剛腕の粉砕姫
指揮を担当してから、1日が経ったのであるが試せることはかなり試したのである。
目の前で、騎士部隊が相手取っている、あの糞猿の二足歩行は、かなり俊敏性も高く、スタミナも無尽蔵。
この速さで街に向かって走られたら手に負えない可能性が高いのであるが、幸いにして、ここから離れる様子はないようである。
気を付けないといけないのが、こやつが得物がある場所を遠距離からでも感知することが出来て、それを取りに走られると困る。
その為、この場から離れさせないように尚且つ、非戦闘員部隊が集結してる地点から引き離すのが必須であると指揮しておるが、こやつ、探知機能が弱い?
目の前にいる敵に固執するというか、一度倒そうと決めた敵を周到に狙おうとしておる気がする。
騎士部隊に疲れが見えてきたので、次の部隊と交代させ、怪我ある者は救護テントに行け、怪我をしていないやつは救護テントで休憩しても良し、街に戻って休憩しても良し、自由にするが良いであるぞ。
先ほどまで戦っていた部隊が各々、好きな様に休憩を取りに現場から離れる、やはり、現場から離れようとするやつを狙おうと視線を絶対に外さない追撃させないように臨戦態勢をとる。交代の部隊もそれを理解しているので速攻の連撃で注意を逸らす。
武器の種類も皆が慣れない打撃武器に変えているのでなかなか攻撃が決まらないが確実に当たっているのであるが、効果があるとは今一つ実感が得られぬのである。
あやつの切り札にも注意を払わねばならぬ故、油断は出来ぬ。解析班が相手の情報を調べる為にも相手の肉片なり、毛なりと採取したいのは山々であるが、刃が通らぬ!
唯一、落としたであろうあやつの指を一本だけ回収できたのが幸いである、団長がやり遂げた功績は多大である。
団長の上げた成果
あやつの得物を安易に奪えた、
あやつの細胞を調べる為の肉片を回収できた、
あやつの指が無い分、打撃力が低下しているのでこちら側の盾部隊が攻撃を弾きやすい、
飛び道具に過敏に反応するようになっているので弓矢や、投げナイフで注意を引き付けやすいくなっている。
ここまで、戦術的に有利な展開を築き上げてくれた!此度の最優秀賞は団長がダントツである。
それだけじゃない、団長のおかげで未来へと繋がる命の連鎖を多少は欠けてしまったであるが、若い芽を完全に摘まれなくて良かったのである。
っく!吾輩がもっと早くに現場にいれば!団長よりも早くに到着しておれば!!悔やまされるのであるが!あるが!!あるがぁあ!!!!
あの時の吾輩は、もう、有頂天すぎて、天国過ぎて、楽しくて、堪らなくて止められなかったのである、ぐへへ…
いかんいかん、思い出して涎と下のが反応してしまうのである、戦闘に集中せねばな。
「師匠!休憩いただきました!」
後方から声をかけられるのである、声の感じからしてティーチャーであろう、視線を敵から外すことが出来ぬのでな振り返って確認することが出来ぬのである
「師匠!交代しましょう!もうかなりの時間戦っていますよね?」
そうであるな、団長の顔を見てから出撃して、結構な時間が経っているであるな。
「すまぬ!交代作業を行うので各々、全力でアイツを仕留めるつもりで無断なきよう戦いに専念せよ!暫くは指揮がないのでな!気張れよ!」
大きな声で号令を出すと、応!!っと大きな返事が返ってくるので、ティーチャーと情報交換を行うのである。
まず、ティーチャーから貰える情報を受け取る
・解析班が、指から細胞を取得して解析しているが、解析にまだまだ時間がかかるとのこと。
・同じく指に付着していた敵の毛から性質を解析しているが量が少ないので、迂闊に消費できないので慎重に解析している。
・遠見の術式で戦闘は常に複数で見ているが、打撃・斬撃・刺突共に有効ではないと判断される。
・肌の露出している部分を狙って欲しいが相手が早すぎて捉え切れていないので無理はしないで欲しい。
成程、やはり解析班も一筋縄ではいかない様子であるな、姪っ子から聞いたのであるが解析しようにも過去と完全に同じやつがいないので、似た性質のやつから照らし合わせていくしかないので、とても時間が掛かると言っていたのである。
肌の露出している部分と言われても、手か、足裏か、顔しかないのである。ぁ、耳は毛はないであるな。
どれも、攻撃を当てる箇所が困難である、せめて、吾輩と同等かそれ以上の戦士がいれば!挟撃によって転倒くらいは狙えるのであるが!
次に、ティーチャーに今まで試した内容の情報共有を行うのである
・火は効果的ではないかもしれない、っというかまともに当てれていないので判定できない
魔術から放たれる火の玉は相手の毛皮手前で霧散する、恐らくであるが、魔術の類では魔力の密度的にあやつの毛皮でレジストされるのである。
・試しに火炎瓶を大量に投下してみたが、綺麗によけられてしまって当たらない
敵がすばしっこい、俊敏性がかなり高いのである、わかっていなのであるが、投擲等の攻撃手段がかなり警戒されているので当たらないのである。
何個か火炎瓶をこちらに向かって弾かれてこっちに被害がきそうで危なかったのである。
・泥沼を作って沈んだ瞬間に泥沼を凍らせて動きを止めようとしたが反応速度が速く、罠にかからない。
追い込み漁のように押しやろうにも跳躍力が高く、捕縛できぬのである、槍チームで一瞬は抑え込めるが、押し出したりは出来ぬのである。
・魔術を用いた攻撃は全て無駄となる
先にも述べたように、あやつは魔力量が相当高く、恐らくであるが、毛皮そのものに相当な魔力が循環していて、魔術を当てたとしても、魔力の濃度が低すぎて届かないのである。当たる瞬間にレジストされ霧散する。
情報交換を終え、吾輩も休憩しようと救護班のテントに向かう。
救護班のテントは色んな人達がいて、思っていた以上に人の密度が高くて驚いたのである、どうやら、街の人達が手伝いに出てきてくれているようである
団長も、その人達と談笑したりする余裕があるみたいなので、そっとしておこうと思い、街で休憩するために転移陣がある場所へ向かい街へと帰還する。
街に帰還すると、医療スタッフが担架の上に布で包んだ大きなものを運んでいるのが目に留まる、あの扱いは…手伝おう。
何も言わず、手伝っていく、こればっかりはいつになっても慣れぬものであるなぁ…どうして、吾輩よりも若い、若輩者ばかり、先にいってしまうのか
この世に神が居るのであれば、どうして、これ程までに我ら人類を痛めつけるのか問いただしたいものである。
死体を安置所に置くのには理由がある、普段であれば、このような扱いをせず静かに弔うのであるが、此度は犠牲者が多すぎるのでな、一人一人葬儀を行っていては時間が足りぬのである、故に、縁のあるものは各々で別れを済ませてもらうのである、全てが終わった後に纏めて火葬して、集合墓地に入ってもらうのである。
個を尊重していない、そう石を投げられてしまっても仕方が無いのである、死者への冒涜ではないかと責められても、仕方が無き状況なのである。
平和な世の中であれば、一人一人、個を尊重し、労り、尊き存在へと祈りを捧げるのが良い行いであるとわかっているのである。
早く、平和な世界になってほしい物である、、、、いや、吾輩が平和な世界にするのだという大きな熱意は、何処に行ってしまったのだろう?
この街に初めて来たときの大いなる決意、漲る正義感は何処に行ってしまったのであろうか…年を取りたくないものであるな…
今は、攻める事よりも、大事な家族を、大事な友を、大事な同胞を尊く感じ、守る事しか出来ぬのである。
死者に祈りを捧げ、その場から離れる、医療班のスタッフも歯を食いしばり涙を堪えているのが見てわかるのである。
悔しいのであろう、助けれなかったことが、心の底から悔しいのであるな。吾輩も十二分にその気持ちが理解できるのである。
みな、同じ気持ちである、自分よりも若い人が先にいくのは、心の底から胸が締め付けられ、腹の奥がギュゥっと捻れる様な痛みが伴うのである。
涙を拭い、持ち場へと走っていく医療班のスタッフ、こんな時にどんな言葉をかけてあげればよいのか、吾輩にはわからないのである、永遠に、わからないのである。
団長や姫なら、きっとうまい事、相手の感情を吐露させ、明日への活力へと変えてやれるのであるが、吾輩にはそのような器量はないのである…
さて、とりあえず、このような現場を見た後では、食欲は無いのであるが、食べないと力が出ないのはいざという時に困るのである。
美味しそうな匂いのする方に向かっていく、どうやら、飲食店の店主たちが炊き出しをしてくれているみたいである。
「ぁ!ベテランさん!お食事ですか?」
嗅ぎなれた匂いの下に辿り着くと、女将のとこのお嬢さんが炊き出しを作っているではないか。
「頂いてもよろしいでしょうか?」
尊敬する先輩の娘さんでも敬語が抜けなくなるのはどういう原理であるかなぁ…雰囲気が似ているから?
「どうぞどうぞ!」
女将特製のシチューに特製の香辛料とソースがかかったブーメランみたいな形の肉を炭火で焼いた料理、女将の店での大人気メニューである。
その両方が乗ったトレーを受け取り、空いているテーブルに鎧を着たまま着席し兜と手甲を外してテーブルに置きガツガツと食べていく、食欲がないといったな!あれは嘘だ!この匂いが目の前にあれば、食欲がモリモリと湧いてくるに決まっているのである!!!
しかし、パンがあればもっと最高であるのにな…そう思っていると「はい、おじー」吾輩の食事トレーの上に丸い亀の甲羅の様なパンが置かれる
「心遣いに大きな感謝を」聞き覚えのある姪っ子がパンを恵んでくれたのである、感謝感謝
「あっちにね、パンを配給してくれるとこがあるから、おじーパンを持ってなかったからついでにとってきてあげたのさ」
あちきって気が利く淑女なのっさ!っと鼻でふふんっと得意げに笑っているのである、淑女であるのであれば、良い男を捕まえて欲しい物である。
姪っ子ちゃんは何を持ってきたのかと見てみると吾輩と同じ形であるが、吾輩のは黒目、姪っ子ちゃんのは白いパン、そして、チョコレートが挟まったパン、ホイップクリームが挟まっているパン…糖分が多いのである、太るであるぞ?
吾輩のパンはやや表面が固く焼かれていて食事の付き合わせに最適のパンで、姪っ子ちゃんのは柔らかくてふわっふわで甘めでそれ単品で成立するパンである。
つまり!そのパンもまた砂糖が入っていて甘えのパンなのである!!!菓子パンのみの構成である!
…今度、実家に帰った時にそれとなく孫の様子を母上に教えて、お叱りを受けた方が良いのかもしれぬのであるな。おじーだと反省しないのである。
食事も食べ終え、少しまったりと過ごしていると「おじーアイツの他の細胞なんとかならない?」っむ、珍しく仕事の話であるな?
「解析班としては何処の部位が欲しい?」捕れるかどうかは別として意見は欲しいのである。
「内臓」
…無理である
吾輩が呆気に取られて返答に困っていると
「あちきだって馬鹿じゃない無理なのはわかってるのさ、一番欲しいのは内臓だけど、現実的に考えて毛!あの特殊で異質な毛がもっと欲しい!」
確かに、あそこまで豪質なのに、衝撃を吸収する柔らかさを持ち合わせている、破格の性能は初めてである、刃も通らない、衝撃も通さない、魔術もレジストするなんて弱点がなさすぎるのである。
あんな鉄壁が永遠と爆裂魔法を発動させるなんて体制が整っている今で良かったのである、あんなのが行軍中や、何かと戦闘しているときに突如会敵して、相手側が先手を取ってきたらと考えると
最悪の結末しか思い浮かばないのである。
「現実的というであるが、アイツの毛を採取しようにも、手が無いのである」う~んと腕を組みながら考え込む
姪っ子も同じようにそうだよねぇ~っと、ぅ~んと腕を組んで考えこむ
こういう時に突拍子もない閃きで解決するのが姫なのであるが、まだ、他国にいるはずである、伝令も届いているはずであるので、こっちに戻ってくるとしても速くても、明日が最短である。
二人でう~んう~んと唸っていても埒が明かないので、今日は解散し、次の一手をどうするか、考えないといけないのであるな。
取り合えず、仮眠室にいって寝ることにするのである、ぁ、軽く水浴びくらいはしてからにするであるか。
水浴びをしようとシャワー室に入ると、医療班のNo3がいたので声をかけようと思ったのであるが、どうやら彼の心情は激昂に包まれているのがわかるのである。
どうしてわかるのかって?何度も何度も罪の無い壁を叩いているからである、叩き方も手の拳ではなく手とう側で叩いている、手が仕事道具に医療班としては正しき判断である。
考えうる可能性としては団長の事であろう
「壁に罪はないのである、そして、お前さんの手にも罪はないのである、起きてしまったことはしょうがないのである、悔やむ心があるのは仕方が無いのである、ぶつける場所をはき違えるなよ」
No3に聞こえるように言った後に、通り過ぎてシャワーを浴びる。
「わかってます!!!」大きな声の後、シャワーを止め出ていったのである。若い若い。…いや、あれくらいの熱量が吾輩にも必要なのでないかと思うのである。
敵に対しての殺意はあるのであるが、心を燃やして、絶対に殲滅してやる!っていう思いが薄くなっているのが年を重ねるごとに感じている、先輩もそうだったのであろうか?師匠もそんな気分を味わっていたのであろうか?
…もし、師匠が生きていたら今の吾輩の事を何て言うのであろうか?…頭を叩かれながら考え過ぎだガハハ!って言われるのだと思うのである。
…いかんな、人の死を目の当たりにしてセンチメンタルになっている、気を付けないと
死は、死を呼ぶ
我ら戦士の中で有名なフレーズだ、死を考えれば考える程、死という概念は傍に寄り添って手招きをしてくる。
あまいあまい・・・みつよりもあまい・・・ゆうわくだ・・・
苦痛だらけの戦士は時折、その声に、その手に、ゆっくりと誘惑され勧誘されていく…吾輩はまだ死ねない、見届けないといけないのである。あの二人を、、、
実の娘よりも可愛がってしまっているとわかっているのであるが、どうも、応援したくなるのか不思議な魅力があるのである。
シャワーを浴び、気持ちの切り替えが上手いこと出来なかったので少しでも仮眠して気持ちを切り替えるのである、今戦場に出ると死ぬ予感しかしないのである!!!
時計の音で目が覚める、仮眠はどうやら成功で気持ちが切り替わっているのがわかる。
うむ、気力も腹の底から湧いてくるのを感じるのである。
切り替えは大事である!戦場に余計なしがらみを増やせば増やすほど死が近くなる!
何か軽く食べてから戦場に向かおうと思い、炊き出しのエリアに行くと、女将の娘さんがまだ、切り盛りしていたのである。
女将は長い事、席を外しているのであるな、大量に仕込みでもしているのであるか?
仮眠も4時間ほどであるので、まだ、夕暮れにもなっていないのである。…まさかね、こういう予感は結構当たる気がするのであるが、確認大事である
「ぁ、ベテランさん!お昼以来ですね、何か食べます?」
相変わらず笑顔が眩しいのである、旦那さんに似て、とても愛嬌があって素晴らしいのであるが、その一言を言ってしまったが最後、縊り殺されるのである。死は近くにある…
「シチューだけいただいてもよろしいであるか?」
肉は流石に食べ過ぎである、これからの戦場を考えれば軽くで良いのである、それと「女将は仕込みであるか?」シチューを受け取りながら聞くと
「・・・・・」ひきつった笑顔でどう答えようか考えている様子であるなぁ・・・・予感が当たる予感がするのである・・・・
取り合えず、頂いたスープを飲んで返答を待っていると
「良い所にいるじゃないか!!」ドスンっと重い重い何かが地面に突き刺さる振動が足からも耳からも吾輩の心臓へと伝わってくるのである…予感が的中したよ?っと教えてくれるのである。
ぁぁ、振り返りたくない、敵と対峙するよりも怖いのである。
ガァァアンン!!と吾輩の家宝の鎧が叩かれて物凄い音がするのである、平手打ちでこの衝撃、、、現役のころとかわっていない!?
「おか、、、、いぇ、先輩、出るのでありますか?」
振り返ると、当時の装備を引っ張り出し、筋肉も仕上げてきたのか筋肉が怒張し張りつめている。
剛腕の粉砕姫
戦場で轟いた有名なあだ名である。剛力、怪力、力と名の付くもの全てがそこの集約されていると言われるほどの剛力無双。
それこそ、敵を握力だけで握りつぶし、その手から滴る血を浴びるその姿、まさに、鮮血姫!とも言われていた。
得意武器はウォーアックス、片方が大きな斧、反対には槌が付いていて相手を豪快に砕くための武器。
斧で切る?ノンノン、斧で折る、槌で砕くがベストな表現だ。まずは槌で相手の中身を粉砕し、粉砕した箇所を斧で叩き折る様に切る!という最強最悪の武器だ。
「ぁぁ?愚問だねぇ、お前はいつからそんな愚図で鈍間な問いかけをする様に衰えちまったんだい?みりゃぁわかるだろぉ?」
ぁ、ちびりそうである、これ、ガチで切れてるときだ、殺意が殺気が駄々洩れである…
成程、全てに置いて合点がいったのである、娘さんがどうして、返答に困っているのか、恐らく支度をしていたのである。
もう現役から離れた兵士が憤慨し戦場に舞い戻るなんて聞いたことが無いので、呆れていて、どうやって返答しようか悩んでいたのであるな。
娘さんとしては止めたいが止め方がわからないくらい憤慨していてこれを止めれるのは旦那さんしかいない!と判断され、任せた結果
今に至るのであるな、旦那はきっと説得に失敗したどころか、鎧とか装備を見ていると、手入れが行き届いてるあたり、あいつめ、いつでも出れるように定期的にメンテナンスしてあげてたな!今度会ったらそれとなく叱っておくか。
まぁ、叱ったところで無駄ではあるか、あの華々しい戦場の光景を見て、惚れた稀有な雄であるからなぁ、自身の憧れの姿が再度、見れるのであれば、喜んで手入れをしていたに違いないである。…因みに、本来、戦士である戦乙女を孕ましてしまうと、団員全員から石を投げられたりするのであるが、そう、吾輩のように!!!
先輩の時は、拍手喝采であったなぁ、よくあれを抱けるなぁ!?雄としてどうなの!?うそだろぉ!?ここに真なる漢がいるぞぉぉぉ!!!っと沸き立ったものである。
なお、その失言をしたものは全員、三日は立ち上がれないくらいの拳を貰っていたのである。
「さぁさぁさぁさぁさぁ!!あたいの虎の尾を踏んだ、ど畜生をミンチに!すり潰しに行くよ!!!ついてきな!!!!」
目が座っている、ああこれもうだめだ、止めたら吾輩がミンチになるのである。
ちらっと娘さんを見ると手のひらをヒラヒラと振っている…説得するという行為が無駄であると観念したのである。
ふぅ、正直言うと、手を借りたいと思っていたのである、現状、アレを抑えるには一人では手が足りないと思っていたのでなぁ!!!
久しぶりに師匠の愛弟子コンビと行こうではないか!滾る!血が滾る!若かりし頃のあの、滾る感情が沸き上がってくるのがわかる!!!
そうか、吾輩を目覚めさせるのはやはり、バディの存在が欠かせないのであるなぁ、いつだって吾輩の心に火を灯すのは女子の存在であるなぁ!!!!
「腕は衰えていないだろうな!ぇぇ!?ベテランさんよぉ!?いや、千差万別の手数を変幻自在に生み出し扱う手練れ!千手さんよぉ!!」
「応さ!!誰にモノをいってんだ!!そっちこそ衰えていないだろうなぁ!?全てをひしゃげ、原形をとどめないくらいの剛腕の持ち主!剛腕の粉砕姫さんよぉ!!」
お互いの手甲の、甲の部分で叩きあった後、師匠と一緒に大事な出撃の時は歌った祝詞を豪快に歌いだす!!
「我、同志として志半ばで死なぬ事をここに宣言する」
お互いの得意とする得物を天高くに掲げ豪快に歌いながら出撃する。
その光景を見た、No2が涙を流しているのが視界に見えた。思い出すよな、師匠の事を・・・・
安心するがよいぞ!師匠の時の様なへまはせん!!絶対に生きて帰ってくる!!
二人が転移陣に入っていく瞬間、その場にいる全員が雄たけびを上げていた、昔はこうやって士気を高めあっていたものだ、懐かしい物だな!!!
感想、評価、いいね、Xのフォローよろしくお願いします。
感想は一言でも問題ありません、お気持ちだけでも励みになりますので、よろしくお願いいたします。
▼作者のXのURLはこちら
https://twitter.com/TF_Gatf




