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第14話:手のひら返しと、プロデューサーの鉄槌

ゲリラライブの余韻が冷めやらぬ王都。飛行船から降りてきた五人を待っていたのは、数時間前まで彼女たちを蔑んでいた者たちの、醜い「手のひら返し」だった。

 

「おお、カズマ様! 流石ですな! リナリア殿の才能、私共もずっと信じておりましたぞ!」

 

 すり寄ってきたのは、かつてリナリアに泥を投げた教会の幹部たちや、メルティを『無能』と切り捨てた魔術師ギルドの使者たちだ。

 

 彼らの頭上には、プロデューサーアイが吐き気を催すような数値を弾き出している。

 

【敵対心:0 → 執着心:99(利権目当て)】

【誠実さ:1 / 100】

 

「カズマ様、あの子たちのマネジメント権、ぜひ我がギルドと共有しましょう。莫大な利益を生むはずだ。ああ、もちろんクロエ様の『処刑』の話も、私が王家に掛け合って白紙に……」

 

 汚い笑顔で手を差し出そうとする男の指先が、リナリアのドレスの裾に触れようとしたその瞬間。

 ――バチィッ!

 激しい放電と共に、男は吹き飛んで石畳を転がった。

「……汚い手で触るな。あの子たちの衣装は、一着で王都の住宅が十軒買える特注品だ。お前のような三流の脂ぎった指で触れていいものじゃない」

 

 カズマは冷酷な瞳で、集まった大人たちを見下ろした。

 彼の背後では、ライブを終えて高揚しつつも、強欲な視線に怯える五人が身を寄せ合っている。カズマはその前に立ち、物理的にも、そして魔力的にも完璧な遮断壁を展開した。

 

「勘違いするな。お前たちに、彼女たちの未来ステージを分ける権利など一ミリもない」

「な、何を言う! 我々は王国の公式組織だぞ!? 我々の協力がなければ、今後の興行は――」

「興行? ……笑わせるな」

 

 カズマは指を鳴らした。すると、空を覆っていた飛行船から、数千枚の『法的通告書』が雪のように舞い落ちてきた。

 

「今この瞬間をもって、教会、魔術師ギルド、および王都興行組合による『PENTAGRAM』への接触を一切禁ずる。……理由は簡単だ。お前たちがかつて彼女たちに行った虐待、不当契約、そして名誉毀損の証拠はすべて、俺が私費で雇った騎士団の精鋭と弁護士軍団が整理済みだ」

 

 カズマのプロデューサーアイは、敵の弱点を解析するだけではない。法的な「穴」を突くための検索エンジンとしても機能している。

 

「今後、彼女たちに一メートル以内に近づく者は、即座に俺の私兵が『害獣』として処理する。……文句があるなら、俺の家の総資産をぶつけてでも、お前たちの組織ごと買い叩いて解体してやる」

 

 圧倒的な殺気と、逆らえない財力の圧力。

 カズマの「異常な過保護」は、もはや一国の秩序すらも脅かし始めていた。

 

「さあ、お嬢さん方。こんな腐った空気の場所からはおさらばだ。王都の一等地に、お前たちのための専用劇場兼、シェルター付きの邸宅を用意してある。……今日の晩飯は、最高級の竜肉のステーキだ。シキ、ベル、腹を空かせておけよ」

 

「……カズマ。お前、本当に無茶苦茶。……でも、最高のガードマン」

「あ、ありがとうございます……カズマ様!」

 五人をエスコートし、カズマは群衆を割って歩き出す。

 

 誰一人として、その威圧感に気圧されて追うことはできなかった。

 

 王都の中心にそびえ立つ、純白の劇場『ペンタグラム・ドーム』。

 そこは、カズマが彼女たちのために作り上げた、世界で最も贅沢で、世界で最も「安全な」聖域。

 

 翌日から、王都の流行はすべて『PENTAGRAM』を中心に回り始める。

 

 だが、その熱狂の裏で、カズマは次なる「過保護」の計画を練っていた。

「……次は、世界ツアーか。……海を越えるなら、戦艦級の護衛艦隊を造らせる必要があるな」

 プロデューサーの暴走(愛)は、まだ止まらない

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