第63話【ニッシャ精神世界その3】
「はぁー……まぁ、お前は、昔からそうだよな。純粋でどこか子どもっぽいとゆうか、白黒ハッキリしてるとゆうか……その0か100かって言う考えどうにかならないのか?」
「ならない。無理!!」ドーマの呆れ気味の言葉に被せる様にそう言うと、「おっおう……」って言って押し黙ってしまった。
互いに体勢を起こすと大木を背もたれに、広大な景色を一望出来る、街外れの【この場所】が私の思い出であり、良く来てたな……と物思いにふけていく。
(そう言えば煙草吸い出したのは、こいつが死んでからだっけ……酒は飲まなかったが、忘れないためとお守りがてらが始まりだったな)
色々と思考を巡らせている中、ドーマは申し訳なさそうな顔をし、髭面を此方に向けて小声で話してきた。
「娘は……アイナは元気だったか?」
「元気どころか、あんたに似たせいでバカ力と男勝り過ぎるぞ。髭面と酒臭いのは遺伝してなかったけどな」
「それストレートに傷付くからな?おじさん泣いちゃうよ?」
「吐く息はアルコール臭いし、体臭は煙草臭い。だから巷じゃ【酒煙の炎】って呼ばれてたんだよ」
怒涛の言葉攻めの応酬で傷付きやすいドーマは、半泣き状態になり、「私が悪かったから……な?、もう泣くなよ」そう言って優しく肩を叩く光景を、懐かしいと感じるニッシャであった。
体をすり抜ける様な風が優しく吹き付けると、煙が揺れ葉が舞い落ちる様を髭と海星二人で呆然と眺めており、お互いのいじり、いじられと言う楽しい時間が刻一刻と過ぎ再びあの娘の話に戻る。
「俺が死んで五年……アイナは何か言ってたか?」遠くを見つめるその横顔は―――髭面で良く見えなかったが、瞳に映る景色は思い出通り美しかった。




