第62話 【ニッシャ精神世界その2】
「今ある【空間】や懐かしい【景色】、それと俺が発する一字一句全て、お前が作り出した想像の産物だって事を、ちゃんと理解した上で話を聞けよ?」
生憎、私の頭じゃ理解できず、脳内は疑問と混乱が混ざり合い、思考が停止しそうになりながら言い放った。
「んで……何が言いたいわけ?もっとシンプルに説明してくれない?」
「まぁ……つまるところ、ニッシャ―――お前自身が望む言葉とイメージでしか、答えを返すことが出来ないんだ。だから、これから話す事は俺の意識ではない、だが俺でもあるって事を頭の片隅にでも入れてくれ」
ドーマは説明下手だからか、余計に分からなくなったニッシャは煙草を咥え空を見上げたまま、無言の状態で硬直してしまい、灰が落ちてゆく様を意識の外から眺めていた。
要するに懐かしい景色も、死んだはずの人間がいるのも私の中で造り出した「幻」って事でいいのかな?……難しい事は良くわからないが、死人が死人に会うって言うのも中々滑稽だと思うよ。
ドーマは突然起き上がると、ボケた私の目が覚めるような声で喋りだした。
「【炎のレプラギウス】は命の灯し火となる種火さえあれば、傷付いた体を修復し蘇生など容易いはずだ……だがお前自身が拒否したせいでそれが出来ない。俺が生かした命を無下にするつもりか?」
ドーマは才能だけで身寄りのない私を、初めから育て上げ一流の魔法使いにまで成長させてくれた、いわば恩人であり私の考えや性格は良く分かっているはずだ―――だから、この言葉も想定内だろう。
「別に……そんな訳じゃねえけどさ。あんたが死んだのは、少なからず私も悪いと思ってるから、罪悪感って奴?で―――死んじまった」




