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デジタルゴールド ―― 聖書に接続された暗号  作者: パランティーリ
第二十九章:クリプトの崩壊
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580, そして何より……あの闇の口から、一度たりとも「ショア」という単語が出てこないこと。つまり、そんなものは初めから狙っていない。……これでこそ闇。合理性の化身。

 闇の総攻撃によって、狙いどころ……「採掘」と「SHA-256」がほぼ確定したわ。となれば次は、その二点からどこへ焦点を当ててくるのか。それを読むしかないわ。


 よく考えるのよ。これはもう、遊びでも、ゲームでも、ガチャでも、創作でもない。闇は「本物のお金」でクリプトを殴ってきているのだから、すべてが本気なの。


 しかも……闇が相手の感情を揺さぶるプロだという点を、今回、深く思い知らされたわ。時間的制約を武器に、逃げ場がないように追い込み、重大な決断を残り期間ギリギリに迫ってくる。反論の余地を徹底的に潰したうえで手を打ってくるのだから、わたしが折れないのを不思議に感じている頃かしらね。……本当のところ、量子アリスの件がなかったら、ハッシュレートを突かれた時点でどうにもならなかったわ。


 引き算で考えていけば、闇の意図は自然と浮かび上がる。闇が狙っている抽象的な「オブジェクト」があって、それをそのまま理解するには抽象度が高すぎる。それで、相関の低い要素から順に除外していく。彼らは、そうした論理的処理が恐ろしく得意なのよ。確率論を結び付け、もっとも「勝率が高い」どころか「ほぼ確実に勝てる領域」まで削っていった。そして残った中心核が、あの「梯子外し」の理由……そう、ハッシュレートの低下。次に、その源である「SHA-256」に焦点を移し、そこへ「闇の量子」を差し込んできた。……これでわたしは、確信できたわ。


 順番的にも、こう来るのは当然。そして何より……あの闇の口から、一度たりとも「ショア」という単語が出てこないこと。つまり、そんなものは初めから狙っていない。……これでこそ闇。合理性の化身。相手を仕留めるための最短手だけを選ぶスペシャリストよね。


 だからわたしは……闇のどこかに楔を打ち込まないと、このままではじわじわと削られて終わるわ。でも、それにしても闇の全力は凄まじい。あの「信用全力の使い魔」でさえ、「闇はここまでやるのか」と驚愕していたほどよ。こんなのを相手にしていたら、たしかに彼の言う通り……どれだけ頑張っても最後は負けるのだと、妙に納得してしまったわ。


 採掘への暴落攻撃のあと、休む間もなくクリプト全体へ「売り売り」という追撃。わたしの体力を奪いながら、同時に時間制約でも攻めてくる……ほんとうに容赦がないわ。


 たしかに、あの刻印の内容を踏まえると、ここで全力を出し切らないと、闇にとって重要なブルーステートが「再起不能の壊滅状態に追い込まれる」……そんな未来さえあるってこと。それも理解できる。つまり闇も……もう、後戻りできない入り口まで来ているということよ。


 ……仮想通貨で、ここまで影響が大きくなるなんて。でも、数十年に一度しか現れない「闇の本気」を見ている、とも言えるわよね。……ううん、感心している場合じゃない。


 闇は、仮想通貨が刻印ガチャになるまで追い込んでくるわ。そんな闇がその力を半分でも取り戻したら、またわたしを追い込むための「妙な巻物」でも繰り出してくるのでしょう。……、それも確かなこと。

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