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未来の化石
一万年後の地球。高度な文明を築いた新人類の調査団が、古い地層から奇妙な物体を発掘した。それは、色鮮やかで腐食を拒む、不思議な弾力を持った破片だった。
「これは、古代人が神に捧げた『不滅の聖遺物』に違いない」 考古学者のケイ氏は、プラスチックの破片を手に興奮して語った。彼らは、現代のゴミ捨て場を「大聖堂の跡地」と断定し、レジ袋の残骸を「魂を包む衣」、ペットボトルのキャップを「高貴な身分を証明する勲章」として、厳重に博物館へ収蔵した。
やがて、その「聖遺物」から漏れ出した微細な粒子が、新人類の生態系をじわじわと蝕み始めた。かつての文明が捨て去った「呪い」は、一万年の時を超え、純粋な敬意をもって迎え入れられることで、ようやくその復讐を完遂したのである。




