二人の美少女
「ふうー、なんか虚しいな。味が素っ気ない」
俺は今、マンションの敷地内にある小さい公園のベンチに座りながら、そんなことをつぶやいた。
前世で俺は喫煙者だった、それもヘビースモーカーだった。
何度もやめようとしたのだが、なかなか無理だった。詰まるところ意思が弱いというわけだ。
そして、この天野真の身体になってから吸いたいという衝動がおさまると、思いきや、日に日に吸いたいという衝動が強くなっていった。
多分、俺の魂が欲しているのかどうか、わからないがとにかく、最近は一段と吸いたい気持ちが強かった。
一度、両親に、今流行りの、タールもニコチンも入っていない電子タバコを買ってくれ!、と言ってみたことがあったが当然、却下された。
俺からすれば、タールもニコチンも入ってなければ問題ないと思うが、まあ、そうもいかないだろうな。だって、小6の男が外で口から煙を吐いていたら、タバコを吸っている、とすぐ勘違いされるだろうしな。
そこで俺は、気分だけでも味わえないかとあるものをためしてみた。
なんでもココアシガレットなるものだ、たまたまスーパーで売っていたので、これさいわいと、試してみようと思ったのであった。
そして今、俺は、ココアシガレットと缶コーヒーのブラックという小6の男子には似つかわしくない、組み合わせをこの公園のベンチに座りながら、試していた。
「なんだこれ、ハッカの味が、した後、そのあとココアの味が普通にするだけじゃないか」
俺は、あまりの味にがっかりしてしまった、まあ子供向けのお菓子だしあまり期待はしてなかったが、なんというか、俺にはちょっと甘すぎるな。
タバコの代用品にならないココアシガレットを食べながら落胆していると後ろから声がかかった。
「えー、こちら、ただいま天野真君を、発見しました、どうぞ」
「了解しました!、こちらも天野真君を発見しました」
なんか、よくわからんやり取りをしているな、と思いながら、声がした方を振り向くと、トランシーバーを口元に当てながら話している、俺と同じクラスの女子の稲本のぞみと伊東美穂がいた。
「というか、いきなりなんだい?、なんか犯人を見つけた、みたいな言い方だな」
と、俺は冗談っぽく返してやった。
稲本のぞみという人物は、身長は俺と同じぐらいで、髪型は耳まで付かないぐらいのショート、顔は、うーん、例えるのが難しいが、しいて言うなら、極端だがマネキンみたいな感じだ。
そして、もう一人の伊東美穂という人物は、身長は俺の、頭一つ分ぐらい高い、髪形は肩まで伸びているロング、顔は、なんだか猫っぽいな。
なんでも、この二人は学校内でも1、2位を争う、美少女らしい、まあ前世の俺から見ても、アイドルグループにいてもおかしくないレベルだと、思う。
でも俺からしたら、はっきり言って面倒ごとになりそうな予感しかしないのはなぜだろうか。だってそうだろう、俺は目立たずにダラダラ過ごしていきたいのに、こんな美少女の二人と一緒にいるところを誰かに見られたりでもしたら、俺の平穏はなくなる。さてと、どうするか。そんなことを考えていると二人は話しかけてきた。
「だって、天野君、こんなところで、ポツーンって、座ってて、なんか変だな、って思って」
「そうそう、だいたいさ、なんで、コーヒーのブラックと一緒にお菓子、食べてるのよ」
稲本のぞみと伊東美穂は笑いながらそう言って俺の目の前に立った。
「今日の学校の疲れをここで癒してるんだよ、だから邪魔しないでくれ」
俺は小6の男子らしからぬ、発言をし追い返そうとした。
でも、どうやら失敗したようだ。
なぜならこの二人は学校内で1、2位を争う、美少女。どうやら俺の素っ気ない態度が癪に障った、ようだった。
「だって、天野君が寂しそうにしてたから、わざわざ声をかけてあげたのよ」
「そうよ、のぞみちゃんは優しいんだから、邪魔しないでって、ひどくない」
と二人は少し感情交じりの声で俺に向かって言ってきた。
だが、俺はこの二人の学校での振舞いに疑問を感じていた。
稲本のぞみと伊東美穂はとにかくモテると思う、下は小1から上は小6まで、ひっきりなしにラブレターを貰っているところを俺は何度も目撃した、だが、彼女らの態度にびっくりしたのだった。稲本のぞみはラブレターを貰ったかと思うといきなりその場で読み出しダメだしをしていたのだ。なんだか、やれ、もう少し読みやすく書いてだの、やれ、私のことどれくらい思っているか分かりずらいだの、と結局言って、また書いて来てねというのだ、それを見習ってか伊東美穂も同じような感じであしらっていた。
最初、俺は目を疑ったが、彼女ら二人は平然とそういう態度を取っていた、多分、おそらくだが、モテ過ぎるがゆえに、二人なりの防衛手段なのか、ある意味関心してしまった。
だが、渡す男からしたらそれでいいのだろうか、まあ小学生のやることだから俺があーだこーだ、言ってもしょうがない。
だから彼女ら二人はある意味、勘違いしてしまっているんじゃないだろうか、なんで私たちが話しかけてあげてるのにそんなに素っ気ないのかしら?と、まあ、いわいる天狗だな、多分、すべての男はいいなり、見たいな考えじゃないだろうか、まあ彼女ら二人とはあんまり話したことがないから、本当のところはわからないが。
まあとにかくだ、彼女らにこれ以上、構われるのは、色々と目立ってしまう、危険がある、ここはさっさと帰ろう。
「あ!ごめん、ちょっと俺、家の用事があるから帰るわ」
と、俺は有無も言わさず家に向かって走り出した。
「こら、なによ、いきなり、ちょっと待ちなさいよ」
「え!、なんで、急に」
二人は突然のことに声を荒げて言っていたが、俺は気にせず家に向かって帰って行った。
稲本のぞみは天野真の態度や行動に違和感を覚えていた。
なんでかな、だいたい私が話しかけてあげると男の子はみんな嬉しそうな顔をしてくるのに、でも天野君はみんなと違ったな、なんでだろう。
私は気が付けば学校一の美少女って、言われててその時は驚いたけど、なんかみんなが私のことが好きなんだ、と思ったら悪い気はしなかった。でも毎日、毎日、ラブレターを私に渡してくるのは参ったな、最初の時は、返事も返してたけど、だんだんめんどくさくなちゃて、その場で呼んで感想を言うだけにした。
そもそも私はまだ誰とも付き合う気はないわ、だって私の家はお金持ちだし、私がなにか欲しいって言えば、だいたいパパもママも買ってくれる。
そんな私にふさわしい男の人はこの学校にはいないと思う。
でも天野君は今までのみんなとは違ったな、なんか気になるな。
「のぞみちゃん、なんか天野君って変わってる感じがするね」
「そうね、なんか今まで私たちの周りにはいなかった男の子ね」
伊東美穂にそう言われ、私も同じ考え!と思いながら返事を返した。
なんか不思議ね、天野君とはもっと色々、お話ししたいな。
稲本のぞみは天野真が帰って行った方を見ながらそう思ったのであった。




