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「あの」
「なに」
「確認とかしなくていい?」
「良いよ別に」
「そっか」
岐阜さんは見て欲しかったのかも知れない。
曲がりなりにも掃除を頑張ってくれたし、褒めて労って欲しかったのかもしれない。
そう思うと、心苦しさが全く無い訳でもないけど、そもそも、だ。
互いに要らないことをしなければ、生まれることのなかった時間だ。
岐阜さんが缶コーヒーを飲むその姿をじっと見る。
今まで、意識して見たことは無かったけど、割と整った顔立ちをしていた。
前髪が長すぎる気もするけど、ふと前髪が揺れて現れる瞳はパッチリと大きなものだった。
パーツ一つ一つが絶妙なバランスで配置されてるから、その素顔を見てみたいと思ってしまった。
「なに」
今度は私がそう言われて、素直に貴女の綺麗な顔を見ていたなんて口が裂けてもいえないから、
「別に」
私は逃げるように部屋に戻った。
1階に岐阜さんを置いて。
監視が〜とは何だったのか。




