第4話【旅立ちと成り立ち】
前回のあらすじ
リメイシャンがラシメイナの顔にフルスイング枕
長い長い廊下を歩き、扉を1つ、また1つ開ける
廊下には、魔法協会から師、リメイシャンへの英雄勲章や賞状の数々。
これを見ただけでも、師匠の凄さになんだか自分まで誇らしく思っていた
いつか自分も師匠みたいな大魔法使いになりたいな。
なんて妄想にフケていたが、魔力のない自分には毎日の掃除や、買い出しがお似合いかと喜んだり、悲しくなったり少し情緒不安定になりながら
稽古場に着くと
老婆は、いつもと違った表情を見せた。
可愛がり、時には厳しくもラシメイナを良い意味で鍛えたその小さな体は真っ直ぐ幼い少女を見ると
湾曲している杖の先端を卒業証書を入れる入れ物みたいに、ポンっ! と音をたてながら開けると中から本当に卒業証書がでてきた。
「ラシメイナ、主には幼い頃から世話をしてきた、誰にもあるものがなく生まれてきた主じゃがそれにも負けずただ私を師と崇め与えられた事を成し遂げてきたのお」
珍しく饒舌な、その姿をみて半ばポカーンと心ここに在らずの様な状態になりながらも、目はしっかりと師を捉える
「そこでじゃ、お主にはここを出てもらい有ることをしてほしい」
「それはじゃ、精霊はこの世界に数千、いや数万といると聞いておる、じゃがその精霊の中でも、【大精霊】と呼ばれる6体は知っておるな?」
毎日仕事おわりに寝る前は魔法辞典を読むほど熱心な少女は、魔力がなくても必死に勉強した。その知識をまるでその場で見ているような口調で話し出した
「数千年前、【大精霊】は1つの星にこの魔法世界を造り出した張本人達と言われていて、その存在はあまりにも有名だが規模が計り知れないため、神話や酔っ払いの作り話とも言われている。精霊は人に魔法を伝え、人は精霊に体を許し、共存してきた。そうして生まれたこの世界だが【大精霊】を探しだし悪用しようと目論む輩も少なからずいた」
と淡々と話だした
老婆はやっと本題に入れると、続けざまに話した
「その【大精霊】様の1体がじゃ、【ミストルフィア】と言う小さな北にある都市にいると魔法協会から通達があったのじゃ」
少女は気がかりがあるとすぐに聞き返す
「でもどうして今頃、【大精霊】様が必要になったの?」
「それは、まだお主にははやいと言いたいところだがやむを得んのお。」
「大精霊様がこの世界を作ったのは先の話でしたのお?
だがこの世界をつくった大精霊様になにかあったらどうじゃ?均衡は崩れたちまち世界は暗黒へと包まれる。それを防ぐため魔法協会で探しだし保護をするのが今回の依頼の核なのじゃよ」
「でも、、保護って、大精霊様をどうやって連れ出せっていうの?ミストルフィアって今は、外交を断っていて入国できないのですよね?魔力認証をしてないと外部の人間は都市の面影すら見えないはず、、、」
少女は疑問を声を大にして述べた
はっ!!っとしたその時、老婆はクスッと笑った
「そうじゃだからお主なのじゃ」
「魔力のないお主ならば、認証を潜り抜けられると思いこの依頼を受けたのじゃ」
「でも師匠!!、 パスは出来ても魔力がなければ入れないのでは?」
「それは心配いらんよ、その都市を覆う魔力は巨大だが穴は必ずあるホレ、お守り代りの飴ちゃんじゃ大事にするとよい」
「明日の日の出にはここを出なさい。荷物を包んでいってくるんだよ」
こうして私は北の都市【ミストルフィア】に旅立つ。