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登校

現在の時刻、7時40分、今、俺は梅宮隆の家の玄関にいた。


「梅ちゃん、いつも本当に遅いね!、なにやってるのかね?」


そう俺に声をかけてきたのは、同じマンションの同級生の山越健だった。

身長は俺よりも10センチぐらい小さい、髪形は天然のくっせ毛、顔は、眼鏡をかけてはいるが、ちょっと猿顔に近い。


「でも、よくもまあ、こんなに毎日、毎日、寝坊できるよな!少しは頑張って、起きるようにならないのかね」


俺は呆れるようにつぶやいた。

そう、この梅宮隆という男は朝が弱いのか、なんなのかわからんが、毎日、遅刻ばかりしていた。

最初の時は、時間になったら、マンションの入り口で待ち合わせをしてから学校に向かっていたのだが、段々、梅宮隆が時間になっても来なくなった為、こうして俺と山越健は梅宮隆の家まで向かえに来るようになったのだ。


ちなみに小学生といえば、集団登校をすると思うが、俺たち3人はその対象に入っていなかった。

なんでも集団登校するにはPTAなるものに在籍していなければいけないらしい。

俺の両親は前に住んでいたところでは在籍していたみたいだが、あまりに大変だった為、今回は絶対に入らないと決めていたそうだ。なにやらしがらみが色々あるらしく、大変なことばかりで、いいことはなんにもないらしい。

まあ暗黙の了解、みたいな感じで断る人はあんまりいないみたいだが、たまたま、梅宮隆と山越健も入っていなかったみたいで、だったらということで、親同士が話し合ったみたいで、こうして同じマンションの同級生同士で登校するようになった。


「ごめんね!いつも隆が遅くて、悪いわね!、本当、うちの子は駄目ね!」


梅宮隆の母親が申し訳なさそうに声をかけてきた。


「いやいや、隆が遅いのはいつものことなんで、もう慣れましたよ、でも毎日、起きられないんじゃ、お母さんも大変ですね!」


と俺は梅宮隆の母親を気遣う感じで答えた。

一瞬、梅宮隆の母親はキョトン、としていたが、そうでしょ!と返してきた。


俺は前世の元社会人の癖がどうしても抜けない。どうしても目上の人と話しているといつのまにか敬語になってしまう、あろうことか両親にすら敬語を使って話してしまうこともしばしばあった。そのつど、変な顔をされていたが最近、ようやくそのへんの、調整ができるようになった。

まあ色々、考えながら話すのは大変だが、それはそれで結構、面白いと思っている自分もいた。


その後、早くしなさい!という声が何回か遠くの方から聞こえて、なんだかんだ考えていると、こちらに向かって足音が近づいてきた。


「真、山ちゃん、おまたせ!」


全然、待たしているということを気にしていない態度の梅宮隆が現われた。


「こら!待ってもらってたんだから、ちゃんと謝りなさい」


そう言うと、梅宮隆の母親は息子を軽く叱りながら、俺たちの方にも謝ってきた。


こうして、俺たちは、いつもの朝のやり取りを終え、学校に向かうのであった。


だが、こうして無事に三人で学校に向かっても到着するのは登校しなくてはいけない3分前に着くのだ。

では、それはなぜか?一言いうと梅宮隆のせいだ!。

この、梅宮隆はなぜか、学校にギリギリに行くことが格好いいと思ってるらしく、その為、いつも3分前になってしまうのだ。

学校には、8時30分までに行かなければいけない、前世の俺からしたら10分前行動が基本なのだが、一緒に登校している、山越健も梅宮隆につられて、ギリギリに行くことを格好いいと思い込んでいる。


まったく、これだからガキは本当に手がつけられない、これじゃあ俺まで目立ってしまうではないか。


基本、俺たちは8時にマンションを出る、ゆっくり歩いても15分から20分ぐらいで着く。まあそれでもギリギリちゃあ、ギリギリだが、でも10分前には着く。

だが、俺も山越健もなんだかんだ言って梅宮隆に付き合って一緒に行ってる為、着くのは3分前だ。


「なあ、真、今日、学校終わったら、自転車であそこのゲーセン、行こうぜ!」


「なんだ、隆、またあそこのゲーセン行くのか、というか、隆、金あるのか?」


「ああ、昨日、千円貰ったからな!」


梅宮隆は俺に向かってそんな話しをしてくる。

ちなみに俺は梅宮隆とはよく一緒に遊ぶが、もう一人の同級生、山越健とはまだ遊んだことがなかった。俺もちらっとしか、知らないがなんでも電車が好きらしく、自分の部屋に電車の模型もあって、色々と走らせているらしい。そういう趣味のせいか梅宮隆とは合わないのか、二人の仲は悪いわけではないが、いいわけでもない。

だから基本、俺と梅宮隆が話しているところに加わることはほとんどない。

まあ、それぞれ合う、合わないあるから俺が無理にどうこうする、つもりもサラサラない。


そうこう話していると目の前に学校の正門が見えてきた。

学校の正面に掛けてある時計の時間を確認すると8時15分と表示されていた。

それを確認した、梅宮隆が声をかけてきた。


「まだ、15分だからはええな!、ちょっと時間、つぶそうぜ!」


「おいおい、なに言ってんだよ!、ここまで来たら、もう教室行ったほうがいいだろう、時間、つぶすほどのことないだろう」


そう呼びかけても納得しないのか、こちらに向かってまた声をかけてけた。


「じゃあさ、ちょっと、グラウンドの方に行ってみようぜ!」


本当にこの梅宮隆という男は、馬鹿なのか、うん、馬鹿だろう、どうして、そういう考えになるのか理解できんな。まあ俺には一生わからないだろう。


その後、渋る梅宮隆を俺は強引に教室に連れていって、なんとかいつもより早く着けたのであった。




今、教室の窓から外を眺めていた。

二つの授業が終わり、次の授業までの休み時間だ、なんでも一つの授業が終わると休み時間を挿むのだが普通は5分から10分なのだが授業によっては20分間、休み時間にする時間帯もあった。まあ、色々あるな。

そんなことを考えながら外を見ていると、声がかかった。


「マコっちゃん、どうしたの?、ずっと外、見てるけど」


「別になにもないさ、ただ眺めているだけだよ」


と、俺に声をかけてきたのは山越健だった。


「ふーん、そうなんだ」


俺は山越健の方を見ていると、なんか違和感を覚えた。なんというか、俺に言いたいことがあるような感じがするな、多分だけどそんな雰囲気だ。

まあ、ここは俺の方から察して、聞いてあげたほうがいいか。


「なんだ、なんかあったのか?、俺になんでも言ってみろ!」


「実はあのさ、お願いなんだけど、一緒にトイレに行ってくれないかな?」


一瞬俺は、はあ、なんでガキと一緒に連れションしなければいけないんだ、と呆れた顔をしたが話を聞くとそうではないらしい。


なんでも急に腹痛になって、今にもヤバイらしい、そう言われると顔も真っ青だな、そして俺にも一緒に付いてきてもらって、ウンコをしている振りをしてくれないか、ということらしい。

なんで、俺、とも思ったがヤバそうなので、しょうがなく了承してやった。

まったく、こういうのはいつの時代も変わらんな、何で用を足すだけでここまでしなければいけないのか?、精神年齢37の俺には理解できん!。

まあ確かに俺の時代もあったような気がするが本当にヤバイ時は行かないと、どうしようもないだろう。


その後二人で連れ立ってトイレに向かい、二つしかない大便用の場所を占領しことなきを得た。運よく、俺たちが力んでいるあいだ、(俺は力んでいないが)誰も来なかった。

まあ、山越健からしたら助かった、という感じだろう。


「マコっちゃん、助かったよ、本当に有難う。この恩は忘れないよ」


「いやいや、そんなたいしたことじゃないから」


さも、無二の親友、と言わんばかりの態度で俺に接してきた。

その後、山越健はなにかあれば、すぐ俺に頼ってきて色々とめんどくさくなるのであった。




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