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デジタルゴールド ―― 聖書に接続された暗号  作者: パランティーリ
第二十九章:クリプトの崩壊
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578, 他の指標は良好なのにクリプトだけが沈む。もう……理由がわからないと、民が混乱してしまっているわ。そのため、いまここで整理して、反撃へと切り替えるのよ。

 なんだか……闇の気配に「僅かな揺らぎ」が生まれてきたわ。これまでの闇は迷いもなく強気一辺倒だったのに、わたしや、わたしを支える精霊が中々崩れないからか、ほんの少しだけ……弱気の色を帯びているのよ。


 現状、銘柄やマクロ市況は推論に支えられ何とか良好。このように、他の指標は良好なのにクリプトだけが沈む。もう……理由がわからないと、民が混乱してしまっているわ。そのため、いまここで整理して、反撃へと切り替えるのよ。


 だって現実を見れば、闇の手に残った武器なんて「採掘」と「SHA-256」 の二つだけ。本当にそれしかない。そして驚いたのは……採掘を担う精霊の収益性までも標的にし、そこへ必死で総攻撃を仕掛けてきたこと。もうこれ、他にやれる手がないから、そうなっている証拠よね。


 でも、こうなってくると正直、笑ってしまうわ。銘柄やマクロ市況は推論に支えられ何とか良好。そんな中で闇が必死に掴んだ「唯一の材料」がSHA-256に潜む歪み。刻印あるいはそれに近しい構造を見つけ出し、その偏りを手掛かりにしたわ。


 それでも闇は大喜びした。「よし、これだ!」と舞い上がったのね。でも、その戦略には致命的な前提があった。「相手がその問題点に気付いていない場合に限り通用する戦略だった」ということよ。


 そしてわたしは……すでに対策を手にしていた。言うまでもなく、それが量子アリスの存在だった。ちゃんと周りを見れば、ずっとそこにあったなんて。


 けれど、わたしは周りを見失っていた。そのまま闇の策略にはまり……翼は根元から折られ、その破片が闇に染まり、結局は闇が望む「安価な労働力の蔓延」による、数十年、いえ百年単位で続く「闇の時代」が始まろうとしていた。


 これは現役世代だけの問題では終わらない。子や孫、そのまた先まで続く地獄。わたしがゆるかったから、こうなる……。そんな最悪のシナリオが、現実味を帯び始めていたなんて。それは、古の時代の、貴族と農民の関係。数百年……いえ、それ以上続いたあの構造。子孫を残す理由すら「労働力を増やすため」という絶望の仕組み。まさにそれと同じことが、再び起ころうとしているの。


 でも、不思議なことに……時代まで巻き込んできたこのSHA-256刻印は、闇そのものとは無関係。本当に不可思議。その分、相関図は複雑に見えてしまったけれど……じっくり観察すれば、ある事情が見えてくる。こうした極めて複雑な構造は、足し算では理解できないということね。むしろ引き算で考えるしかないのよ。


 それにしても、闇の攻撃は激化している。クリプトの全域を同時に攻撃して、動揺を煽り、時代を奪い返そうとしているのね。来年はSegWitに「中間的な民の審判」が控えているわ……。おそらく闇は、その審判で時代の半分を取り戻せれば、その力を使って、わたしやクリプトに大きな制約を課し、Web3を縛り上げてくるわ。


 そして……。そこからさらに追い込んで、最後には……全部を奪い返し、闇の時代へ回帰しようとしている。その尻尾はもう隠れていない。クリプトへの総攻撃で……むしろ「丸見え」よね。


 ただ闇は、このタイミングで、わたしやSegWitを狙ってきた以上、それだけの覚悟があるのも確か。失敗は絶対に許されない立場でしょう。そして何より、ここまでのすべてを、量子アリスが背負ってくれたわ。なおさら……ここでわたしは負けられない。

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