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居るはずのない人が居た。
夢の続きかと思うけど、そんなことは無いことは分かってる。
寂しい事に友達とへ呼べるほどの人は居ない私だから、弱っていても近くへ来て世話を焼こうなんてしてくれる人はいない。
それは身内を含めてそうで、だから孤独に離れていた。
孤独に堪えがたい人は、孤独以外を知っているから。
正反対の性質を知らなければ、2極的に物事は見られない。
かつての私が孤独を孤独と思わなかったように。
牡丹の花を見てなにか思うことなんて無かったように。
知ってしまったから、求めてしまう。
上体を起こすと鈴城さんが伏せて寝ている姿をハッキリと見て取れる。すぅすぅと弱く可愛らしい寝息を立てて私のそばで眠っている。
「なんで……」
口から出た疑問に答えは無い。答える人はいない。
それでも、この「なんで」は無限に生えてくる。
手を伸ばし艶やかな髪の毛に触れたい。
数回しか擦れたことの無い手に触れていたい。
頬を撫でたい。
……もう一度キスをしたい。
夕焼けが沈む数刻前に暗闇に鈴城さんが紛れてしまう前に……。
そう、願うのだけはタダだから。
もう少しだけ、あと、時計の針が進むまでこの煩悩とともに、鈴城さんのそばにいさせて欲しい。
身に焦がれる。
燃え尽きて灰になってもいい。その後に誰にも気付かれなくたっていい。
私は既に正常では無さそうだから。
手を伸ばし手に触れる。それだけでは不十分だったけど、十分だった。




