る。
こういった建築関係の専門的な分野は殆どわからないから何をしているのかわからない、手伝えることっていったら何か運ぶことくらいは手伝えるかな?
色んな人が、私をチラチラと見てくるので笑顔で手を振って挨拶をすると皆も会釈してくれたりするし、両手がふさがってない人は手を振り返してくれる。
作業をしている人達の殆どが、見覚え手の有る人達ばかりで、お店を営んでいる街の人に、騎士の部に所属する若い男の人もいれば、戦乙女もいる、でもね、そんな中に馴染みのない人もいたから、きっと他国からの応援だと思う。
姫様がね、若かりし頃に道を整備して、移動手段を向上してくれたおかげでね、こういった建築関係の人も気軽に他国から仕事の依頼を出せるようになったから、街の建築とかにも凄く役立っているって女将がいってたなぁ。女将が来た当初に比べたら建物も凄く増えたし、便利な物が増えたってしみじみと言ってたね。
こんな大規模な工事をしていたら、音が凄いから、敵がそれを聞きつけて襲ってこないのかって?
ちゃんと対策していますとも!遊撃部隊と、姫様がね、新しく作った新魔道具があって、ある程度の敵を誘き寄せる道具をリニューアルさせたのもあってね、それを使えば木っ端ぐらいなら誘き寄せれることが出来るから、誘き寄せた場所に罠とかを仕掛けて、罠にかかったところを攻撃して殲滅。
次のポイントに別動隊が先回りして、罠を設置して、罠を設置した場所に、誘導させて仕留めてっていうサイクルをしている。
それらの指揮をベテランさんに頑張ってやってもらってる。
会議で決まった時は凄く嫌そうな顔をしてたけど、お給金に色付けるよって姫様の一声でやる気が漲ってた。
当然、それに参加した隊員全員に色をつけましょう宣言で全員のやる気が漲ってる。
今後もそうやって敵がこちらに向かって接近する前に倒せばいいのでは?って思わない?残念ながらね、誘導できない敵もいるし、罠も設置して使用した後は片づけないといけないじゃない?今回みたいな一時的な作戦じゃないと罠を設置する箇所が無くなってしまうから、継続して永遠とは出来ない作戦。
一時しのぎの時間稼ぎって感じになっちゃうの。
それにしても今回の予算って相当使ってるよね?ほんっと姫様ってさ、お金に糸目をつけないの、意外と浪費家、だからね?もしもだよ?結婚するのであれば、王族とか貴族じゃないと厳しいんじゃないかなーって思ったりしたんだけど、たぶん、大陸で一番、お金を稼いでると思うから、その心配はいらない、っていうか養えるよね?下手すると王族すら囲えるのでは?…考えないことにしよう。
外壁の外に出ると目立つ黄色い帽子をかぶってて、頭のてっぺんに赤い三角の旗が立っているのが、姫様。
帽子って言うと語弊になるよね、えっと兜じゃなくてヘルメットだっけ?姫様は偶によくわからない新しい新機軸を作る。
何処でそんな知識を得たのか、いつも不思議に思うけれど、この大陸どころか海を渡った先とも交流しているみたいだから、きっと、そういった私達では関われないような世界の良いなって感じた文化や技術を取り入れているんだと思う。
作業する人の殆どが、あの黄色いヘルメットを被ってる、何でもね、近くで高所での作業をしている人達がいる場所では、これを被る様にって徹底してるの、あとね、どうして姫様だけ旗がついているのかっていうと、遠目で直ぐに分かる様にだって、だから、現場での責任者はあの旗付きを被るってのが取り決めだったかな?
まぁ、いちいち何処にいるのか探す手間が省けるから、効率的で、とても良いと私は思うよ?ただ、あの旗がたなびいている姿ってのはちょっとおまぬけっというか、正直に言うと、恥ずかしい。かぶりたくない。
旗をたなびかせている、姫様に挨拶して何か手伝えることある?って聞くと色々あるけれど、団長だったら水着を着て皆にウィンクしたり投げキッスするのが一番!士気向上になるけどする?って言われたので軽く脳天にチョップをお見舞いしといた。硬かった、思っていた以上に硬い、兜よりも硬いかも?
ってかさ!水着ってあれでしょ?海とか湖で遊ぶときようの肌着でしょ!?いやだよ!姫はちょいちょいおじさんみたいなエロ発言するよね!
チョップした手をひらひらとさせながら移動する、取り合えず、誰でも出来る体力がいる仕事を手伝うことに、主に資材を街から現場まで運んだりする雑用。
資材置き場に向かって歩いて行くと、女将とすれ違った、女将も手伝ってくれているみたいで、炊き出しの下準備が終わって配給するのは娘でも出来るから、久しぶりに力仕事を手伝ってんだよ!ガハハっと豪快に笑っていた。
バーでぼんやりしてるときよりも活き活きとしているのを見るあたり、女将は体を動かすのが一番、性に合ってるんだと思う。
牛とかが荷物を運ぶ為の押し車の上に大量の土とかが入っている袋が大量に積まれている、それを、軽々と運んでいるのを見ると、私いらないんじゃないの?って一瞬思ってしまったけれど、一つでも多く運べば違う箇所に人員を割けるから無駄ではないはず。
資材置き場にある猫車を使って無理のない範囲で持っていく、こんな時に有効なのが筋力増強の術式。
常時魔力を使っちゃうから普通の人には、しんどくて実用的ではないけれど、私は普通の人よりも気持ち魔力が多いから、これくらいなら余裕なのです。
っていうか、ある程度魔力で補佐しないと、また太腿が太くなる!もうやだ!お気に入りのズボンが膝上からピタっと止まって上がらなくなる、あの絶望は味わいたくないの!!
何往復かする頃には日も暮れてきたので、今日の作業はこれでお終いに、夜通しで出来ればいいんだけど、見守り隊の騎士達も辛いし、明かりに反応する空の獣もいるから、大きな明かりはつけれない。
他の街では夜通し全力で工事をしているそうで、相当な人件費が掛かっているみたいだけど、姫様が言うにはこれは全人類に対しての投資だから、私財的にもそれでもまだ余裕があるので一向に構わない、寧ろ、経済が潤滑するのでWINWIN!って言ってた。…国家予算規模だと思うんだけど、どんだけ溜め込んでるのこの人?
歩きながらストレッチをして、んあーっと言いながら歩いていく。
炊き出し班が居るエリアに近づいていくと遠目からでも分かるくらい、人がごった返している。
行き成りの大勢が詰めかけたのか、てんやわんやと、炊き出し班達が目まぐるしく動き回っているほどの忙しさを感じたので、私のお腹は、ペコペコで限界ってわけでもないし、まだまだ体力的にも余裕がある、そうと決まれば!女将のとこを手伝ってあげようと近づいていく。
そういえば、娘さんって姫様とそんなに身長に差が無いけれど、何歳なんだろ?なんてことを考えながら女将のブースに近くまでいくと、パニックレベルで大忙しのご様子だった。
娘さんの近くで手伝おうか?って言うと涙目で助けてっと言われてしまったのなら助けるのがお姉さんとしての役目でしょ!助けることに。
料理を作った、張本人は女将は何処かって?ちょっと向こうで、どんちゃん騒ぎしている人達がいる輪の中に大きな大きな肉塊がある、女将は何処にいても目立つからすぐに見つけれるよね。
まぁ、女将は人の何十倍も働いているので、文句は言えない。その事を娘ちゃんもわかっているので文句を言わずに頑張っている。
私も手伝う為には、現場で汚れた服を着ながらの給仕は衛生面的に良くないので、上着を脱いでっと、あ!ちゃんと肌着きてるからね?下着、肌着、その上にエプロン!って感じで着てるからね?
さぁ頑張るぞ!っと、手伝いを始めたんだけど…おかしいな、なんか人増えてない?女将ブースの列がどんどん増えていく、捌く量よりも増える量の方が多い?
ちらっと、視線を他のブースに向けると、おかしいな、確実に列が減っている
…他のブースが用意した炊き出しが全部、無くなったわけではない?全然、あるじゃん、ん?なんでこの列に人が集中してるの?
んーまぁいっか、きっと、女将のシチューは美味しいからそれ目当てじゃしょうがないよね。
でも、名物のブーメラン焼きは今回は無くて、シチューだけだけど良いのかな?まぁ、気にしたってしょうがないよね!今はひたすらシチューを配ることに専念しよう!
シチューを掬っては、笑顔でお仕事ご苦労様ですっと声をかけながら渡していく。
長い事シチューを渡していると、まだまだ、列に並んでいる人達が見える、これ、全員に渡るほどの量あったかな?っと不安になった時だった
娘ちゃんが「用意した分なくなりましたー!」っと叫ぶと並んでた人達が「「えーっ」」と文句を言い始める、すかさず娘ちゃんが「お母さんに言いつけますよ!」って言うと蜘蛛の子を散らす様に列に居た人達が霧散した。
女将の力は全てに置いて偉大だと痛感した。
ブースの列が無くなって娘ちゃんと一緒に鍋を洗っていると、姫様がとことこと近づいてきて「…裸エプロン」っと一言だけ呟いた後、女将が宴会している場所に向かって歩いていく
…ん?どういうことだろう?タンクトップの肌着着てるけど?裸じゃないよ?姫様のいう事は偶にわからない。
鍋洗いを再開しようとしたら娘ちゃんが後はやるので、着替えてご飯食べに行ってくださいぃ~って頬を赤らめながら進めてくるけど、どうせなら最後までするよーって言うと大丈夫です大丈夫ですから!っと強引にエプロンを脱がされて置いていた隊服を渡された。
お節介も度を過ぎると良くないし、素直に受け取って私もご飯を食べようかなっと何処のブースを見ようかな~って振り向いたら真後ろにメイドちゃんが待機していて心臓が止まるかと思った。気配がしなさすぎる!?
どうやら、私の好きなものを一通り予め取り揃えておいたので向こうでどんちゃん騒ぎをしている女将と姫様がいる場所に行きましょうと手を握って連れていかれる。
メイドちゃんって結構、手を掴んだりとボディタッチ多めだよね?男の人にそれしちゃうと勘違いされるから気を付けなよー?メイドちゃん美人さんだもの。
女将の席に行くと、現場で働いていた人達と一緒に盛り上がっていた、姫の隣に座ってご飯を食べる、ちゃんと私の好みそうな料理を確保してくれていた嬉しかった。やったサンドウィッチもある♪
そういえば、姫様はNo2の旦那様が誰なのか知ってるのかな?話を振って聞いてみると、困った顔で私も知らないって言ってた。
あの困った顔は知ってて言えない人だから困った顔なのか、それとも、本気で知らなくて困っているのか、どっちだろう?姫様は隠し事が上手だから本気で読めない。
釈然としないけれど、これ以上追及しても絶対にこれ以上の情報をえれないのは分かっているので、取り合えずご飯を食べようと、黙々と食べてると、色んな人がお酒をコップにつぎにくるけど、私飲めないよ?明日仕事だもん、だから、一人一人に断っていると、ちょいちょい、引き下がらない人が居る。
困っていると女将がうざがらみしてくる人にデコピンをして吹き飛ばした(比喩ではなく本気で後方に飛んでる)
その様子を見てから誰も絡んでこなかった、うざがらみしなかったら別に話すくらいはいいんだけど、先の光景を見たら、そりゃ話しかけに行く勇気なんてなくなるよね。
黙々と食べようにも、もう十分食べてお腹いっぱい、これからどうしようかな~って悩んでるとふと、上空に赤く輝くお月様に目が行ってしまう。
お月様、私は別に信仰深く無いから何とも言えないけれど、お母さんがね、私が幼い時に教えてくれたけど、今みたいなお月様が赤く輝く日って、凶日って言うらしいね。
姫様が言うには単純に光の反射の加減だよ偶々偶然的に赤い月の日に不運が舞い込んだだけって言ってたけど…反射?光?お月様が光ってるとずっと思ってたけど、太陽と違うのかな?
私は、赤くても青くても黄色くてもどんな光でもお月様の光が好き、優しい感じがするし見守ってくれている感じもするし、何処となくお父さんとイメージが似てるから。だから、好き。
お月様の光に当たってると、よくわからないけど気分的な問題だと思うんだけど、調子が良いんだ、何がって?体の調子かな?動きが良い気がするんだ。単純に暑いのが苦手で直射日光がダメなのかもしれない。日焼けはシミの元って姫様から教えてもらってからより一層、意識するようになっちゃったしね!!
風も気持ちよく吹いてて気持ちが良い。こんな穏やかな日々が毎日続いて欲しい、戦いなんて無くなればいい、獣の大穴なんて無くなっちゃえばいいのに、何て言うとね、姫様が言うには他の大陸では人間たちで争っていることが多いって言ってた。
私としては、人類で対立する方が悲しい、そんな事実を知ってしまったら人に殺されるくらいなら獣に殺される方がいいんじゃないかなって思ってしまった。
お父さんが生きていたら何て言うのかな?何て思うのかな?…お父さんだったら、きっと、誰が敵になっても捻じ伏せようとする気がする。豪快だからあの人は。
宴も酣、少しずつ人が減っていく、ふと、姫は何をしてるのかな?って姫の方に視線を向けると、女将の膝の上で寝てる…いつの間に…女将の娘さんに嫉妬されたりしないのかな?って思っていたら娘さんの姿が見当たらない、帰ったのかな?
私も帰ろうかなっと立ち上がったら、遠くからメイドちゃんがこっちに向かって走ってきている、あれ?いつの間にメイドちゃんも席を外していたんだろう。
遠見の術式でメイドちゃんを見ると、明らかに焦ってる?…嫌な予感しかしない起こそう
姫のおでこを叩いて起こすと、慌ててこっちに向かってくるメイドちゃんがいるよと伝えるとガバっと起きてメイドちゃんに向かってソニック音波を飛ばしているみたいだ、口がパクパクと動いている。
メイドちゃんが頷いたと思ったら姫様の顔が真っ青になっていた、これ、緊急事態っぽいね。
姫様がこちらに視線を向けると一言「緊急招集!」それを聞いた私は夜中だろうと関係なしに緊急招集の為に音声広域拡大の術を起動しながら出来る限りの大きな声で「幹部会を開きます!場所は炊き出しエリアです!」っと声を出す。
現時点で集まれる幹部、幹部候補達が続々と集まってくる。
幹部達が席に着き、メイドちゃんも息を整えており、皆にお茶を配っていた。姫様も顔色が元の色に戻っている。
姫様が開口一番で出た言葉に全員の顔が強張る、緊急招集の時点で嫌な予感しかしなかったが、こんな言葉が出るとは思っていなかった
「海辺の街が滅びました」
ここから南の方にある、気温が暑くて、常夏の様な場所で、姫様がみんなで旅行に行くならあそこ一択!って言うくらいお気に入りの街。
最近、そこから海を渡った先にある都市が滅びたと聞いてはいたから、警戒もしていた、警備もしていた、各国で見張りもしていた。
でも、助けれなかった。
一瞬だけど、頭に過ったのが人によって滅ぼされたのか攻められたのかと思ったが、近隣の都市が滅んでいるのに誰がっと自分自身で否定する。考えたくないけれど、私達の包囲網から抜けてきた敵がいる。
「近隣諸国からの情報だと人型で、毒散布型です。」
最悪だった、都市部に一番接近させてはいけないタイプ、対処方法を持たない一般の非戦闘の民からすると距離があるのに逃げているうちに気が付くと全員が死んでしまう。
毒をばら撒くタイプは総じて厄介で、先人たちが戦ってきた色んなタイプがいるが、今回のはどれだろう?
過去にあったのをいくつか例を挙げると
①液体タイプの毒を辺り一面に散布するタイプ
├液体が酸性タイプで触れると鎧とか武器が汚染されてボロボロになるタイプ
│
├皮膚に触れると毒によって振れた部分が腐って溶け落ちるタイプ
│
├地面にばら撒いて、液体が凄い勢いで蒸発して、
│蒸発したやつを吸うと発狂や、錯乱、混乱する神経毒タイプ
│
└口から毒の液体を直接かけてくるタイプ
②手とかに毒成分を分泌し触れると死ぬタイプ
基本的に、攻撃を直接肌に受けなければ大丈夫で対処はしやすい。
③毒散布型
├見えない毒ガスを常に周囲にまき散らすタイプ
│野外だと、ガスマスクや、風魔法などで対処していれば、
│ガスだまりが出来ないので対処は簡単
│
├スプレーの様に任意の方向に勢いよく噴射するタイプ
│毒蛇の様に毒を噴射するので
│透明の盾を用いてガードしながら対処すれば怖くない。
│
└神経毒を辺り一面に散布するタイプ
気が付くと、接近していた味方の動きが鈍くなり、
動きが止まった瞬間に殺されるが
このタイプは地味に、他の4足歩行の獣でもいるので、
対処用の薬があるので
それを使って抵抗力を高めれば安易にレジスト出来るので対処は簡単
姫様がいう毒散布型であれば、3に該当するがどれだろう?都市が陥落するほどの敵ってなると、一般人が対処しずらい麻痺?いや、でも、近隣諸国からも応援が出ていてそれでも全滅?…新種かもしれない。
「詳しくは、現地にいる人からお聞きしたいと思います」
テーブルの上にドンっと大きな蓄音機にしか見えない道具を置くと魔力担当のスタッフがそれに魔力を流すと
『あ、ああ?これで良いのか?今は繋がっているのか?返答を求む』
蓄音機から人の声がする!?
「はい、聞こえています、こちら最前線の街です、現在幹部招集が終わり、席につきました、どうぞ」
メイドちゃんが手に持っている小さな蓄音機に向かって、姫様が言葉をしゃべっている、まさか、向こうにも声が届いているの!?
『おお!凄いなこの魔道具!!声が聞こえるぞ姫様の声が聞こえるぞ!!これで我らの勝利は目前だ!!ぁ、返答を求む』
大きな声と、その場にいる人達の声も拾えているのか数多くの種類の声が聞こえる。
「はい、歓喜の声、ありがとうございます、対策を練りたいので敵の情報や現在の状況などを詳しくご説明いただけますか?どうぞ」
その声に動じることなく淡々と冷静に声を出す
『む、すまない年甲斐もなく声を荒げてしまい申し訳ない、こちらの現在の状況などを伝えたいと思う、良いか?』「構いません、どうぞ」
まず、敵が何処から現れたのか、それは海からだ。
在留している警護の者からの報告によると
敵は海から突如現れ、それを見た村人が逃げる間もなく、口から目から耳から皮膚から血を出血させ死に至った。
やや遠目に居た警護の者が異変に気が付き、遠見の術式でその惨状を目の当たりにし、即座に、早馬を走らせて領主に報せ、領主が緊急事態であると上空に花火を打ち上げ知らせてくれた。
その花火を見て緊急事態と判断した我々も急遽、騎士団を率いて現場の近くまで走り、現在は、現場近くでテントを張り、攻撃態勢を整えており、敵からの毒が届かないであろう位置から弓、投石、火や水などの術式による遠距離攻撃にて敵が動かないように波状攻撃を仕掛けている。
現在、街の者が避難してくる様子が無い上に、既に避難したものがこの付近にはいない、もしかしたら、家の中で隠れてくれているのかという希望はあるが、これだけ騒がしくしていても、家からは何も反応が無いので、希望的観測はしない方が良いだろう、恐らく、我々が到着する前に全滅した可能性が高いので救助はしていない。
敵の現状だが、敵の周りには薄っすらと霧状の何かが見える、それが毒ではないかと言う憶測だ、だが、あそこまで濃霧が濃いと敵自身も毒にやられないのかと思うのだがそちらの意見を聞きたい
…ドン引きの内容だった、海沿いの街でしょ?霧が肉眼で見えるレベルでの毒を濃く散布しているの?海沿いだよ?風が強いうえに開けている場所でしょ?その上で肉眼で見えるの?しかも霧が見えにくい夜中だよ!?薄っすらと見えている時点で、昼間だとそうとう濃い霧だと思う。
「敵の現状はどうやって視認しているのですか?どうぞ」姫様が冷静に私も気になっていた部分を聞いてくれる。
『光を発生させる魔道具を敵に向けてぶつけて、常に明るくしている、敵の周りは昼間と勘違いするほどの光量をぶつけている。返答を求む』
それ程の光量なら、村人たちも気が付くし、何処に逃げればいいのか、道しるべにもなる、なのに、それでも出てこないってのはもう確定的じゃないのぉ!!!
「確認したいことがあります、試しに、敵の顔に向けて炎をぶつけていただいても宜しいですか?どうぞ」
『あい、わかった。試してみる、結果を報告するまで待て』
ちらりと姫様の顔を見ると、唇を噛んで涙を堪えている、握った拳も震えている。わかるよ、悔しいよね、警戒はしてたけど、助けれなかったのは悔しいよ。
唇から血が流れてくるのでメイドちゃんがハンカチで拭いてあげている、私も姫様の近くにいって回復の術式を展開し傷口を急速回復させる。
「…ありがとう」今にも泣き崩れそうな表情でお礼をいってくる姫の手を握り目配せをする私もみんなも傍にいるからと目配せをする。
…どうして、私はいつも一手遅いんだろうっと虚空に消え去りそうなほど小さな小さな呟きを私とメイドちゃんには聞こえてしまった、いつも強気で気丈に振舞っいて後悔なんてしない人だと周りの人は思っているだろう。
私は知っている、何よりも過去の様々な出来事を悔いていることを。救えなかった命があればあるほど、悔しくて寝れない日があることを。
姫の手を握る事でしか今は何もできない。私達は無力だ、姫様ほどの知力も財力も無い、姫様が一手遅いのなら私なんて何手遅いのか見当もつかないよ。
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