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大好きな妻と歩む道  作者: ゆき


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102日目 現世にあるどんな物より


10月11日(日)

午前10時頃

洗い物を済ませ、ふと上を見上げる。

棚が目に入った。

キッチンの上の棚に何が入っているんだろう?

妻は背が低く洗い場によじ登りよくその棚を整理していた。

左の棚は鍋物をよくするので鍋が仕舞ってある事は知っていたが、真ん中の大きい棚はあまり分かっていない。

右の棚もそうだ。

大凡の見当はつくが具体的には分からない。

背の低い脚立を用意して確認してみる。


あぁやっぱり食器類か…それとキッチンのスポンジとかラップにパックなどがあり思っていた通りの内容だった。

ついでなので一人用の鍋を取り出す。

今迄は大鍋で事足りていたが、大鍋はもう使わないだろう。

小鍋をいつでも使える様に外に出す。


右の棚も確認する。

やはりメインは食器関係かな

それらしい分厚い箱が多数置かれていた。

んっ?

祝いの帯が掛かった小箱を見つける。

何だろと開けて見た。

あっ…

ブワッと涙が溢れる。


私らの結婚時に貰った夫婦箸だ…


結婚式を挙げた神社名が入った小箱。

男物の大きな箸と女性サイズの箸が仲睦まじく並んで配置されていた。

妻は大事に取っておいたんだ…

見て最初に思ったのは結婚式で和装の彼女、文金高島田を角隠しをして花嫁衣装を纏った妻だ。

和装の彼女はそれは綺麗だった。

その後の披露宴では彼女の手作りドレスを出席者達に見せていた。

そんな情景が思い出される。

妻を恋しくなり胸の奥がギュッと痛み出す。

懐かしいが見ていると物凄く苦しい。

そっと元の場所に戻す。


妻の思い出は何処にでもあるが、泣いてしまうポイントは私にも分からない。

その物にどんな思い出が隠れているのかも全く知らない。

やはりまだ慣れないな


思い出の詰まったこの家は私が死ねば解体され廃棄物になるだろう。

構わない、死んだ先で使えぬ物に未練はない。

これらと引き換えに妻を返してくれませんか?

金も家も土地も車も全てあげるのでそれと引き換えに妻を返してください。

誰にお願いしているのか謎のままに私はその誰かにお願いをする。


午後3時

最近、やっと三食まともに食べられる様になったせいか、米櫃の米が無くなりそうだ。

物置にしまってある玄米を表に出す。

妻と一緒に買った30kgの玄米を10kgの米袋に移した。

この10kg玄米を近くの農協で精米する為だ。

まだ余裕があるので余分な米は買わなくて良いかな?

妻が生きていたら次の米を買っていたはず。

でも一人では消化しきれなかった。


何もかもが半分になる。

衣食住全てに関わる事が半分だ。

家計に優しくなったが寂しさが湧く。

やはり悲しいものだな


午後4時半

冬支度の準備をする。

2階のベランダに設置したコンテナから灯油タンクを出す。

毎年、ファンヒーターも一緒に押し入れから出していたが、今年からキャンプ用に買ったアラジンストーブを試しに使う事にする。

灯油代は節約出来るし、お湯も沸かせられるのでガス代も節約出来る。

然し、きっと寒い気がする。

まぁ何処まで出来るか分からないが、取り敢えずやれるところまでやってみよう。


作業終え、2階のベランダで寛ぐ。

夕陽を眺め一服する。

妻は夕陽を見ながら何を考えていたのかと思いを馳せる。

ここは妻の憩いの場、最近は私も間借りしている。


気持ちいいよムッチぃ〜

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