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「終わったよ。我ながら頑張ったと思う」
「そう、ありがとう」
どこかスッキリと晴れ晴れとした岐阜さんは満足気だった。
本当に途中から興が乗ったんだと思う。人の家で。
岐阜さんへの命令が終わってしまった。
次は私の番……。
少し身構える。
岐阜さんがじーっとどこか一点を見ていて、その視線を追うと、中身が殆ど残っている缶コーヒに、注がれていた。
「飲む?」
「いいの?」
「まあ、良いんじゃない」
投げやりな会話だと思う。
会話としても成立して無い。
でも私と岐阜さんの距離なんてこんなもので良い。
1種類しかない缶コーヒを投げて渡すと、驚いた後に少し不満な顔をされた。
其れについて言及は避けた。
会話を作りたくなかったから。




