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2章 110
サイン会には私が思っているよりも多い人数が集まった様で、順番に並び始めるけど、早くに来ても真ん中くらいだった。
「想像以上……」
「まあ、当然だよ」
「なんで色彩が得意げ?」
持ってこいと言われて一応本は持ってきてるけど。
なんか、いざ対面するとなると緊張してきたな。
「私は短い時間で伝えきれないと悟った」
「ん、ん?そ、それで?」
「手紙を書き綴った」
カバンから取り出したそれは手紙と言うには些か分厚いと思ったが、言わないでおこう。
列が動き始めた。
「岐阜さんは居なかったな」
集団のざわめきに描き消えた私の声は誰にも届かない。
それは勿論ここで目にすることのなかった岐阜さんにも。
キョロキョロしても、色彩に感ずかれる気がしたから探してないだけだけど。




