160
……私はどうなってる?
雨は未だに強いけど、雷はならなくなった。
それは良い、非常に良い。
けど、視界がいつもと違う。
うん、分かってる。いつも静かな場所に居るから突然の大きなことが苦手。
ヒステリックで手を上げる今はいない母親を思い出すから。
優しく撫で続ける岐阜さんは無表情だけど、目を合わせるとニコリと笑う。
幼い頃、同じ様に母親にして貰って嬉しかったような気がする。
……ん?
今私は幼い頃と同じような格好になってて、同級生に母親役をやらせてるヤバいやつじゃないのかと気付く。
岐阜さんはきっと、言いふらすような人では無いけど、なんか不味い。
「鈴城さんは雷が鳴ったら誰にでも引っ付くの?」
岐阜さんがそんなことを言う。
誰にもなんてしないし、したことも無い。
しょっちゅうこんな風になるなんて思われたくないから、否定しようと起き上がる。
「そんなわけないじゃん」
もっと強く否定する言葉を言うつもりだったけど、出てこなくて。
言うことはいっぱいある気がするけど言えなくて。
雨の音だけが意識しなくても聞こえてきて。
岐阜さんはじっと目を合わせるだけで。
ゆっくりと体勢を崩せば抱きつくような距離。
視線は自然と、不思議と岐阜さんの艶やかな唇に視線が移って。
洗濯機が鳴る。
「……取ってくる」
「あ、うん」




