296
何とか様になった物をお皿の上に乗せてお互いに「いただきます」と言ってひとくち食べる。
美味しいか美味しくないかで言えば、限りなく美味しくないの部類に入るだろうハンバーガーモドキをモグモグと食べる。
ソースにもっと手間をかければよかったと1人反省会をしていると、普段食事中に話すことをしない鈴城さんが話始める。
だから食べる手を止めて聞き手に回る。
「跡、付いてたんだけど」
私が私の意思で鈴城さんの体に直接的な痕跡を残したもの、内出血、キスマーク。服で隠れて今は見えないその跡を触りながら不機嫌そうな顔は更に曇っていた。
「そりゃ、付けたからね。上手くついてた?」
「……明日、どうしてくれるの?」
私の軽口には答えずに、そう聞かれても、別に見えないし、日常生活に支障は出ないだろうし、何をそこまで不服に思っているのか分からない。
……いやまあ、体にキスマーク付けてる女子高生となってしまったら色々と勘ぐられあらぬ噂もなんてことがあるかもしれないけれど。
「明日、体育あるんだけど」
体育の着替えか。
確かに1度服を脱いでしまうから、その時に見られたらどうするのかという話か。
「付いてしまったものはしょうがないから受け入れて欲しい」
「無責任な」
「なら、私にも付ける?」
ほんの冗談のつもりだった。少しでも和ませようとしただけで、鈴城さんが私みたいな事をするはずがないと決めつけての発言だった。
今迄もそう。少し歪んだことを望んでもその仕返しが来ることは無く、それはそれで私と貴女は違うんだというメッセージを感じていたから。
だから、そんなことを言われるなんて思わない。
「付ける。付けるから、帰らないで」




