育成期間0年8ヵ月2週間
日々の精進が身を結び、ついに俺の従魔士としての
スキルレベルも2桁へ突入した。
・・・・ああ、うん。そうだよ。やっとだよ。
周りの候補生達にとってはもう3ヵ月くらい前の話になるかな・・・・。
・・・・・はあ。
相も変わらず育成具合は牛歩のまま。
これには、思わず溜め息の1つもこぼれるというもの。
有名な従魔士の著書には、従魔士のスキルレベルがそのまま魔獣の強さに
繋がるわけではないと記されていたが、
俺の従魔士としてのスキルレベルと魔獣の強さ、
見事に釣り合ってるんだよな・・・。
全く、指標となるべき物に適当なことは書き込まないでもらいたいものだ。
希望の1つも持てやしない。
天に向かって愚痴をこぼし、視線を魔獣コッコに向ける。
今日は魔獣育成所にて仮想敵相手に模擬戦を行わせているが、
どうにも成果が見えてこない。
というのもここ最近、体当たりによるダメージ量の増加が
頭打ちになっているのだ。
別にコッコが手を抜いているわけではないだろう。
これは、コツを掴んだコッコ自身が限界を知ったが故の停滞だ。
命令すれば、壊れるのを覚悟で威力増大は見込めるかもしれないが、
それはどう考えても下策だ。
ただの体当たりで瀕死になってもらっても困る。
しかし、だからと言って現状唯一と言ってもいい攻撃手段が
こんなものでも困るわけで・・・・。
・・・・・・・。
憂鬱だな。
いや、憂鬱なのは俺に限った話でもないか。
コッコへ向けていた視線を別のものへと変えると、
そこには今だ卒業資格を得られていない候補生達がいた。
彼らもまた、魔獣の育成に行き詰まり、考えあぐねているらしい。
俺からすれば、こんな場所へ来ても答えは転がっていないと思うんだがな。
やってることも、仮想敵へひたすら攻撃を繰り返しているだけだし・・・。
あの行為にどれだけの意味があるのかは量りかねるが、
少なくとも仮想敵を相手にする訓練は、
彼らの魔獣にとってもう必要無いはずだ。
一体何をどうしたいのやら・・・・。
『ああ、もう!何してるんだよ!もっと早く発動しろって言ってるだろ!?』
・・・・そして、この無茶苦茶な注文である。
八つ当たりされてる魔獣もいい迷惑だろう。
能力を瞬時に連続発動など、よほど才能に恵まれた個体か、
長年の経験を持ち合わせた個体でもない限りできるはずがない。
大体、そんなことさせるくらいなら初めから・・・・・・。
・・・・・初めから?
・・・閃いた。いや、何かの文献を思い出したが正解か?
まあ、どっちでもいいか。
さっそくコッコへ指示を出し、訓練を再開させる。
何度か試すと、コッコは想像通りの結果を出してくれた。
まだまだ荒削りだが悪くない。これなら充分使える。
やっと突破口が見えてきた感じだ。
頬杖を突いて、眺めるのも悪いことじゃないな。




