5-話「手がかり」
俺は目を覚まし辺りの様子を伺う。外は雨が降り視界も悪い。
視野も限られている。外の探索はやめておいた方が得策だろう。
あと残りの生存者を見つけて敵の場所を探したいところだが、全員が全員同じことを考えていることではない。一部の人間は本気で殺し合いを楽しんでいるかもしれない、もしくは何もしようとしない。
俺が言いたいのは確実ではないこと。もし仮に集まったとしても敵の場所がこの島内とは限らない。
手も足も出ないとはこのことだな。向こうの掌の上だ。情報も無さすぎる。
玲と宮田さんは瞼を閉じ休憩しているようだ。
完全に手詰まりだ……。今はどうすることもできない。
武器はあれども敵を見つけなければ意味をなさない。
俺は顎に手をやり思考を巡らす。ただの高校生、いやもうただの高校生ではないか。
まぁそんなことは置いておき、本当に為すすべがない。
こんな現実が夢であればどれ程嬉しいのだろうか。普通に学校に行って友人と話して、帰宅したら家族が迎えてくれる。そんな当たり前のような現実に戻れたらどれだけ良いだろうか?
そこの玲も宮田さんも帰る場所があるはず。いや、この島にいる生存者全員がおそらくそうだろう。
俺1人の力じゃ、太刀打ちできない。でも2人なら?3人なら可能性は大きく変わる。
しかしながら…。
俺は未だ雨の降り続ける外を眺める。入り口から微かに匂う雨の香り。ザーッと言う雨の降り注ぐ音。
今この島が戦場となっていても落ち着ける。そんな雰囲気に包まれた。
俺は片膝を立て対角にある岩肌をジッと見つめる。
どうしてこうなったのか、今家族はどうなっているのか。など思う点はいくつもある、が、これは現実。夢だのなんだのと逃げていたって仕方ない。
俺は立ち上がり木箱の方へ歩み寄った。
ガサゴソと食料を見ていく。さっきは何にも警戒せずに食べてしまったが万が一毒が盛られていたらまずい…遅いと思うが確認することに損はない。っと言ってもまぁ外側しか見れないから目を凝らさないといけない。
そうして食料を見ていくうちに木箱の底にキラリと光るものがあった。それを手に取り見てみる。
これは…剣?銃以外にも武器があるんだな。
剣は丁寧に鞘に納められており抜いてみると金属の甲高い音がなった。
柄は黒く、刃は青色の光が薄っすらと帯びているようだった。
「何してるの…?」
玲がこちらに歩み寄ってきた。
「あ、ごめん。起こしちゃったか?」
「いや、大丈夫。少し休んでただけだから…それよりそれは何?見た所刀…見たいだけど」
玲が俺から視線を外し刀へ向ける。
「さぁね、俺にもわかっていない。さっきの木箱の中から見つけたんだ」
俺は刀が出てきた木箱に視線をやりながら刀を鞘に戻した。
銃以外にも武器があり、近接戦闘が可能になったとはいえ使ったことのないような武器ばかりで少々不安になるが、不安なってもしょうがない。
「さて、と…これからどうしますかねぇ。敵を潰したいのが本望なのだが、生憎情報が足りない。それにまずはこの島から出ることが優先だろう」
「お前たち何をやっているんだ?」
宮田さんも起き上がりこちらに歩いてきた。
「いや、この箱の中に刀が落ちててな。それと、これからどうするかを話していたところだ。休んでいるとこ邪魔して悪かったな」
俺は謝りながら鞘に納めた刀を腰に付けれるか試した。…どうやら付けれるタイプのようで次からは持ち歩きできるみたいだな。
それにしても、どうして俺たち一般市民だった人を巻き込み殺し合いなんてさせるのだろうか?
俺が今考えている中では2つ程候補が上がっている。
1つ、人間兵器。つまりは殺しあって生き残った奴を軍の中に入れ、戦争で使うと言うこと。
2つ、ただの見世物。快楽殺人鬼もこの世の中にはいる。人の苦しむ姿を見て嘲笑っているのかもしれない。
まぁ今の所これだけだが、理由は他にもあるかもしれない。が、決してこのような事が許されるわけない。警察も自衛隊も動いていないとなると前者が可能性高いかもしれないが、そんなことは後でも構わない。今俺にできることといえば玲や宮田さんを守ることだろう。
こんな力不足だが、足掻いてみせるさ。
「玲、俺少し外の様子見てるから何かあったら逃げろよ?俺のことは構わなくてもいいから…それと宮田さん玲に何かしたら次こそ許さないからな」
「わかってるよ」
威圧をかけながら宮田さんに言う。冷や汗をかきながら宮田さんは両手の平をこちらに向かって了承した。
「ま、待ってよ!1人じゃ危ないよ!」
玲が心配そうにするが、俺は玲の頭をくしゃくしゃにしながら笑って答えた。
「安心しなよ。必ず戻るから」
そう言って小雨になってきた中俺は歩いて木々の間を歩を進めていった。
頭や肩は雨のせいで濡れてしまい、体温が奪われる。
はぁ、視界も奪われ足元も不安定な上体温を奪れているなか歩だけを進めていく。
「はぁ…はぁ…」
だいぶ歩いたが人の気配すらない。ただただ雨の音だけは響いている。
少し近くの大きな木の幹にもたれ休憩をする。
木の枝や葉のおかげか雨は俺に当たることなく落ちていく。
当てもなしに飛び出してしまったが、あの場所でじっとしていてもしょうがない。
何か1つでも手がかりが見つけれればいいのだが…。
俺は落ちていく雨粒を静かに見つめる。今ここは戦場だと言うのになぜか落ち着く。
俺が普通の生活を過ごしていた時の雨の音と同じだからだろうか。
「帰りたいなぁ…」
そう呟き、瞼を閉じる。
目の前に広がる空間は真っ暗で距離がつかめない。このまま眠ってしまいたくなる。
「大丈夫かい…?お兄さん」
上から声が聞こえ俺は瞼を開き左手を鞘に添え臨戦状態になる。
「誰だ…」
警戒しながらも立ち上がり右手で柄を掴む。
「そう警戒しないで、落ち着きなよ。ここには僕と君しかいないからさ」
「姿見せてから言ってくれないかな?」
「仕方ないなぁ…よっと」
木の上から大体14歳くらいの男の子…?が降りてきた。
「そうピリピリしないでよ。怖いなぁ」
苦笑しながら木の幹にもたれる。
こいつは一体なんなんだ?
「自己紹介をしようか。僕は琴音、女だよ。君は?」
俺は琴音から発せられた言葉に驚きを隠せない。
「お、女!?いやいや、どうみても男だろ!」
俺は失礼ながら指をさしながら言い放った。
「ひ、酷い!これでも僕は列記とした女だ。なんなら確かめてみるかい?」
琴音はドヤ顔をしながら言う。
「い、いや、やめておくよ。俺の名前は涼介だ、一体なんのつもりだよ」
琴音は考えるそぶりを見せてこちらに一歩近づいた。
俺も一歩後退し警戒心を研ぎ澄ませる。
「まぁそう警戒するなよ。少し話そうじゃないか」
彼女の不気味な笑みが気持ち悪くて今すぐにでもここを離れたいところだが、俺は逃げるわけにはいかない。
「ずっと君を見ていた。高いだろう?この木」
彼女が人差し指を木の上の方へと向ける。
雨もいつの間にか止み視界も安定してきた、改めて見るとこの木は大きくて島を見渡せそうだ。
「君が人を殺すところも見てたよ。耳を澄ませれば銃声の音や会話が聞こえる。僕は生まれつき目と耳がいいんでね」
「だからなんだよ」
「僕もこの島から早く出たい。と言うわけで協力してあげるって言ってるの。おわかり?」
二ヒヒっと子供っぽい笑みを見せるが警戒を怠るわけには行けない。
「協力と言ってもどうするんだ。何もアテがないしこれからどうするかもわからないんだぞ?」
「そこは僕の情報量が活躍する。どうだい?協力しようってんなら情報、つまりは“手がかり”をあげよう」
「手がかり、だと…?」
俺はこのチャンスを逃すわけにはいかない。
いやぁ、今回の投稿は遅すぎますねぇ。
すみませんでしたぁぁ!まぁ見てるかわからないけどw
これは私の趣味で投稿しているので不定期ですね。
それでは次回をお楽しみに〜




