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第04話 帰り道

遅くなりました

ホコリっぽいカヲリ......鼻が少しムズムズする。

貴族の家、現当主の部屋といっても、完璧に掃除がされてるってわけでもないのね。

幸いにも突っ伏した先は柔らかい絨毯だった。その顔に、血が上ってきてムズムズするのを感じる。


は、恥ずかしぃぃ……

この身体になって、自分で動かすようになって数時間。

以前は男だったのだから、手足の長さが違っていて当然。

ゆっくり歩く時はともかく、急げばどうなるかなんて火を見るよりも明らか。


「ぷ...」

横からそんな声がわずかに聞こえた。

そちらに目をやると、いつも通りの冷淡(ドS)メイドと、少し慌てたような後輩っぽい(ノーマル)メイド。

これは、笑ったのは一番(前者の)メイドだな。Sだもんね…

でも、ここに来るまでの廊下でコケなかったのは、このメイドが私の身体の歩くスピードを完璧に把握して、ちょうど良い速さで先導していたからなんだと、ふと気がつく。

パ、パーフェクト!

……


思考をずっとそらしていたかったが、そこにある恥ずかしさはどうにも消えてくれないので、仕方なくさっさと部屋に戻ることを決意した。


手を使って起き上がり、少し身体を払ってから、何事もなかったように、


「それでは部屋で準備をさせていただきます。御機嫌よう。」


メイドが扉を開けるのを待って、歩き出す。



廊下に出て、扉が閉まると、


「最後にはなりませんでしたね。」


ボソッと小さな声で、慇懃(つめたい)メイドがつぶやく。

なんのことだろう?


ーーこれが生涯最後かもしれませんが、それでは御機嫌よう…御機嫌よう……御機嫌ょぅ………

顔だけじゃなく目も熱くなり、涙が少しでそうになったが、なんとか堪える。


恥ずかしさに早足となったその一瞬で、柔らかく摩擦の強い床に足を取られかけた。

自分の学習力のなさに結局、涙した。


せめて涙は見られまいとこぼれた涙を気づかれる前に、手で拭く。

メイドには気づかれてはいないと思いたいが、後ろを振りむくわけないので分からなかった。だが、あの(そつ)がない、ドS(いじめっこ)のメイドのこと、分かっていてしかも語らず、笑っていて見れば無表情ということは普通にありそうだった。



考えるのをやめ進んでいる前へと意識を向けて、さらなるピンチがやってきていたことに愕然とする。

ーーどちらへ行けばいいか分からない。


なんだ、この廊下の分かれ道の多さは!この部屋の多さは!

これが貴族か!これが持つ者なのか!


失敗した。行きに考え事をしていたため、まさか家の中で帰り道がわからなくなるとは!

どうにかメイドに先行してもらわねばなるまい。


「ぐぬぬぬぬ……」


腹を抑えて、うずくまる。

チラッ


「どうしたんですか、お嬢様」


「な、なんだか、突然お腹が痛くなってきたの。支えてくださる?」

メイドの言葉に(疑問符)がないような気がして、少し焦った声になる。

おかしいな、完璧な演技だと思ったのに……


「わかりました。」

そう言って、チラチラ見ている私にメイドが近づいてきて横に並んだと思ったら、視線が自分と同じ高さ程になる。

あれ?あなたもしゃがんだら、手で引っ張って立ち上げてもらえないじゃん?手を繋げれないじゃん!と考えていると、なぜか背中に手を回し、脚にも触れる感触が。

ん?と思った瞬間、自分の体が浮きがった。



お姫様抱っこ

自分は今、メイドさんにお姫様抱っこされていた。


ーーほ、惚れてまうやろー。

え、なに、なんで?このメイド、まじ男前なんですけど……

絶対、前世の俺より男前なんですけど!


顔が近くて、さっきまでとは別の意味で恥ずかしい。

そっち向いてられない。顔はきっと真っ赤だろうな。耳まで赤いかも。

俺、今、完全に女子だわ。女子力バリバリね!


しかし、目に入る腕も細いし、華奢に見えるメイドさんなんだけど……

身長もそんなに変わらない自分を持ち上げるなんて……

そうか!異世界の神秘ね。

ヤッバ、異世界ヤッバ。


胸をドキドキさせながら、メイドに(素晴らしい体験を)支えられている(堪能している)と、あっという間に自分の部屋の前に着いた。


今ッ!

左の上腕に、素晴らしい感触がッ!

従者の鏡の(男前な)メイドが、自分を引き寄せるようにして、片手は腕だけで支えてドアノブを開けた。

引き寄せられると当然、密着するわけで、私の左側には素晴らしい(やわらかい)感触が押し付けられた。

というか、接触は今までもずっとしていたはずだが、衝撃的なことが多く気づかなかった…もったいない……


密着具合はすぐに減ったものの、接触したまま運ばれる。

うひひ。


広い部屋のベッドに着くと、そっと私をベッドの上に降ろした。

あぁ……


「必要なら、トイレへはご自身で行かれてください。何か必要なものはありますか?」


「…ぃぇ、特にはないわ。」


「それでは失礼します。」

そう言うと、メイドさんは一礼して、部屋から出て行ってしまった。


あぁ……残念。

でも、何を話していいか分からなかったので、良かったのかも。

次話の更新も未定。


誤字・脱字とか話の流れとか、

気になって気になって、出来上がっても一月以上抱え続けるという……

誤字もっと推敲するべし、という感想を見たことがありますが、

ある程度で見切りを付けるのも能力だなぁ、と感じる今日この頃。

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