↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敵は魔王より『地の文』だって?~勇者アーサーの不本意な戦い~  作者: 一枝 唯
第10話 『地の文』が設定を追加してくる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
72/95

08 いい感じの思い出になってる?

「それじゃやっぱり、俺たちと行くか?」


 気軽にジャレットが誘う。いやいや、ちょっと気軽すぎない? 裏切れってことよ?


「――あんなふうに分かれたぼくに声をかけてくれて有難うよかったら一緒に行こうこっちにぼくが案内ができます」


 その暗記の棒読み一気読み! 最初のときに聞いた!

 一瞬、また性懲りもなくスパイにきたのかとも思ったが……ジャレットを助けてくれたのは、事実だよな。


「……誰かに言われてるのか? 俺たちを連れてこいって」


 そっと深呼吸してから、俺はユウオに尋ねた。たぶんだけど、ユウオ自身には俺たちを騙そうって意志はなくて……言われたからやってるみたいなことだ。


【ユウオはそこで黙った。彼が言葉足らずなのはいまにはじまったことではない。あのときも、何を考えているかさっぱり判らないユウオを約束の十日間きちんと試用し続けたアーサーはまるで聖人だった。】


 それは、お前が「ユウオはスパイ」ってネタバレしたからじゃん……逆に放り出せなかったよ。魔王の命令があるなら断ってもついてきそうだったし。


【ユウオはそのことも覚えている。誰も聞こうとしないユウオの言葉をアーサーたちは聞こうとしてくれた。】


 え? いい感じの思い出になってる? フォローしようとしてたジャレットやずっと公正でいたレナだけじゃなくて、ちょっと冷たくしちゃった俺も?


 さっき読み返したときも、別に俺の態度は改変されてなくて……むしろジャレット目線からすると俺の想定より冷たかったんだけど……ってことは、ユウオは魔王城でほとんど無視されてるみたいなことなんだろうか。


【彼はそのことを覚えていて――葛藤していた。】


 傍目にはさっぱりだが。


【ユウオはもともと魔界の生まれだが、】


 え、ちょっと待って? ユウオの生い立ち説明はじまる感じ?

 ちょっと長くならない? 俺には『地の文』が一瞬で理解できるんだけど、それでもちょっと不自然すぎる沈黙が……。

 いや、ユウオの答えを数秒待つくらいの時間はあるのか。


【曾祖父が人間であることから、魔族たちのなかでは爪弾き者だった。】


 ええ? 種族差別ってこと? そりゃ魔物に人間の、しかも杏里沙の感覚で倫理観を問うても無意味だけど……引くは引く。


【ユウオ自身に人間の火炎術によく似た能力が宿ったためもある。術士たちが操る二神の力は、魔界の生き物たちにとって忌むべき不快なものだ。】


 魔王城に光が届かないことからしても、魔物たちは太陽とか月とか光が嫌いなんだろう。大きな弱点ってほどじゃないから昼間にも出てくるけど、選べるならなるべく避けたいのかな。

 それって聖なるものが苦手だから? それとも、魔物に効果があるから、術士の力は神から授かったことになった、って順番かな。

 〈ワーストエンド〉の月光石も、〈光の二律背反(ルクス・アンチノミー)〉も、光が関係するもんな。それを操る〈聖なる勇者〉、俺にも神様の加護がある扱い。


【しかし、だからこそ、人間である〈聖なる勇者〉のもとに送り込むにはユウオが最適の存在だった。】


 ええ……?

 都合よく使うのも引くし、人見知りとか喋るのが苦手ってレベルじゃないコミュ力を最適化扱いしてたのも引くわ……シノンの方がまだやれたんじゃないの? スパイ。


【実際、ユウオの術は「強力な人間のもの」と区別がつかず、アーサーたちもそこを疑いはしなかった。】


 俺は知らされてたけどな、お前の酷いネタバレで。


【あの十日間、ユウオは生まれて初めて、何の偏見もない、ただの人間として扱われ、蔑まれることも小突かれることも蹴られることもない日々を過ごした。】


 ……いやさすがにドン引きですよ、魔族の陰湿さに。人間かよ。


【たかが十日、されど十日。ユウオは七十年の人生のなかで】


 俺は鼻が鳴りそうになった。七十年!? 七十歳!? 魔族長寿設定は一般的とは言え、同世代くらいの見た目で七十歳はビビる。


【初めて「気持ち」というものを知った。】


 え、いい締めじゃん……割り込まずに耐えればよかった……。


 てか、この感じだとユウオは仲間になると言うか、少なくとも「魔王様のために」とか言い出して俺たちと戦うつもりはなさそうだ。


 そりゃあのとき、助けてくれるかもとは言ったし、ちょっとだけそんな下心でジャレットをユウオにつけたのも、その、なくはなかったが……完全にこっちにつくのは別の話じゃない?


 でも、こうして事情を聞けば、ユウオが魔物たちに肩入れする理由は見当たらない。シュヴァルツに恩義もなさそうだし、崇拝してる様子だってかけらもない。


 となるとまじで、一緒にきてもらうか?

 ……俺を焼かないようにだけは、頼みたいが。


【これで勇者一行は四名となった。伝説の上でも、最も均衡がよいとされている。】


 そうなの? でも、さっきまた棒読みしてたし、そもそもユウオ自身の答えをまだ聞いてないんだけど、仲間扱いでいいの? え、それってネタバレなの?


[第11話「『地の文』がネタバレをしない」へつづく]

ジャレットはあっさりとユウオを迎え入れるが、本当に大丈夫?

『地の文』の意図は果たして……。


続きが気になっていただけましたら、リアクション、最新エピソード画面下の【☆☆☆☆☆】評価、ブックマーク等から、応援をよろしくお願いいたします。


第11話「『地の文』がネタバレをしない」もお楽しみに!

しないの? ネタバレ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。