7-話「決戦」
次の朝。
俺たちは朝食を済ませ、出発の準備を整える。
いよいよ、あちらの敵さんとのご対面だ。冷や汗が頰を伝い地面に落ちる。
本音を言うなら怖い…。しかし、ここにいてもどうにかなるわけではない。なら行動した方が何倍もいいだろう。たとえ俺が死んだとしてもこいつらは守りたい。今俺にできるのはこいつらを元の生活に返す事だ。
ただの学生だった俺ができるかはわからない。けどやるしかないんだ。
そう心に響かせながら決意を固める。
「…うふふ」
微かな笑い声に俺は気がつき声の主を確かめる。
「玲、何かいいことでもあったのか?」
声の主は玲だった。本来ならば泣きそうだと思っていた玲が笑っていた。
いいことでもあったのか?
「あ、いや…なんでもないよ。笑ったら恐怖がどっかにいくかなぁってね。あ、あははは」
「?そうか、まぁ気は抜くなよ?これから危なくなるんだから」
「そう…だよね。うまくできるといいね」
「あぁ、そうだな」
うまくできる。きっとうまく勝てると言いたかったのだろう。
俺としても少し緊張がほぐれた。玲には何度も助けられているな。
「さて、いこうか。決着をつけるぞ」
俺の掛け声に全員頷き洞窟を後にする。
「涼夜、くん…頑張ってね…」
俺にだけ聞こえる声で玲が言う。きっと怖いのだろう、無理もない。
今から生と死の戦いが始まるからな…。みんなと帰るんだ…。
「あぁ…頑張るよ」
「…そぅ」
玲が返事をした後俺から離れていった。
歩いて4.5時間。まだ1時間程度しか経っていない。
「少し休憩するか?」
「ううん、もう少し行こうよ」
玲がすぐに返事をする。
玲、張り切ってるのか?まぁもう少し歩くか。
「玲、だっけ?あんた大人しそうに見えて元気なんだねぇ。僕もまだまだいけるけど…おっさんは大丈夫なのかい?」
「あ、あぁ…これでも軽いジョギングくらいはやってるから問題ない」
「あっそ」
全員まだ歩けそうだな。俺は周りにも警戒しながら歩を進める。
・・・・・
ざっと3時間は歩いた。歩いて気がついたが…銃声の音が聞こえない。それどころかあの止まないような悲鳴も絶叫も…今は草木の掠れる音しか聞こえなくなっている。
太陽の位置を確認すると今は昼時くらいか?太陽時計はやったことがないからわからない。しておけばよかったなぁ…。と内心後悔をしながら黙々と歩を進めるしかなかった。
「少し…休憩していいか?」
宮田さんが俺に声を掛けてきた。
確かにかなりの時間歩いたな…。
「そうだな、少し休憩しようか」
俺たちはすぐそこにある小さな川の近くで休む。
「はぁ、疲れた。まぁ僕は周りの様子を見てくるよ」
そう言い琴音はこの辺りで1番大きな木を登っていった。
宮田さんは木陰で休んでいる。玲は川に足を付け遠くの方を見ているようだ。
俺も宮田さんの隣に腰を下ろし休憩をする。
「だいぶ歩いたなぁ、これじゃ敵のところに着く前にバテそうだよ」
笑いながら言った。
「そうだな、こんな暑いと無駄に体力を消耗してしまうよ。若かった頃に戻りそうな勢いだ」
宮田さんも笑いながら答えてくれた。
こんな島に連れてこられてしまったけど、連れてこられなかったら出会わなかったんだろうなぁ。
そう考えると悪いことだらけではないようだ。
その後も宮田さんと会話を交わした。
「おーい、敵の本拠地みたいなの見えたよ〜。この森を抜けた先、少し開けたところに建物があったんだよ。もう少しだよ、お兄さん」
「そうかありがとう。琴音も休んどけよ〜」
「言われなくても休むよ」
3人で笑いながら話す。
こんな中で楽しく会話ができるのはいいな。
そう思いふと玲のことが気になった。チラッと玲の方に視線を移すと風に吹かれ服がゆらゆらと揺れ、遠くからでもわかるほど美人だと改めて思った。
何をしているのだろうか?先程からずっと同じ方向を向いているけど何かあるのか?
俺は玲の視線の先を見るとそこには大きな入道雲があった。
まだ5月上旬に関わらずこの暑さだ。入道雲があってもおかしくはない。
俺は膝をつきながら立ち上がり玲の元へ行く。
「入道雲がそんなに珍しいのか?」
ハッと玲は俺の声に気付きこちらの方へ向き直った。
「あ、え、まぁうん。私あんなに大きな雲見たことがないから…」
玲は照れながら言った。
入道雲を見たことがないのか。
「それよりそろそろ移動しよ?敵もいつどこにいるかわからないから早めに行ったほうがいいと思うんだ」
「そうだな、それじゃ行くか」
そう言い俺たちはまた歩き出した。
その間は緊張が走り会話という会話は無いに等しかったが、きっと大丈夫。根拠のない自信が芽生えてくるような気がした。
・・・・・
俺たちはやっと敵のいるところに辿り着いた。
どこにいるかわからないため俺たちは息を殺し、足音を立てないように進む。
バンッとドアを開けウェルロッドを構えた。が、しかしそこはもぬけの殻だった。
「いな、い…?」
張り詰めていた空気の糸が切れたように緊張感が一気に解けてしまう。
「僕の目が狂うはずがないんだけどねぇ」
「どこにいるかわからない。警戒はしとくべきだ」
「その通りよ。敵はどこからどう現れるのかわからないものね」
俺はやっと気づけた。
本当の敵は…
はい、どうも堕天使ことゆったり哀華です!
最近は暇つぶしに小説書くのが楽しいんですよね〜
あともう少しで終わりですね、10話以内には終わらしたい(願望)
その前に見てくれている人はいるのだろうかと言う疑問はさておき次話では黒幕と対戦することになるのですがもう大体は察している人もいそうですね。
まぁ次回もゆったり待っててください




