89日目 車の点検と染め花と妻の写真
9月28日(月)
午前9時
浄化槽の点検の方が来られた。
昨日の夜に点検の方から電話が来たのだが、普段なら妻が対応していたので私では何をどうして幾ら払うのかも分からず慌てて正直に妻が亡くなった事を告げた。
浄化槽の点検の方と妻は仲が良く、たまに世間話などもしていたせいか妻が亡くなった事を聞き酷く動揺していた。
その優しい言葉に私は潤っとした。
明日9時に来る事、浄化槽の点検と清掃がメインで値段は3,500円らしい。
私はまだ優しい言葉に免疫が無いみたいだ。
清掃も終わりお金を渡し世間話の際、悲しい顔の清掃員の方が「奥さま、3ヶ月前はあんなに元気だったのに信じられません。暑い日などは私の体を気遣ってくれてとても優しい奥さまでした。」と言われたので私は突然亡くなった事を伝える。
一瞬間を置き清掃員の方が下を向き「そうでしたか…それはとても残念です」と言われた途端、私の目からブワッと涙が溢れた。
私「こうして妻を知って頂く事が妻への手向けと思っていますので、聞いて頂きほんとうにありがとうございました」と伝えると清掃員の方も泣きそうな顔になっていた。
今日もまた私は泣いてしまった。
浄化槽清掃員の方には感謝しかない。
午前9時半
これから子ダンボちゃん(車の愛称)を半年点検に連れて行く。
子ダンボと言う名前は以前の車に妻がダンボちゃんと名付けていた事もあり、2台目の車に子ダンボと命名したものだ。
午前10時
カーディーラーに着くといつもの営業の方が出迎えてくれた。
車の調子が悪い所を聞かれサイドミラーの自動開閉がたまにおかしい事を告げ、撥水洗車も頼んでおいた。
パック車検に入っているおかげでサイドミラーの電子部品一式を無料で取り替えてもらえる事になった。
妻に感謝だ。
彼女がこのパック車検に入っていなかったら結構取られていたかもしれない。
部品手配に時間が掛かるらしく到着したら連絡してもらえるらしい。
他の客もいるからか点検と洗車が仕上がるのに1時間半後と言われた。
なのでいつも通りその辺をぶらつく。
実は生前妻と半年点検の日は必ず周辺をぶらついていたのだ。
道を隔てた向こう側に青果市場がありこの中を妻と冒険した事があった。
懐かしいな…妻と色々見たっけ
青果市場へ入る。
スーパーよりちょっと高めだが玉ねぎときゅうりを買った。
ふと生花売り場が目に入る。
あぁ妻に花でも買っていってあげるかな
普段の私なら素通りする場所だが妻の仏前に飾りたいので覗いてみる。
青い花が目に入った。
染め花と言うやつかな?
白いカーネーションに青インク染めした様な花が並んでいた。
この淡い系の色を妻は好きだったな〜
一束買う事にした。
妻は喜んでくれるかな
この青果市場からカーディーラーまで続く田舎にありがちな舗装路を歩いていると二人で並んで歩いた過去を思い出す。
桜の終盤次期にこの舗装路の脇に咲く桜を堪能した過去を思い出す。
妻「こんな所に桜の木があったんだ」
私「もう終わりかな」
妻「満開の時期に来たかったね」
私「うん、残念」
思い出が痛い…
辛いな
やっぱり潤っとする。
午前11時過ぎ
カーディーラーに着くと子ダンボちゃんが納車されていた。
うん、雨の日だがピカピカになっている気がする(正直よく分からなかった)
午後0時頃
近くのショッピングモールに来た。
写真屋に入る。
以前動画から切り抜きした写真データを印画紙に起こす為だ。
タッチパネルを利用し、自分で処理する。
ちょっと編集したりと結構時間が掛かる。
妻の葬儀の写真も切り抜きする。
アップで編集しているせいか、切り抜き編集していると堪らずに啜り泣き始める。
周りの人は何事かと思ったかもしれない。
やっぱり辛いわ…
でも最後の1枚だ…手元に置いときたい。
妻は嫌がるかもなぁ…
でも私にとっては宝物、すまんなムッチぃ
現像に10分は掛かるらしく、その間スーパーで買い物を済ませる。
現像も終わり、印画紙印刷物を受け取る。
さて、帰ろう。
午後2時近く
家に到着。
玄関を開け、リビングに入ると直ぐに遺影を覗き込み「ムッチぃただいまー」をする。
スーパーで購入した物を冷蔵庫に入れ、花を切り揃え花瓶さす。
それを妻の仏前に供えた。
ムッチぃどうかな…綺麗でしょ
うん、花音痴の私でも分かる。
とても美しいし可愛いのだ。
良かったねぇムッチぃ〜
何となく妻が喜んでいる気がする。
こんな事でしか尽くせない。
今はこれが精一杯のおもてなしだ。




