291/425
291
まあ、とりあえず鈴城さんの善意が伝わる枕とブランケットを丁寧にベットに戻して、戻して良かったのか?
鈴城さんが居ないなと遅まきながら思う。
ここは鈴城さんの家で、この部屋にい続けなきゃ行けないことも無いだろうし、意識の失っていた私なんて放っておくだろうし。
真っ暗な部屋を出ると、カチャカチャと音がして、それは1階のキッチンからで。
光に惹かれる虫のように、招かれる様に足が進む。
何をしてるのかは分かるけど、何を作ってるかはまるで分からない。
キッチンに所狭しと調理器具や素材が散らばっている。
スマホの画面を凝視しながら格闘している鈴城さんの飾らない人となりに何故か安心して、顔が綻ぶのが分かる。
ゆっくりと近付くと、気配を感じたのか鈴城さんと目が合う。
鈴城さんに付けたはずのものは服で隠れていて、残念に思う。
その跡はずっと見ていたいもので、でも誰にも見せたくないもので。
気持ちが乱気流のように荒ぶる。
「起きたね」
「あ、うん。おはよう」




