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第53話 源泉探し(ダウジング)

 広い灼熱エリアの中から、ピンポイントで源泉を見つけるのは至難の業だ。

 無闇に掘れば、高圧ガスが噴出して爆発したり、マグマ溜まりに直撃して全員消し炭になるリスクもあるし、有毒な火山ガスが出る可能性もある。

 そこで登場したのが、ガントン特製の秘密兵器だ。


「ジャジャーン! ミスリル製・高感度ダウジングロッド改~(ドラえもん風に)」


 ガントンが得意げに懐から取り出したのは、Y字型に怪しく加工されたミスリルの棒だった。

 先端には魔力を増幅する真っ赤なクリスタルが埋め込まれ、さらにタコちゃんの吸盤(乾燥チップにしたもの)がお守りとして張り付けられている。なんとも怪しい、インチキ臭い見た目だ。


「これを持てば、地下の水脈、金脈、そして酒脈(?)まで手に取るようにわかるのじゃ! 古代ドワーフの失われた秘儀じゃ!」

「酒脈はいりませんけど……本当に当たるんですか? タコちゃんの吸盤がシュールなんですけど」

「失礼な! わしの長年の勘と、カビの生えた古文書の知識を合わせれば百発百中じゃ! 外れたら自慢の髭を剃って、ツルツルにしてやってもいい!」


 テオは半信半疑でロッドを受け取った。

 すると、持った瞬間、ロッドがまるで生き物のようにビクンと震え、グイグイと強烈な力で前方へ引っ張られる感覚があった。


「お、おおっ? こっちに行きたがってる? すごい力だ! 引っ張られる!」


 テオのスキル【水脈探知】もロッドに同調し、視界に青白いラインが網目のように浮かび上がる。

 地下深くを流れる膨大な水の気配。

 しかし、温泉に必要なのはただの水ではない。マグマの熱を帯びた、ミネラル豊富で、そして「匂う」やつだ。


「あっちだ! あの崖の上!」


 ロッドに導かれるように、テオたちは険しい岩場を登った。

 汗だくになりながら(ティアの魔法で涼しいが)たどり着いたのは、地底湖を見下ろす少し開けた高台だった。

 眺めは最高だ。眼下にはヒカリゴケの森が青白く幻想的に輝き、遠くにはマグマの河が赤いラインを描いて流れている。


 その場所の中心で、ロッドがブルブルと激しく振動し、先端のクリスタルが燃えるようなピンク色に発光した。

 高温注意のアラートだ。

 さらに、テオの探知スキルがかつてないほど強烈な反応を示した。


「ここです! ここ直下に最大級の反応あり! 深さ20メートル! 豊富な湯量と適度な圧力、そして硫黄の成分を感じます!」

「硫黄泉か! 美肌の湯じゃな! ドワーフのゴツゴツ肌もツルツルになるぞ!」


 ガントンが興奮して爆発した髭を震わせる。

 テオは地面に耳を当てた。

 ゴウゴウ……トクトク……という低い音が聞こえる。大地の鼓動のような、熱い血潮のような音。

 それは、これから生まれる癒やしの楽園の産声だった。


「間違いない。ここに、僕たちの夢(温泉)が眠ってる」


 ターゲットはロックオンされた。

 あとは、この分厚い岩盤を穿ち、封印された黄金の湯を解き放つだけだ。

 テオはクワを(今日は掘削用ではないが、気合を入れるために)強く握りしめた。


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