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神の倒産
宇宙の運営主であるゼット氏は、深刻な財政難に陥っていた。万物の維持費が高騰し、神殿の維持すらままならない。ついに彼は、宇宙裁判所に「自己破産」を申請した。
翌日から、地球の風景は一変した。太陽には巨大な飲料メーカーのロゴが浮かび、重力を使うたびに「ご利用ありがとうございます」と脳内に広告が流れるようになった。雨の一滴、風の一吹きまでが民営化され、スポンサー企業の意向で天候が決まる。人々は、無料だった頃の宇宙を懐かしんで嘆いた。
しかし、最も悲惨だったのは死後の世界だ。地獄はコスト削減で廃止され、天国は有料の会員制クラブとなった。支払いの滞った霊魂たちは、宇宙の片隅に「在庫処分」として廃棄され、新たなビッグバンのための安価な燃料にされるのを待つばかりとなった。




