おそようございます
うっかり寝過ぎてお昼を食いっぱぐれてしまった。えへ。空腹で目覚めるとか、なんだか残念度が高い気がするよね…。王子様として如何なものかしら。
うっかりがっつり夢見ちゃったせいで、すっごい寝た気はするけど寝た感じがしないってゆー変な感覚がする…。あとお腹すいた。
しかし出来る乳兄弟のジェイン君!
『お疲れのご様子でしたので、軽食をご用意致しました。ごゆっくりお休み下さい。』
書き置きと共にサンドイッチ――ヴェルネラビリティーではパンに挟んだでコンランと呼ばれる――がテーブルの上に置かれていた。
ラップは当然の事ながら存在しないので、謎素材で出来ている半透明のシャボン玉みたいな、ホント謎なんだけどプリズム?が反射?してる?半球型のドームっぽい何かが被せてある。温かい料理の時には、バラエティーとかでよく出てくる金属の蓋的なアレが被ってんだけど、冷たいデザートとかはこの謎のなんかになってるから、冷気を閉じこめるんだか発してるんだかしてるんだと思う。
触ってみてもひんやりしてる感覚は伝わってきたけど、これ本体が冷たいのか、冷気を閉じ込めてたから冷たくなったのかは分かんなかった。
アルラウネたんは朝と夕方、二回の水やりで大丈夫なんだけど、一人飯は嫌だからちょっとお付き合い頂く事にする。窓辺からテーブルの上にお引越しでーす。いつもジェイン君が座ってる方に彼女を置いて。
ベッド横のサイドチェストにあった水差しにもたっぷりの果実水が補充してあって、もう本っ当ジェイン君最高ですね!結婚しよ!
気持ち程度にアルラウネたん用のコップに水を注ぎ、私は目覚めの一杯を一気に飲み干し、さらにおかわりも半分ほど飲んだところで、ようやく満足したのでコップから手を離す。寝ている間に結構汗かいたのか、思ってた以上に喉乾いてましたわ。
アルラウネたん(物体は食べない)との女子会も終わり、手持ちぶたさになってしまった。
ガールズトークと洒落込みたい所だが、あいにく私はまだアルラウネ語を理解出来ない。一応の努力として、アルラウネ語辞典なる物を買ってはみたんだけど…。独自の発音記号でギュイギュイやギャリコッとかをとっても丁寧に解説してくれてるんだけどさ。うん、独自の発音記号ってとこでもう無理だよねー。
暇過ぎるし、部活までまだ時間はあるし、もっかい調査報告ノートでも読み返そっかなぁ。
寝っ転がって読書に耽っていたら、ジェイン君が帰ってきた。もうそんな時間か。早いなー。本って一種のタイムマシンだよね。もしくは時間泥棒。
テキパキとお客さんを迎える準備を整えるジェイン君。私?邪魔しないのが一番のお手伝いです。
パーテーションをこっちに動かす時は流石に手伝ったけどさ、すっごい恐縮です!畏れ多いです!感が半端なく伝わってくるだよね。
もっとフレンドリーに接してくれて良いのよ?
とかしていたらノックが二回。
「エスニシティ様がお見えです」
使用人の声にジェイン君が迎えに行く。
私はノートをテーブルの上に置き、ゆったりと余裕たっぷりに見えるように椅子に深く腰掛け直す。
まずはこの件についてお礼を言って。
ラポール嬢の見張りをお願いして。
ついでに彼女の攻略方法でも教えてくれたら最高なんだけどなー。




