6-話「行動開始」
“手がかり”
今俺が最も求めていたものだ。
だが、嘘かもしれない。殺されてしまうかもしれない。
だが、このまま離してしまうともう2度とチャンスはないような気がした。
「わかった協力しよう」
俺は臨戦状態を解き手を刀から離す。
「ようやく警戒心解いてくれたかな?ま、僕は嘘をつく気なんてさらさらない。ましてや君を殺そうなど考えていないよ。僕持っている情報は3つだ。すぐに言ってもいいのだけど少し釣り合わないね〜。そちらさんは何を僕にくれるんだい?」
確かに、情報を貰うにはそれなりの対価が必要なのか…。
「そうだな、食料を分けるし、何かあれば俺が守ってやる。これじゃ、ダメか?」
彼女はキョトンとした表情だった。
やっぱりこれだけじゃダメなのかもしれない。しかし俺には他には何も…
「あはは、いいねぇ。承諾しようじゃないか、単なる口約束だが君は嘘をつかない事くらい見ればわかるよ」
彼女は苦笑しながら俺に言った。
この子は一体何を考えているのかまるで読めない。
「よし、お兄さんさっさと残りの2人と合流してこの島から出ようよ」
「なんで2人のことも知っているんだ?」
「簡単だよ。言ったでしょ?僕は並の人より目がいい。その上、耳までいいのだからわかって当然だよ」
「そうか」
俺たちは来た道を戻る。
雨は止み、ジメジメとした空気が漂う。太陽の光が地面に届き水分を蒸発させ蒸し上げる…。
暑い…。そう感じる。
結構遠くまで歩いていたらしい…なかなか見えない。
「しっかし、暑くなってきたねぇ。お兄さん本当にこっちであってるのかい?」
「あぁ、こっちのはずだ…」
暑すぎて思考能力も低下してきた。
…いや、この暑さは異常だろう。たかだか雨が降ったせいでここまで暑くなるのか?
さっきの雨が嘘だというように空には雲ひとつなくジリジリと暑くしている原因である太陽が見える。
……歩く事5分。まだ洞窟には着かない。
足を動かしているとすぐそこの茂みからガサガサという音がし、俺は琴音を庇うように立ち柄の部分を握る。
ガサガサ…ッ
身を低くし戦闘体制に入る。
目の前に出てきたのは白銀の毛を持つ狐だった。
ガルルと唸っているがよく見ると足に怪我をしているようでうまく立てていない様子だった。
きっと他の生存者にでもやられたのだろう。
俺は臨戦状態を解き、狐の傍へ近寄る。
「お、おい危ないぞ!」
琴音が右手で止めようとしたが俺は構わず近く。
距離が1メートルになったところで狐は俺に飛びついてきた。咄嗟のことで右腕で庇うように防御態勢をとり、狐は俺の右腕を思いっきり噛んだ。
「…ッ!」
痛みに顔を歪ませながら俺はそっとその狐を撫でる。野生とは思えないほど綺麗な毛並みは名で心地が良くて癒される。
「大丈夫だよ」
狐にそっと言い聞かせ、俺はその場に座り優しく撫でる。
次第に噛む力は弱くなり俺を噛むのをやめた。腕には血が滲んでおり噛まれた痕もくっきりと残っている。
白銀の狐は申し訳なさそうに俺の腕を舐める。
「大丈夫だよ」
再度笑いながら言い、服の袖を少し破り狐の足の怪我を簡単にだが手当てをした。
すると白銀の狐は少し距離を置いて森の中に帰っていった。
「いてて…」
俺は噛まれた方の腕をさすりながら立ち上がる。
「だ、大丈夫なのかい!?」
琴音が近くに寄り添い腕の傷を見ている。
「あぁ、問題ないよ。それにあの狐も生き残るためにやったんだ。ここに人間が来なければ平和に暮らせたんだろうな」
そう言いながら俺はまた歩き始める。その後を急いで着いてくる琴音は心配そうに見つめるが構わない。
その後はそんなに会話がなく、やっとの事で洞窟に着いた。
「お、遅かったじゃない!」
最初に声を掛けてきたのは玲だ。
すぐに俺に駆け寄ろうとしたが後ろにいる琴音に気がつき足を止める。
「やぁ、お邪魔するよ。僕の名前は琴音、貴重な情報源と言っても過言ではないから丁重に扱ってくれよな」
にやりと悪巧みをしている少年のように思える。
性格悪いなこいつ…。
内心呆れながらも頭をかきながら
「そう言うことだ。イラっとするかもしれないが我慢してくれ」
と、言った。
「イラッとって酷くない?僕は君たちにとっては貴重な情報源だろう?」
「情報源の前に仲間だ。ただの情報源なら拷問してまで情報を吐かせるだろう?」
琴音は固唾を飲み「わ、わかったわかった」と言った。
俺は近くの座りやすい石に座った。
「あ、私は優雅咲玲。気軽に玲って呼んでね」
「俺の名前は宮田透だ」
「そんじゃま、自己紹介が済んだところで話してもらえるかな?」
俺は1つの果実を琴音に投げ渡し、手がかりを聞こうとする。
「おっとと、急に投げないでもらえる?危ないじゃない」
そう言いながらも上手くキャッチし一口口に頬張る。
果実を喉に流し込むと琴音は口を開き話し出した。
「私が知っているのは3つ。1つはこの島に連れてこられた人の人数。まぁ具体的には言えないがざっと20人ほどだ。木の上にいた時に確認できたのはそのくらいだよ」
20人か…。ここにいるのが俺含め4人、そして殺してしまった人が3人…合わせて7人だから多くて13人がいるのか。
「そして2つ目がこの島の秘密と言ったところかな」
「秘密?」
「そ、秘密。この島は動物が少なくいても数匹程度なのよ、この島は人工的に作られていて戦闘用に用意したみたい。逃げようとしても難しいだろうね。それにこの島、おかしいのよね。貴方も違和感を感じているかもしれないけどここまで時間が経っていて海軍や警察が動きを見せてないのも気になるのよ。もう誘拐されて体感だけど軽く4.5時間かかっている。きっとこの島は地図にも載っていないのかもね」
淡々と告げる言葉は感情を読み取ることはできない。俺も違和感があるのは気づいていたがあの時はゆっくり考えられる状況じゃなかったからなぁ。
「3つ目、これが最も重要じゃないかな?僕たちをここに連れてきた人たちを微かだが目視出来た。偶然気を登りきった時にチラッと見えた。それが本当に攫ったやつなのかはわからないがただならぬ雰囲気だったね」
琴音は目を細め、冷たく語る。
俺たちの平凡な日常を奪った奴…いくら国だったとしても俺は許せそうにない。今すぐにでもここへ連れてきて殴り殺したいぐらいだ。
俺は怒りの感情を抑え今はただ琴音の言葉に耳を傾ける。
「それで、そいつは島の北側に向かったよ。今僕たちがいる場所が南側だ。歩いて行くとしたら大体5.6時間かかりそうだね」
「そうか、ありがとう。おかげで手がかりどころか尻尾まで掴めそうになったよ」
俺は眼光を鋭くさせながら感謝を述べた。
「そりゃどうも、そんで君らはこれからどうするつもり?少なくとも1人はもう決めてるようだけど」
チラッと俺の方を見るとすぐに視線を玲たちに向けた。
「私はもちろん涼夜君についていくよ。ここまで助けてもらって今更怖じけずいても仕方ないからね」
「俺も同意見だ」
「そ、まぁこんなところでのたれ死ぬよりはマシか」
どうやら全員俺について来るようだが、危険がある。危ないが…おいていくわけにもいかないよな。
「よし、じゃあ明日の早朝ここを出る。離脱したい人はさっさと離脱しな。無駄死にはよしてくれよ?」
苦笑いをしながら言ったが、どうやら皆覚悟を決めたらしく、顔つきが険しくなっている。
そりゃそうか…明日。命懸けの戦闘があるもんな。俺も今日は早く寝よう。
そうして俺は明日に備え眠りについた。
頑張ってペース上げれるようにしようかなと模索中(*・ω・)
もうそろそろ終盤に入ると思います。最終場面は、一応考えているけど上手く描けるといいなと内心思ってたりもするw
それでは次回もゆったりしていってね〜




