繋ごう明日へのバトン
加筆修正完了!
誤字脱字の見逃しあれば教えてくださいませ~><;
後、後書きにネタバレなどが含まれてる設定資料とかも残していこうかと思っていますので
初見さんは見ないようにしてくれますと嬉しいです!
ふらつく彼女の腰を支えながら、ゆっくりと、ゆっくりと、徐々に足が重くなっていったとしても彼女は団長の腕を強くつかみながら前へ前へと進み続け…医療班の特別施設、病棟の中にある、特別な…部屋へと辿り着いてしまう。
目の前には、集中治療室がある。
緊急処置が必要な人がココへと連れていかれる…
基本的に、一般人の方は、無暗に立ち入らないように立ち入りと禁止させてもらってる。
色々と触れられたくない薬品もあるし、命の危険がある方を感染症から守るために、立ち入りを禁止している。医療班に所属する全員もこの場所は特に気を付けてもらいたい…
何せ、この街にいる人たちって、細心の注意が払えない人が多いので、何度も言うけれど、関係者以外立ち入り禁止となっています。
なので、この場所に関しては一般人の方は誰かしらの医療班がいないと立ち入り禁止、つまり、私が居ないと中には入れない。と、いうわけで、彼女が探している人物を探すのなら、私が居て良かったと思う。
それにね、私自身も先の爆発の被害がどれくらいなのか把握したい。
それにね、私がやらないといけないような患者が居るのかどうか、それも、気になるところだった。
何か言われても、大丈夫!自身の怪我もほぼ、治癒が終わっているから!今なら!難しい術も問題なく出来る自信がある!
そうじゃないとさ、皆がどうして私を自由にさせているのか説明がつかない。
医療班の隊員も考え無しじゃない、巻き込まれる確率の高い場所に、怪我人である私を向かわせないと思う。
命の危険性が高い程の大怪我だったら、病棟に放り込んでる。
現場でも回復する見込みがあって、尚且つ、私の性格を知っているからこそ…私を病棟に放り込まなかった。
もしくは、あの程度の怪我だったらたぶん、私は自分の怪我なんて顧みずに病棟で動こうとした。
皆の制止を振り払ってでも命を救おうと動くと思う…
その何方かだと思う…だから、私は外で治療をしてくれたんじゃないかな。
こうやって自由に出来るのも、今の状況なら無理をしても大丈夫だろうと、判断しての自由行動許可だと思っているからね。彼女たちの方が今の戦況をしっかりと伝え聞いて把握してそう。
団長として皆に心配ばかりかけて色んな所でフォローされていて情けないと感じつつも、皆が頼りになると何とも言えない感情が混ざり合ってしまう。
病棟の中に入っていくと、想像通り…現場は既に落ち着きを取り戻している様子だった。
あの安置場を見て、私が病棟に行っても問題ないと判断したのは、もう、病棟が落ち着いているという情報を得ていたから。
問題は、私としては傷ついた人達を見るのは慣れているけれど、手を繋いでいる彼女は違う。
連続した心のストレスに彼女が耐えれるのか?私にはわからない、わからないけれど、支えることはきっとできるはず。
三つ編みちゃんを気遣いながら病棟の中を進んでいくと、スタッフの一人と目が合うと驚いた表情をしている。きっと、全身包帯の私を見て驚いたのだろう。周囲を見回してから慌てて駆け寄ってくれる。
そりゃそうだよね、どう見ても重病患者の装い。
いくら隊服を着ていても緊急な治療が必要と判断されて運ばれてきた患者だと思うよね、ちょうど誰かに支えてもらってるような感じになっちゃってるし、実際は私が支えてるんだけどね。
声を出すとスタッフは一瞬で全身包帯の中身に気が付いてくれたみたいで。ああ、っと小さな声を出して頷いている。不思議と、頭の上に!が見えてしまう。
緊急病棟で働けるスタッフは全員、超が付くほどの優秀なスタッフしか配属されない、だから、当然っていうか、ここに居る人達はみんな、団長の座を競い合ったような人達ばっかりで、長い付き合いの方達だから…直ぐに私だってわかってくれるので助かる。
私も、いつか後任を決めたらこちら側に配属される形になると思う。
後任が育ってくれればいいのだけれど…彼以外にいるのかと言われるとうーんっとなってしまう。
前提として団長の座に座るのなら最低限!前線での現場を担当できる人物じゃないとダメ。
現場はね、ほんーーーーーとうに!!体力仕事になる事が多い!でっ!年齢を重ねると大変になるので!若い人じゃないと難しい!
体力的に限界が来た優秀なスタッフのセカンドワークとして!第二の戦場として、病棟にある多くの様々な施設に配属されることもある、希望すればこの街から離れ、他の街にある病院へと行く人もいる。
ある意味、一番危険な現場から離れるので現役引退みたいなものって考えている人が多い。
No2もね、私に後任を任せたと思ったら、すぐさまこちらの勤務になるのかと思ってたら、違ったわ。
あの人は化物だと思う、こちらと前線の現場、両方を兼任していることが多い、他にも何か仕事をしているみたいだけど、詳しくは教えてくれない。きっと研究や幹部としての仕事が忙しいのだろう。
緊急時だから、たぶん、No2はこっちで仕事をしていると思う。
だって、私が前線の現場に立っているから。
さてっと、状況を知りたいからまずは、声をかけてくれたスタッフに事情を説明してっと…
事情を説明すると静かに頷いてくれたので、まずは、探している人がここに居るのかどうかを確認する…だけど、ピンと来ていないのか首を傾げて考え込んでしまう。
どうせならと、スタッフも一段落がついたみたいで、手が空いているから、探すのを手伝ってくれることになった。
ありがたい、こういう悲しい連鎖がある時は一人でも人数が増えると自然と悲しみが分散される気がする。
あと、探し人の特徴を伝えたとしても、あの爆発規模を考えると…
顔の判断がつかない人もいたそうで、その、顔が解らないくらいの人は順次、命を繋ぎとめてから、整形を施しているとのこと。
…たぶん、私も整形する形になりそうな気がする、皮膚移植だけで済ましたいなぁ、骨は欠けてないし。
探し人も顔がわからない状態であれば、確かにピンとこないのも無理はない。
なので、比較的、落ち着きを取り戻した人から見ていく流れになる。
一人一人見ていくと言っても、退院間近の人はたったの3人で団長として彼らのメンタルケアも含めて往診していく流れになってしまった。
三つ編みちゃんからすると待たされてしまうので嫌ではないのかと確認すると、独りでは不安と言うので、一緒に行動してもらった。
幸いなことに、皆、心身ともに平静を取り戻しており、あの大規模な惨劇を経験したのに心のストレスは特に問題は無かった…
隊員間近の人物は、三人とも新人ではなく、隠蔽部隊に長い事勤めている、色々と怪我をすることがあるので自分の怪我に対しては耐えれてはいるが、自分の怪我よりも、新人達を守れなかったことに心を痛めていた。
退院間近の人がいるから、すれ違いと良くないからってことで、先に三人へと案内されてから、うっかりしていたと気が付いてしまう。
先に、探し人は新人って伝えておけばよかったなっと…
無駄足をさせてしまったと思われるかもしれない、これも必要だと思う。
こうやって順調に回復している人を見せることで、この病棟に運ばれているのであれば、探し人が生きているのだと、希望は持てるという実感を…三つ編みの彼女に知ってもらって体感してもらう形となっているから。
心の平穏を取り戻してほしかったっていう狙いもある。後付けだけどね。
いや、私はそう感じてるだけで、案内してくれたスタッフはそこまで考えていたのかもしれない。
スタッフの狙い通り、肝心の三つ編みちゃんはというと、少し、落ち着きを取り戻して私の支えが無くても一人で歩けるようには、なっている。なっているがまだ、足取りは覚束ないし顔色が悪い。
さて、次へと移動するべき、他にも運ばれてきた人はいないのかと問いかけてみると…暗い顔をされてしまった。とても言いづらそうにしている…その様子から伝えにくい内容であると察する。
恐らく、私に気を使っているのではなく、三つ編みちゃんが心配なのだろう、彼女の耳に入らないように会話を成立させないといけない、ハンドサインでも良いのだけれど、この距離でこの傍でそれは少々…
っとなると…それに適した術式を私は教えてもらっている、ぇっと、ソニック音波だっけ?あの術式って難しいんだよね、音波を超指向性に調整だのなんだの、どの方向へと的確に音を飛ばすのか~なんてさ…補助の魔道具なしでさらっと使えるの姫様だけだと思う、私だって発動させるのにちょっと時間かかるもの。
あんなコンマ数秒で、あ!使おう!って思って即座に使えれるわけがない。
姫様の術式に対する理解度は常人を軽く凌駕している、本当にすごくて尊敬している。
そこの部分はね!悪戯心をそろそろ良い年齢なんだから、抑えて欲しい・・・
この状況に最も適した術式を…頭の中に術式を構築していく…
指定座標を意識して、どの方向にどの範囲までしか聞こえない様に絞って、飛ばせ!ソニック音波!
ソニック音波を使って、スタッフだけに聞こえるように話しかける『もしかして、今も集中治療を行っている方がいらっしゃる?』スタッフは一瞬ビクっと体が跳ねてから、小さくゆっくりと…こくりと頷いた。
驚かせてしまったのは音が大きかったのかもしれない、このソニック音波って調整が難しくて囁くように伝えるのが本当に難しい、音量が大きかったかもしれない、申し訳ない。
予想と違ったのは、まだ全員の緊急処置が終わっていなかったっと言う点。
治療中の人達に面会するのは少々難しい、術式の途中で会うなんて更に難しい。どうしたものか。
医療班二人が同時に足を止め立ち止まってしまうと
「ぇっとその」
三つ編みちゃんが悲しそうな顔でどうしたらいいのか、次のこちらのアクションを待っている。
じっとさせているのも仕方がないし。一旦、この子を返して私だけで動いた方がいいのかな?
そんなことを考えていると
「団長じゃない、どうしたの?」
集中治療室へ入る為の服装をしているNo2が声をかけてくれた。
驚いたことに、全身包帯でも私だって気が付いてくれた。
やっぱり凄いなこの人、私がどんな格好をしていてもきがつ…
─ 刹那的に脳裏に蘇る何時か何処かの記憶 ─
…あれ?お化粧してるときは私だって気が付かなかったような…ん?…
一瞬何かの矛盾を感じたけれど、深く考えないことにした。
今は私の事よりも、三つ編みちゃんや、No2のこと、つまりは病棟での私がするべき仕事。
「これから?」
今から難しい術が待っているのかストレートに尋ねると首を横に振り
「終わったわよ、取り合えず一命は取り留めたわ」
くいっと親指を立ててNo2が後方へと指をさし、私達の視線を向けさせるとストレッチャーがガラガラと部屋に向かって運ばれていくのが見えた。
見えたのが話の流れだと、たぶん、一命を取り留めた患者だろう。
どういった内容なのか、軽く術の内容を確認すると、近距離で爆発に巻き込まれた為、全身火傷、四肢損傷、等々、四肢の損傷に対する術式は、次回行う予定で、まずは、全身火傷の皮膚移植を完全に終えて、今から回復術式で徹底的に回復を促進させる流れとのこと、因みに女性で身長は160センチ付近、体重は58キログロム…
身体的特徴は似てるかも?もうちょっと軽かったような気がするし、身長も、もう少し小さかったような…
三つ編みちゃんも教えてもらった情報を聞いて、悩んでいる…
身体的特徴だけでは判断できないし、少しだけ、見ることはできますかと尋ねると、部屋に入らなければいいよ。とのこと…部屋に入らなければいいってことは、免疫力低下、及び、無菌室で回復の陣を発動させる流れ、どうやら感染症の危険性もあるくらいの深い深いレベルの火傷だったのだと伺える。
皮膚を張り付けたとしても油断が出来ない状況ってことだよね。
皮膚移植が終わっているのであれば、顔を確認できる、No2にお疲れ様っと労いの声をかけると眠そうな顔で手を振って去って行った。
一縷の希望を込めて三つ編みちゃんの手を握ると手が震えていた、けれど、力強く握り返してくれる。
震える彼女と共に歩幅を合わせ運ばれて行った部屋へと足を一歩ずつ進めていく…
一歩ずつ近づくにつれ歩幅は変わらないが、足の速さが少しずつ早くっている。
無事だったんじゃないかという淡い希望が沸き上がってきているのだろう。
人生は思っていた以上に過酷で辛い、それでも、嬉しい出来事もいっぱいある。負けちゃったらダメだよ。
焦る気持ち逸る気持ちを抑え、彼女の手を握りながら進んでいくと…部屋の前に到着する。
何度か深呼吸を繰り返し、恐る恐る…ゆっくりと硝子越しで病室の中を覗き見ると…手を握っていた女性が膝の力が抜けたのか沈み込もうとする。
崩れ落ちる彼女が地面にぶつからないようにそっと抱きしめてあげると、小さな声で彼女が何か囁いている。
その音に意識を向けると…
私も早くなっていた鼓動が更に暴れようとするのを小さく呼吸を繰り返し大人しくさせる、彼女に気づかれないように。
違った、彼女じゃなかった
探している人ではなかった
淡い期待が途切れた瞬間は堪える…
希望を、渇望していた思い描いていた甘い未来を、目の前で切れた瞬間は堪える…
声にならない声で泣き崩れてしまう…
彼女の心が壊れない様にぎゅっと抱きしめる、私には抱きしめることしか出来ない。
「すいませーん車椅子とおりまーす」
彼女を抱きしめていると廊下の邪魔になるように座り込んでいる私達が邪魔だという声が聞こえてくる。
ぁ、いけないお仕事の邪魔しちゃだめだよね。三つ編みちゃんを通路の端に寄せ車椅子が通っていくと
「ぁ、看護師さん、ちょ、ちょっとお待ちになって」
車椅子に座っている人物から、女性らしき声が聞こえてくる
車椅子がくるりと反転しこちらに向き直すと包帯や点滴などが付けられ…四肢の欠損が見当たる患者が此方を見て
「ああ!良かった無事でしたのね!」
歓びに満ちた顔をしていた。
この顔と言葉で私でも伝わってくる…
車椅子に乗せられて何処かに移動する際中の彼女…
彼女こそが、恐らく三つ編みちゃんが探していた人なのだと車椅子に乗っている女性の反応で解る
声に気が付いた三つ編みちゃんもすぐに車椅子の彼女に飛びつき、更には、全力で大きな声で泣き出し、車椅子の彼女もお互いの無事が解り大きな声で泣き始めた。
私も、その光景を見て感極まり泣きそうになるが、ここで涙を流すのは大人として少し違う、見栄を張らないとね、
ぐっと涙を堪えて、後は二人だけにしてあげるべきだと判断しその場から離れた。
病棟での私の仕事は無さそうなので、彼女の結末も見届けたことだし、私は私の現場へと戻ろう…
病棟から出ようとしたら、No2に呼び止められてしまう?
話を聞くと、先ほどの車椅子に座っていた彼女の術式を交代して欲しいとのこと、歴戦の猛者でもあるNo2といえど年齢には勝てないご様子で連戦は辛いみたい。
本来であれば、私が担当するべき難しい術だと解っている、体力も気力も回復してからの方が絶対に良いのも解っている…でも、彼女の足と手をくっつけるとしたら今日がラストリミット、吹き飛ばされた腕と足を培養液に付け込んで栄養を送り続けているがボチボチ限界。
でも、私も限界。さすがに三徹は死ぬ、吐きそうっとのことで、私を頼ってくれた!
まだまだ体力に余裕がある私の出番ってわけね!任せて!初手でへまをやらかして、みんなに迷惑をかけたんだもの!最高のバトンタッチを決めて見せるわ!
ぇ?迷惑なんてかけてない?貴女がいなかったら、もっと悲惨な結果になっているから卑下しないの?うん、ありがとう。それだけでも私の心は救われる。
でも、もっと、もっと、助けたかった…あいつらに命を奪われたくなかった…
溢れる感情と共に涙が流れると、優しく、母親のように…そっと抱きしめてくれる、ありがとう大先輩…
私が泣き止むまで抱きしめてくれた先輩は、私に聖母の様なほほ笑みを見せたあと、崩れるように意識を落とし眠りについた。
仮にお子さんがいたら、一緒にこの街で働いているくらいのご年齢だもの。
三日三晩の徹夜は堪えるよね。
しかも、それだけじゃない、三日三晩徹夜+難しい術ばっかりだもの。
そうとう神経尖らせていただろうに。
大先輩であるNo2をお姫様抱っこしようとしたら腕がつりそうだったので、背負って運ぶことに、やっぱり怪我したてで回復直後の腕で持ち上げるのはまだ早いよね…
病棟にある仮眠室に寝かせ、隊服を脱ぎ包帯を外す、そして鏡を、、、勇気を胸に・・・・見る!!
…あれから、初めて見る、自分の体を…
心臓が跳ねて叫びたくなる…っが不思議と、冷静に今の状態を診ることが出来る。
思っていた以上に酷い有様だ、髪の毛も殆ど残ってない。8割?それくらいかな?火傷で皮膚が爛れてしまっている。
鏡に映る姿を見て何処か、客観的な言葉が漏れてしまう。
ぁーぁ、治す手立てが無かったら絶望して自死を選ぶ人が居るのも頷けるよ。
客観的な言葉を漏らしてしまうと、涙も緩くなってしまっているのか
…涙が自然と零れ出る、心を強く持って、私は医療を志す人、何があろうと諦めない。
なんてね!うん、なんてね…確かにかなりの衝撃的映像だけれど!治す手立てがある!8割焼けても2割綺麗って程ではないけれどマシな部分がある!この皮膚を培養すればよし!後は焼け爛れてしまった8割の皮膚を剥がして培養した綺麗な皮膚にはりなおせば良し!
希望はいつだってある!どんなどん底の底になろうとも!希望はいつだってある!
その希望を繋いで見せよう!紡いで見せよう!!
大人は未熟な子を守り導き、未来へと繋いでくれた!
未来へのバトンタッチを繋いでみせるよ先輩!
集中治療室、今回用いる浸透水式を行うための特殊な部屋に入る為には、専用の服を着ないといけない。
専用の服を着て、治療室の手前にある部屋で、体を洗浄する。
この無菌室に入る為の洗浄中が一番、神経が研ぎ澄まされていき集中力高まっていくのを感じる。
実際に、そういった効果がある薬が散布されているらしい、それを肺の中いっぱいに肺をみたすように鼻からも口から大きく大きく吸い込んでいくと…集中力が高まっていくのを感じる。
目覚めろ細胞、走れ脳神経、歌え!未来を繋ぐための讃美歌を!!
これが!私の!!脳細胞フル回転!!焼けた指もしっかりと動く!っていっても指はあまり使わないけれどね!
最高にキマッた状態で、最高に研ぎ澄まされた状態で挑む!
今の私はどんな神経だって!どんな筋繊維だって縫合して見せる!!
中に入ると準備は完璧、いつでも始めれる状態。
始めよう、人の未来を繋ぐ術を、導こう明日への希望へ。
では、術式を始める。
内容は焼けた皮膚を除去し培養した自身の皮膚によってはりなおす、分離した腕と大腿部を培養液に浸してある自身のパーツを用いて筋肉、骨、神経、皮膚を繋ぎ合わせ、繋ぎ合わせた部分を急速回復により組織、細胞の組成形成を行う。
メインは私、こと、団長が行い、私の自我が吸い込まれて返ってこなくなるのを防ぐために…あれ?誰が補助してくれるんだろう?いつもはNo2か3だけど、3はたぶん、戦場の方じゃないかな?2は寝てる、あれ?誰が補助してくれるのかな?この術式で私を補助できる人ってかなり少ないし、まぁ無くてもこれくらいなら大丈夫だけど。
ふと、補助を行う命綱の陣に誰かいるのか振り返ってみると、誰かが立っていた。
全身を覆う服装だから目元だけで判断しないといけないっていうかあれ?なんでここに!?
姫!?
彼女の姿を見た瞬間、不安を感じるという要素が全て消え去っていくのを感じてしまう。
バチコーンとウィンクして手を振ってくれている、サポーターに姫様が居るのならフルダイブしても絶対に帰ってこれる信頼がある。
これ程、頼りになる人がいるなんて思っても居なかった、自然と笑みが零れる…零れてしまう。
こんなにも安心して後ろを…命綱を任せれる人はいない、さぁ、全力を尽くそう!!
意識を集中させ、意識をダイブさせる…
後ろを振り返れば何時だって姫様を感じることが出来る
難しい術式だというのに、私は笑みを浮かべてしまっていた。
ふぅ、無事終わった。
さぁ、後は帰るだけ、戻ろう。
意識を、自我を、自身の体へと繋ぎ合わせ…感覚を人の感覚へとシフトさせていく。
術は完璧で完全だった。ミスなんてどこにもない!自信を持って断言できる。
焼けた皮膚も綺麗にはりなおして皺すらなし!皮膚のよれもなし!シミも全部とった!
後遺症も恐らくなし!
鼓膜も再生済み!っていうか鼓膜も傷がついていたの知らなかったんだけど!
フルダイブ同調のおかげで全身隈なく見れたから気が付けたけど!他にもいっぱいあったからね!ダメージ!
あとは!…後は、焼けた頭皮も綺麗に治したけど毛が生えてくるのに時間はかかってしまう。
しばらくはウィッグ着用してね!髪の毛は生えてくるけど髪の毛は瞬時に再生できないから。
後は、取れた腕と足、それを繋ぎ合わせた後の、リハビリが必要ってことくらいかな?
まぁ、それくらいなら、問題ない。
術式の閉幕を伝え、部屋から出ていくと姫様が待ってくれていた
「さっすが団長!手際が神がかってる!」パチパチと拍手して出迎えてくれる。
こんな非常事態だというのに彼女は何も変わらず変わることなく…安心させてくれる。
「ありがとう!それと、おかえり姫!」
目元だけでもニコっと笑って歓迎する、あれ?姫の顔が曇ってる
「ねぇ、団長ちょっといい?」
手を掴まれて更衣室へと連れていかれる?
更衣室に入ると、ささっと帽子やマスクなどをはぎ取られてしまう。
そして、すぐに泣きそうな顔になってしまう
「酷い…こんなのあんまりじゃないの…」
泣きそうな顔がどんどんくしゃっと崩れていき、目元から涙が頬を伝って落ちていく。
とめどなく流れる熱き感情を目の当たりにして胸の奥から感情が込み上げてくる。
「うん、私もね、鏡を見てびっくり!だけど、生きてるから、姫と一緒に作ってくれた戦闘服のおかげで生きてるから」
私もつられて涙を流してしまう。
今日はよく泣いちゃう日、涙なんて皮膚と一緒に焼けて枯れちゃったのかなって思ったけれど、涙腺は生きてるみたいで良かった。
「…うん、そうだね。生きててよかった。それはそれとして、きれいな皮膚残ってる?」
そして、姫の切り替えの早さについていけない時がある!手早く私の服を脱がしていく!!
ちょ、まって!?ひん剥かないで!?脱げるから!自分で脱げるから!?あ!こら!肌着も剥かないで!
こら!脳天にチョップをお見舞いすると漸く止まる。
ほんっとにこの人は!!自身の行動に躊躇いが!!物事に対しての遠慮が無い!!配慮が無い!!
「…ぶつことないじゃないの」膨れっ面で叩かれた頭を撫でている
「…許可なく全部をひん剥こうとするからじゃないの」頬が熱くなるのを感じながらプイっと姫様から顔を背けてしまう。
お互いの行動が日常過ぎて可笑しくなったのか、ふふふっとお互い笑いあってしまった。
「見た限り、腰とお尻とお腹の皮膚が綺麗!これだけあれば、培養すれば大丈夫だから、後で皮膚取らせてね!培養するから!こんだけ綺麗な部分があるのなら一杯培養できるから、それが終われば直ぐにでも元通りにできるできる!そうだな~…培養もなるはやでやるから、1日!1日あれば綺麗な皮膚を大量に作ってあげるからね!」
バチコーンと大きなお目目で豪快にウィンクしてくる。
姫様って目が大きいからウィンクが似合って可愛くていいなぁ、私がしたらきっと憐みの目で憐憫な感情を抱かされちゃう、わからされちゃう、、、
「いえ、大量はいらないです、適切な量でお願いします、余ったら何処かに使われそうで怖いので、必要最低限でお願いします」
つい本音が口から漏れてしまう。
その呟きに、にまぁっとふへへっと笑ってる、売ろうとしてた?ねぇ?もしかして、またヒト財産築こうとしてた?人の細胞で?
「っというわけで!さ!部屋に戻ろう!」
ぐいっとすれ違いざまに左腕を掴まれて連れて行こうとするけれど!まってまってまぁって!!服!はだけてる!恥ずかしいから!見えちゃってる!色々とお肌がみえちゃってるの!空いた右腕で姫のお尻を豪快に叩く、乾いた音が更衣室に響き渡りながら姫の悲鳴が病棟に木霊した。
「…いたい!!!いたいいたいいた、い!!!加減してよ!!!」
想像以上に強くはたいちゃってごめんなさい。
「ぜぇったい赤くなってるぅ!!なってるでしょ!?」
ぺろっとズボンをおろして見せてくる、うん、綺麗な手形が出来てる、そっか、集中治療室に入る為の服って薄いもんね、そりゃ、痛いよね、いつもの用にさ、現場とか汚れる場所にはジーンズ履いてることが多いから、つい、ズボンっていう認識だけで、その感覚でやっちゃったかも。
「…団長ってさ、手が早くない?」
ぷぅっと涙目で頬を膨らせている。
手が早いっか、確かに、そう言われると口より先に手が出るダメな癖があるのは重々に承知してる。
反省しますぅ。
自身の服装を正しながら謝ると
「ふぅ、まぁ私も非があるのは認めるよ、でもさーここって基本的にスタッフ女性が多いから、気にしないかなってさー」
お尻に回復の術式を使いながら自分の行動に正統性があるのだと文句を言ってくるけど!女性が多くても!私の体は男性なんですけど!?相手に失礼じゃないかな!!
っというのを口に出さずに飲み込んでいると、姫様も、服装を正している、その間、ずっとぶつぶつと文句を敢えて聞こえるように仰っておられますが、私はこれ以上謝らないよ?姫も非があるのは確かだからね?配慮が足りないの!
お互い準備も出来たので更衣室から出るとばったりとNo3に出くわす・・・・いるじゃん男・・・・
いるよね!っと、勢いよく視線を動かし姫の方をみると視線をそらしてふけていない口笛で誤魔化してる!!
No3は何か書類を見ていたのか、一瞬此方に気が付かず、書類を下げて私達に視線を向けると
「ぉっと、失礼、ぇっと・・・ぁ!団長でしたか!先ほどの術式お見事でした!感服いたします!!」
一瞬だけ思考が停止してしまったのか動かなかった。
No3も私だと気が付くのに少し時間が掛かってしまった。
やっぱり、全身火傷だとわかりづらよね、ってか、先ほどの術式みてたんかい!見学者いたんかい!!集中しすぎていて気が付かなった…迂闊…患者は女性だっていうのに!男をいれないでよ…許可とってないでしょ?こいつの事だから。
「てっきりもう移動されたと思っていました、まだ、全身を集中治療室用の服をお着れになられていらっしゃるとは露にも思わず、完全に団長ではないと先入観によって思考が遅れてしまい敬愛し尊敬する団長であると気が付かず申し訳ありませんでした。いや~一瞬何処かの御令嬢かと思ってわかりませんでしたよ」
そして間髪入れずに何時もと変わらず、口がよく回る回る…まったく二枚舌、三枚舌だなぁ。誰にでもそうやってご機嫌取りしてるんでしょー?
何も変わらないNo3の態度に緊張の糸が完全に抜けていくのを感じていると
「ごめんねー私達ちょっと用事があるから~、あ!それと集中治療室ちょっと使うから誰にも入らない様に見学者ルームも閉めといてね!」
姫様が私の左腕をひっぱってスタスタと歩いていく、姫様もNo3の話が長いうえに回りくどいのを知ってるのでこれ以上掴まると長くなると察したのか、逃げるように離れていく。
「あっぶねー、アレがいたのかーごめんねー?知ってたらきちんと服装正してから連れて行ってあげたよー?」
申し訳なさそうに謝られてしまうのと同時に、No3特有の異常な行動を思い出してしまう。
そうだね、そうだよねー!
昔にNo3だけが私の事を性的な目でガッツリ見てくることを姫様に相談したりもした!
(お風呂場含め、着替え含めガン見してくることに気が付いている、流石に全力で見られると恥ずかしい)
そういう部分がちょっと苦手なの知ってるから助かります。
彼は、根は真面目なんだけど、どうしてか、そういう場面になると鼻の穴を広げて近づいてくる。
彼から逃げるように集中治療室の一室へと全身を消毒してから入ると、手慣れた手つきで準備を終わらせ、手早く、二人だけでささっと、誰かに覗かれないように綺麗な部分の皮膚を採取する。
培養液が入った瓶、複数の瓶が用意されており、各々に、深めに四角に切ったお尻と腰とお腹の皮膚を入れる。
当然、採取する際に麻酔はしてあるので、めちゃくちゃ痛いわけじゃない、敢えて伝えるとなると、感覚的に料理の時に包丁で指先を切るくらいの感覚。
採取する皮膚の大きさも小指サイズだから、そこまで大きくないので、後処置は消毒してガーゼして包帯で固定してお終い。
「これで問題なし!培養した皮膚を更に培養して倍々に増やしてあげるぜ!!メイドちゃんこれ、培養班に渡しといて!」
切られたところを回復術式で回復していると姫様の言葉に釣られ視線を変えると、培養液が入っている瓶を何処かで待機していたメイドちゃんに渡していた。
え!?メイドちゃんいたの!?全然気が付かなかったんだけど!?しかもちゃんと集中治療室用の服装きてる!偉い!
上品な仕草で培養液を受け取っているメイドちゃんの姿を見てふと、冷静になる。
ってか、姫ってここに居ていいのかな?解析班で敵の対処方法考えてないといけないんじゃないの?
此方の考えが伝わったのか、ニカっと全力の笑顔をしてくる?
「さてっと、着替えてお猿さんでもぶっ殺しにいきますか!」
そんなひとっぷろあびるかぁ!みたいなテンションで言わないでよ、強敵だよ?
「でぇじょうぶだ!もう、解析は終わってるし、対策準備も進めてもらってる、準備が終わるまで待ってるだけだったから、そしたら団長がやるっていうから手伝いにきたのさ!」
さらっとこれまでの経緯を教えてくれる。
相変わらず人の心が読めるのかなって思う。頼りになるなぁ、このお姉ちゃんは…
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感想は一言でも問題ありません、お気持ちだけでも励みになりますので、よろしくお願いいたします。
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─※ 完結まで読んでから見てね ※─
─※ ネタバレ注意 ※─
設定資料 三つ編みちゃん
その後もずっと医療班で頑張り続けているのだけれど、少々、抜けているところがあるので
製薬といった危険性の高い仕事には関わらせてもらえません。
主に、看護師としての仕事がメインとなっている。
元々、おっとりとしているのでマイペースに仕事をこなし
街にも慣れて、団長のファンクラブにも所属し、影ながら見守り続けている。
友人とは最後の戦いの後も交流があり
共に王都で頑張っている。
仕事があれば、この街に戻ってきて仕事を手伝ってくれていたりもする。
ただ、彼女の中で鮮明に残っている団長との日々が焼き付く様に心に焦げ付いてしまっているので
誰かを愛せれなくなってしまっている。




