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育成期間0年8ヵ月1週間

これは夢か?

常に薄々としているのが俺の財布。それが今はどうだ。

はち切れんばかりに丸々と肥え太ったその姿は、

醜さではなく豊かさを象徴している。


・・・・思わずに顔が弛んでいまう。

だって仕方ないさ。この臨時収入で笑わないのは、

普段から懐が温かい連中だけだ。


今一度感動を味わうため、財布の紐を緩め中身を確認する。

中を覗けば、手垢1つ無い磨き上げられた金貨がギッシリ。


いかんな、これは。妙なテンションになる。


俺が小金持ちになったのは半日ほど前。

切っ掛けは例によって俺の魔獣だ。


コッコに連れられ向かった先にいたのは、

大きな籠を背負った土塊「土ノ人」の群れ。

魔物ではないが、かと言って精霊の類でもない摩訶不思議な人の形をした生物。


背中のお手製籠には拾った物を手当たり次第詰め込んでいるらしく、

これが結構なお宝だったりすることもあるそうな。

そんなわけで冒険者達にとっては、

歩く宝箱のようなものとして認知されている。


俺も冒険者達に倣い、籠の中身を頂戴するためコッコへ指示を出す。

籠の中身を手に入れる方法はそう難しい話ではなく、

ただ土ノ人を驚かせるだけ。

そうすれば驚いた土ノ人は慌てて地中へ潜っていく。

その際、籠はその場に置いて行ってしまうため、

後は残った籠から必要なアイテムだけを取り出すという寸法だ。


俺の指示通りコッコは土ノ人の背後に忍び寄り、

能力アビリティ「疾走」を発動させて一気に距離を詰める。

そしてそのまま、土ノ人の脚目掛けて体当たり。


オーガ並みの図体をしている割に、コッコ程度の体当たりで驚く土塊達。

その癖、周囲への警戒心はまるで無い。

鈍いのか敏感なのかよく分からない奴らだ。


まあ、土ノ人はどういうわけか魔物に襲われることがないため、

こういった突然のアクシデントに弱いってことなんだろう。たぶん。


次々と体当たりを繰り返し、

土塊を大地へ帰していくコッコを尻目に残った籠を漁る俺。

肝心の中身はというと、これまた雑多である。


燃え尽きた松明、折れた剣、どす黒い色をした液体入り瓶、人骨・・・。

使えない物は本当に使えなさそうな物ばかりだが、当然有望な物もあった。


回復薬、解毒薬、俊足薬など薬品関係数個。魔道書3冊。ハーケンワイヤー。

後、夢幻の卵が1つ手に入ったことには正直驚いた。

夢幻の卵は厳重な管理の元、従魔士達へ供給されるアイテム。

紛失しようものなら、多大な罰金か罰則が降りかかる。


偶々、こいつを持っていた従魔士が死んでしまったのだろうか?


・・・・いや、今はそんなことどうでもいいか。

このぎっしりと詰まった金貨の前には、些細なことだ。


そう、普通は森奥に生息しているはずの土ノ人がこんな平原にいることなど、

俺が気にする必要などないさ。


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