予定
日曜日の夜、家族で夕食を取っていた時、父親こと天野一郎から声が発せられた。
「今年のゴールデンウイーク、どっか行きたい所あるかい?」
天野一郎は目の前にいる、家族全員に問いかけた。
なんでも、俺こと、天野真が意識不明になってから、家族でどこにも出かけていないらしい、まあ、そんな状況じゃ、無理だよな。
それにここ2年ぐらい遠出もしていないらしく、俺が元気になったこのタイミングでどっか出かけよう、ということらしい。
「そうね、しばらくどこにも行ってなかったわね!、泊まりじゃ無くても良いから、どっか行きたいわね」
「やった!、どっか行くの?、行きたい、行きたい」
母親の天野ゆみと妹のリサは嬉しそうに返事をした。
うーん、俺としては、ゴールデンウイークは家で、どこにも出かけずダラダラ過ごしたいんだよな、でも俺だけ行かない!って言っても駄目だろうな?。
だってワザワザ混んでいると分かっている所になんで行かなければ行けないのか、俺には全然、理解できん。ましてや泊まりで行く、なんていったら余計だ。
さてと、どうするかな、なんて言えば家族は納得してくれるだろうか、あんまり下手なこと言っても駄目だろうし。
よし、あの手でいこう!。
「あのさ、俺、ゴールデンウイーク中は勉強したいんだよね!、だから出来れば、出かけたくないんだけど」
俺がそう言うと、一瞬、家族のみんなは押し黙ってしまった。そして急に母親が説得するように言ってきた。
「確かに、勉強も大事だけど、せっかく家族みんなで出かけようと思ってるのに、真だけ置いて行けないわ!」
「そうだぞ、あんまり根を詰めるのも良くないぞ!」
「えー、なんでよ、お兄ちゃんも一緒に行こうよ!」
父親とリサも母親と一緒になって俺に言ってくる。
いやいや、全然、俺、置いていって貰って構わないんだけど、うーん、もうちょい、納得させる用に言わないと駄目だな。
「でも俺、もっと勉強して、良い大学入って、良い会社入って、父さんや母さんに楽させてあげたいんだ!」
我ながらとても恥ずかしい言葉だ、今すぐ、この場から逃げ出したい。
俺が面と向かって両親に言うと、母親は溢れ出る感情を我慢出来なかったのか、目元を拭っていた。
父親はあまりの事に、驚いて唖然としていた。数秒後二人は口を開いた。
「もう、真は本当にいい子ね!、お母さんは本当にに嬉しいわ!」
「そうか、そんな先の事まで考えてるのか?、真は真面目だな、そこまで言うんだったらしょうがないか」
うーん、なんか申し訳ないな、別に泣かせる為に、言ったんじゃないんだが、でも勉強するのは事実だし、嘘は言ってない!、これで行かなくて済みそうだな。と思っているとリサが怒るように言ってきた。
「やだ、お兄ちゃんも一緒に行こうよ、勉強なんていつでも出来るじゃん、行った方が絶対に楽しいよ!」
両親をなんとか説得出来たと思ったら、妹のリサは納得出来ないらしい、うーん、リサに対してはどうすればいいんだ、いい案が思い浮かばないな、どうする、どうすればいいんだ。
多分、リサの事だから、何を言っても駄目そうな気がするな、かと言って、ここで引き下がっては、今までの苦労が無駄になる、とりあえず今、パッと思い付いたことを言ってみよう。
「リサ、俺はもっといっぱい勉強して頑張んなくちゃいけないんだ、分かってくれよ!、じゃあさ前みたいにたまにさお菓子、作ってやるからさ!」
俺はちょっと前に、スイートポテトを家にいる時に、暇だった為、作ったことがあった。
その時にリサが美味しいと笑顔で食べていたのを思い出し、思わずそう言ったのだった。
「え!、またお菓子作ってくれるの?、だったら、いいか」
と、すんなり納得したのであった。
うん、女性はやっぱり甘いものには弱い!、これでなんとか大丈夫そうだな。
「まあ、そういう訳だから、俺の事は、気にせずみんなで行って来てよ」
その後、俺抜きで、どこに行こうかという話で家族のみんなは盛り上がって夕食を終えた。
俺は今、自分の部屋でにやけていた。
やれやれ、どうなるかと思ったがなんとかなったな!、多少の後ろめたさはあるが、やっぱり休みはゆっくり過ごしたい。
ゴールデンウイーク、という響きは実に良い、休みの間に何をやろうか?、というワクワク感が止まらんな、基本的にはダラダラして過ごし、起きる時間も寝る時間も自由だ、嬉しすぎるな。
後日、行き先が決まり、なんと、3泊4日で北海道に行く事になったらしい。
うん、全然、俺はさみしくないからね!本当に。




