112日目 妻の為に何が出来るか?
10月21日(水)
午前9時
スクーターで義父の家へ向かう。
以前、義姉の手伝いでスクーターを使うと言っていたが、今日それを果たす。
姉は本業で忙しい。
やるべき事は生前妻がやっていた事。
義父のお世話だ。
妻は天界から義父の世話が出来ずにヤキモキしていると私は勝手に考えた。
ずっとお世話をしていたからね
妻が亡くなってからやっとその思いが果たせそうだ。
姉から頼まれていた事。
・義父の食事(明日のお昼のお弁当、他)
・義父のおやつ
・義父宅の掃除
・庭の清掃(雑草抜き)
・側溝(池)のドブさらい
・野菜の手入れ
半分の項目は元々私の仕事だったが、3ヶ月以上も手をつけられなかったので草ボーボーだ。
義父宅近くのスーパーで先ずは買い出しをする。
義父の好みだが、妻と一緒に買い出しした過去があるので問題ない。
義父はそもそも甘党で甘い食事を好む。
糖尿病の私から言わせれば夢の様な食事内容だ。
だがそこは妻も知る所、頻繁には甘い物は買わない。
でも初日だし「おはぎ」でも買って行くか!
妻もひと月に一回は買っていたからね
お昼のお弁当の他におはぎ1個とバナナ、ぶどうパン、せんべいアソート、キャラメル…
んーっ、やはりこうなるのか
頼まれた物と妻の買い出し記録を照合するとどうやら甘い食べ物ばかりになる。
カブトムシかな?
でもね、義父は偏食家だ。
よく知ってる。
普通の日本食を食べなくなった。
正確に言うと食べられるが、食欲が無いので好きな物しか食べない。
97歳ともなれば食が細るのも無理はない。
但し、コレは私が鬱の時に経験した、甘いものしか食べられず身体がおかしくなったパターンと酷似している。
取り敢えずおはぎは半分にして、あくまでオヤツにしてもらおう。
義父宅に到着するとヘルパーさんが丁度帰るところだった。
挨拶をして家に入る。
義父に挨拶をし、買ってきた食材を冷蔵庫に並べる。
食材の説明と世間話の後に姉に頼まれていた部屋の掃除を開始する。
物凄く絨毯が汚い。
妻、義母と亡くなりこの部屋は一時的に色々使われたのかもしれない。
整頓していると妻が生前ウチで使っていた、洗い物を入れる大きい袋が見えた。
あぁ義父の衣類をコインランドリーへ持って行く時に使っていたヤツか…
中身は当時のままなのかな?
ホコリになるので上部を塞いだ。
周りを見回すとウチで使っていた物が一杯あるのに気づく。
結構、義父実家に貢献していたんだな
仏壇部屋だけに義母がホームに居た際のアイテムが所狭しと並べてあった。
兄夫婦が回収したのだろう。
ほぼ妻が母の為にと揃えた物ばかりだ。
妻が買った造花もある。
そう言えばショッピングモールに行くと必ず造花売り場に行って悩んでたな
義父宅の為にと色々考えて購入した物も幾つか見つかった。
ここにも妻の思い出は結構あるんだ…
生前の妻を思い出しちょっと潤っとした。
魅入っていると辛くなるので掃除を再開する。
作業中、義父が買い物やら掃除やらで手伝いに来た私を気遣ってお小遣いを渡そうとする。
姉に貰うからと丁重に断った。
部屋を片付け、次は庭掃除を始める。
草ボーボーだな
玄関の雑草取りから開始し、人目がつく所は大体片付けた。
後は前方の庭か…
見た途端、途方に暮れる。
妻が亡くなってあと10日程で4ヶ月、こうも植物は逞しく成長するものなんだと愕然とする。
地道にやるしかない。
里芋が2m以上も葉を伸ばしていた。
日当り悪いから仕方のない事とは思うが、ここまで伸びるものなんだ。
よくぞ水の無い状態でここまで伸びたと感心はするが、ここ最近の長雨を考えれば納得もした。
それにしても茎が太いので収穫が楽しみだ。
栗の木が枯れている。
話し掛ける。
ごめんな…世話出来る状態ではなかったのよ
ほんとごめん。
悪い事をした…
姉さんにこの鉢植えの栗だけ水をお願いしておけばと後悔をする。
だが、当時の私はそれどころではなかった。
生姜も下手にマルチシートなどしなければもっと一杯出ていたに違いないし、茗荷も一杯生っていたのに収穫タイミングが悪く採取出来なかった。
終わっているけどトマト、きゅうり、ナスは兄夫婦で何とか収穫は出来たと思う。
キャベツは全滅し、大根、にんじん、ネギと生えてはいても食べられない程小さい。
間引き出来なかったからね
今年の夏は大失敗。
仕方のない事とは言え、野菜たちには申し訳ない事をしたと思う。
皆んな、ごめんなさい。
無農薬にこだわる妻に収穫した野菜を渡し、喜ぶ顔を見る為に始めた家庭菜園。
もう以前の様に家庭菜園をやる意味もない。
でも今後の事を考えれば、その気になる可能性だってある。
完全には止めないでおこう。
来季はやったとしても世話の掛からない物に限定するかな
そろそろ足が痺れてきた。
腰も物凄く痛い。
長時間の作業で持病の症状が顕著に現れる。
立った途端左脚が麻痺している事に気がつかず転んでしまう。
同じ体勢を長くしているといつもコレだ。
まずいな…
タイミング良く義父から昼食を誘われる。
手を洗い義父に姉が前日用意した海苔巻き(私のは明日の昼用)を渡すと「いや、おはぎを食べるよ」と言い出す。
いやいやいや、ちょっと待って!
姉がせっかく用意した物なのに食べないのは失礼だよ
おはぎを丸々一個食べるらしい。
おやつ、しかも半分づつと思って買ったものが、根底から崩れ去った。
私が「海苔巻きはどうします?」
と、聞いたら「アンタがお食べよ」との事。
おにぎり食べたかったのに強制キャンセルさせられてしまった。
まぁ何となくそんな気がしてたのよ
義父はおはぎを「美味しい美味しい」と食べているし、諦めるしかないだろう。
妻が苦労していた話を聞いていただけに実際体験すると妻の大変さがよく分かった。
次から気をつけよう。
食べ終わり庭掃除再開!
義父が窓を開け、何やらゴソゴソしている。
「昨今の交通費は高いだろ」と称し、お小遣いをほぼ投げた感じで寄越した。
風が強い日なのに何て事を!
咄嗟に掴むと義父は家の中に戻り「受け取ってもらわんと安心できんのよ」と言った。
仕方なくお礼を言って「後で姉さんに報告入れますね」と返事を返した。
この辺が年寄りの譲らない精神なんだよな
義父らしい。
雑草取りをしながら池(側溝)のヘドロをさらう。
気持ち悪い…
物凄い数の蚊が湧いていた。
ここヤゴがいたんだよな…
私がもっと通っていればと思ったが、もう過ぎた話だ。
大きなゴミ袋を3つ消費し、庭は2/3を片付ける事が出来た。
既に夕刻。
今日はここまでかな
今回の事で妻はどう思っただろう?
遺産相続で義父とはギクシャクした感じになり、妻も悲しんでいたはずだ。
今日はその事もあり、私自身が進んで仲良くなる様努めた。
妻を安心させたいのもあるが、私が前を向く為に必要だと感じたからだ。
天国に居るであろうむつみへ
今日はお父さんと仲良くやれたよ
安心してくれたかな
まだ作業もあるしまた来るよ




