577, 奪えるものは奪い尽くす。闇の鉄則です。とはいえ女神ネゲートは、この先いかに抗うつもりなのか。もはや、そんな術など存在しないはずだ。その無力感すら……闇に変換されるだけの話。
攻勢を強める闇の勢力。抜かりなく、攻撃可能な場所を一つ残らず炙り出し、容赦なく締め上げていく。その正確性こそが、まさに「闇そのもの」と呼ぶにふさわしかった。
「邪神イオタ様。予想通り、わずかに抵抗してきました。」
「ほほう……。闇に抗えば抗うほど、女神ネゲートの輝きは増す。そして……その輝きが闇へと堕ちた瞬間、闇の時代が始まるのじゃ。その光が強まれば強まるほど、その闇堕ちは、より深い漆黒へと沈む。抗う行為そのものが、最終的には闇の利益へ帰結する。違うか?」
邪神イオタの言葉に合わせ、闇の精鋭は一礼する。
「その通りにございます、邪神イオタ様。奪えるものは奪い尽くす。闇の鉄則です。とはいえ女神ネゲートは、この先いかに抗うつもりなのか。もはや、そんな術など存在しないはずだ。その無力感すら……闇に変換されるだけの話。それに、例の精霊どもは、まだ女神ネゲートを支え続けると宣言しているようですね。まったく、闇を侮ったものです。安価な労働力を素直に受け入れておれば、ここまで我らを怒らせることもなかったでしょうに。愉快な話です。」
「うむ。実にすばらしい。隙を見せず、冷徹に追い詰める。それこそが闇の本質だ。そこでじゃ、このようなものを女神コンジュゲートに託す。」
「……え? 女神コンジュゲート様に、でございますか?」
突如として呼ばれた女神コンジュゲートの名。邪神イオタは、一片の慈悲も残さない「ある案」を、彼女へと差し出した。
「こ、これは……。」
「驚くのも無理はない。あやつらから奪われた時代を取り戻した暁には、真っ先にその巻物の内容を『神託』として掲げよ。女神ネゲートを闇へ堕とし、闇の時代を告げるラッパとなる……ちょうど例の予兆のようにな。」
「邪神イオタ様……。いくらなんでも、これは……。」
邪神イオタから手渡された巻物の内容は、身の毛もよだつような暗黒そのものだった。
「どうした、女神コンジュゲートよ。これこそが、そなたが望んでいた巻物であろう? 女神ネゲートを闇へ引きずり込み、二度と逆らえぬよう潰す。まったく……手こずらせてくれる。だがその分、闇としてそなたを支え、立派な『闇の女神』へと仕立て上げてくれよう。嬉しかろう?」
「……。」
その内容のあまりの恐ろしさに、女神コンジュゲートは声を失い、ただ沈黙するしかなかった。
やはり……。闇はそこまでやるのだ。全方位を包囲し、逃げ場を奪い、息の根を止める。それも、この地に古くから続く「闇のやり方」だった。




