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第12話:星々の共鳴、そして夜明けの誓い

二週間に及ぶ合宿の最終夜。


 カズマは5人を、合宿所の裏手にそびえる切り立った崖の上へと連れ出した。

 そこからは、遥か遠くに王都の灯りが見える。

「カズマ様、こんな夜中に……?」

 

「ここが、お前たちの『プレ・デビュー』のステージだ」

 カズマが指を鳴らす。

 

 その瞬間、崖下の湖から巨大な魔力の奔流が吹き上がり、空中に**『光の半球体ドーム・ステージ』**が形成された。メルティの光魔法と、カズマの設置した魔導プロジェクターが同期した、究極の野外ステージだ。

 

「明日、俺たちは王都へ戻る。だがその前に、お前たち自身の魂に刻んでおけ。……5人が揃えば、世界をどう塗り替えられるのかをな」

 

 カズマのプロデューサーアイが、かつてない数値を叩き出している。


【リナリア・シキ・メルティ・ベル・クロエ】

【シンクロ率:99.9%(臨界点)】

【状態:『PENTAGRAM』完全覚醒まで、あと一曲】

「……行くわよ、皆様」

 

 リーダー代行を務めるクロエが、カズマ特製の『光り輝くドレス』の裾を翻した。

 5人がステージの定位置につく。

 静寂。

 

 そして、リナリアが『魔導エレキ・アックス』を掻き鳴らした。

 それは爆音でありながら、どこまでも透き通った一音。


 続いてベルの重低音が地響きを立て、シキのラップが鋭いリズムを刻む。メルティの声が星屑のように降り注ぎ、クロエの甘いボーカルが全体を艶やかに包み込む。


 5人の歌声が重なった瞬間、奇跡が起きた。

 

 カズマの過保護な設計――5人の魔力波長を完璧に調和させるよう調整されたステージが、彼女たちの歌声を**「物理的な光の柱」**へと変換したのだ。

 

 王都からもはっきりと見える、天を衝く五色の光。

「――っ! 私たちの声が……一つになって、溶けていく……!」


 リナリアは歌いながら、震えるような快感を覚えていた。

 隣を見れば、無愛想だったシキが最高の笑顔で踊っている。

 泣き虫だったメルティが、自信に満ちた瞳で光を操っている。

 孤独だったベルとクロエが、お互いの声を確かめ合うように背中を合わせている。

 

【ユニットスキル:『神殺しの五連星ペンタグラム』が発動】

【効果:聴衆の負の感情を消滅させ、魔力を永続的に活性化させる】

 

 一曲を歌い終えたとき、湖畔には静寂と、キラキラと輝く魔力の残滓だけが残っていた。


 5人は肩で息をしながら、互いの手を取り合い、そして崖の上で見守るカズマを見上げた。

 

「カズマ様……。私、やっとわかりました。私は、この5人で歌うために生まれてきたんだって」

 リナリアの言葉に、全員が深く頷く。

「……ふん。ようやく、プロらしい顔つきになったな」

 

 カズマは内心の激しい感動を抑え込み、努めて冷静に、けれど最高に優しい声で告げた。


「お前たちはもう、誰にも否定させない。教会も、ギルドも、王国も……お前たちの前ではひれ伏すしかない。……明日、王都をジャックする。世界で一番豪華なステージ(戦場)へ、俺がエスコートしてやる」

「「「「「はい! プロデューサー様!!」」」」」

 

 5人の少女たちの叫びが、夜の静寂を切り裂いた。

 もはや彼女たちに迷いはない。


 彼女たちの後ろには、すべてをなぎ倒して道を切り拓く、世界一過保護な「怪物プロデューサー」がついているのだから。

 

 翌朝。

 王都の人々は、見たこともない巨大な魔導飛行船が、街の空を覆い尽くしているのを目撃することになる。


 そこから流れるのは、かつて「呪い」と蔑まれた少女たちの、世界を祝福する圧倒的な歌声。

『PENTAGRAM』。

 伝説の幕開けまで、あと数時間。

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