八話 〝時〟
いつも読んで頂きありがとうございます♪
ストレス発散目的と本格的に書き始めました。
それでも拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。
この作品は完結まで書く!
ガルバスとパノラの国境線に位置するミストラル大平原は北東から北西に広がる北寄りの大地。
ガルバスもパノラも国土が広い為に、その大平原もまた広い。
所々雑木林が点在したり、岩肌が剥き出していたり、地形の高低差が著しい場所などもあるが、比較的平野が続き様々な資源や素材、野生化生物などが豊富に存在にする為に二国間の冒険者が数多、昼夜限らず赴く。
素人から玄人まで幅広く活動出来る場所だけに人気のワールロー依頼場所である。
そのミストラル大平原にて、今日もまた一組の冒険団が活動に勤しんでいた。
「ヒックスさん!一本角の猪そっちに行きました!」
「あいよ。」
人の倍ある体躯の猪の魔物はヒックスの方向に猛烈に突っ込むと、彼は難なく片手に持つ鮮やかな色味の大剣を振り抜くと魔物の四足は分断、絶叫しながら地を軽く抉り、追い討ちをかけてきたヒックスの一突きにてその生を終える。
「流石、団長。二手で仕留める上に分厚く硬い外皮でも難なく急所を突くなんて、惚れ惚れするわ。」
「本当、あんな芸当出来る【七ツ星級】だって言うのに、なんで【十一足】じゃないんだろうな。敵は一本角の猪だぞ。しかも進化した亜種個体だってのに。」
二人の冒険者がそう会話を交わしていると女性冒険者が涼し気な表情で近付きながら加わる。
「祖国の【十一足】は、とにかく人間をやめた化物ばかりだから。団長が対等でも、団員達がまだまだ未熟なのだから、アレには程遠いわよ。それに無駄口叩く暇が在れば解体作業を手伝いなさい。【五ツ星級】達。
「ハイッ!カミーラさん!」
カミーラにそう言われ、二名の若手冒険者は背筋をぴんっと伸ばし討たれた魔物へと駆けていった。
「お疲れ様、ヒックス。」
「お疲れ様?疲れてなんかねーよ、こんな簡単な作業。」
カミーラが一仕事終えて引き揚げてきたヒックスに声をかけたが軽快な口調で彼は即座に言い返す。
「ふふ、貴方の働きぶりを見てウチの卵達は感激しっぱなしなのよ?当たり前に簡単な事をしているんだろうけど同じ【七ツ星級】でも進化個体相手に二手は難しんだからね?」
「だろうな。とはいえこのくらいの事は若手ひっくるめて熟してもらえないと、俺の夢は果たされねぇ。」
「……ねぇ、言葉とは裏腹になんでそんなに嬉しそうなの?」
厳しい評価を口にしながらも、普段のヒックスから滅多に見受けられないほんのりとした高揚感を感じとっていたカミーラ。
それは、今回の依頼内容の報酬に依るものかと出立前に思っていたが、何処か違和感が拭いきれない。
ましてや、先程から無駄に自身の立ち姿や大剣を抜く仕草や首を傾げたり、腕を組んで悩む仕草を繰り返している。
普段なら後始末時に他の団員に解体作業のコツや実践を手解きするのだが、今回だけはそれが放置である。
団の中で一番付き合いが長いカミーラからすればその時間は実に違和感しかない。
「……ミストラル大平原は、俺の真の冒険者としての本当の始まりの地なんだよな。」
不意に過去の話をするなんてやはり、おかしい。
六年と少しの付き合いであるカミーラは是迄ヒックスの口から自身の昔話を殆ど聞いた覚えが無い。
カミーラは急に寒気に襲われたが、黙って耳を傾けた。
「駆け出しの頃……もう十三年前だ。俺はここで一度死にかけた。」
それは成人した年の事、大陸暦五七〇年の新年が明けて間もない頃、当時パノラの神殿で成人の儀を終えたヒックスは数人の気心知れた仲間と早速冒険世界に足を踏み入れた。
その想い出は幼馴染達八名と約半年間のささやかな幸せな時期でもあった。
小さな迷宮探索や新人冒険者の登竜門的な依頼まであらゆる任務完了を経て自信に満ち溢れながらも慎重に日々過ごしていた折、突如としてその幸せは終焉を迎えた。
その年、パノラの高級冒険者も含めて大規模な魔物掃討戦が発生したのだが、そこにヒックス達一行も参加しては実力に見合ったレベル帯の作戦地に割り当てられていた。
その中で、特に一団の数も多かったヒックス達は先陣を切って奮闘する。
ヒックス以外全員が【一ツ星級】であったが、淀みのない、一糸乱れぬ連携力は当時多くのパノラ人が褒め称え新人冒険団の中では群を突き抜けた存在であった。
攻守にバランスが取れていた豊富な〝職〟による布陣は【三ツ星級】を凌ぐとも云われ将来有望であったが、別の高級冒険団の討ち漏らした魔物と遭遇すると、その実力も風前の灯と化した。
周囲には【二ツ星級】、【三ツ星級】など多数の冒険者や冒険団が居たが防戦一方で、討ち漏らした高級冒険団が到着した頃には何百といた者は僅か数名しか生き残っていなかった。
その内の一人が、当時十五歳のヒックスである。
その際に七名の幼馴染は生命を落とし、生き残った罪悪感に苛まれた、もう一人は冒険団を抜け、事実上団は解散となる。
だが、ヒックスは冒険者としての挫折を克服する事と潰えた仲間との約束を果たさねばという使命感を捨て切れず、冒険者を続けてきた。
「……暗黒時代なら誰にでもあるのは理解出来るし、克服したのは貴方自身の強さでしょうね。私なら辞めてるわ、そんな理不尽に侵されたなら。辞めた人の気持ち分かる気がする。……ってそうじゃなくて、そんな重い経験してるならこの場に来るなんて普通少しくらい暗い気持ちにならない?」
ヒックスの語りの途中で思わず口を開いたが、ヒックスはにんまりとしてから、一度カミーラに視線を向け、また前方へと戻すと少し間を置いて語る。
「強者が助けくれた。俺の憧れがな。」
「へぇ……。」
「意識が朦朧としていたが、その戦いぶりはしっかりと覚えている。あの日、生き延びた俺達は皆、彼の事を忘れてはいない。……因みに、これはあまり知られていないが、あのベルラ・マルゼーもその一人だぞ。」
「はぁ!?初耳よそれ!ベルラ・マルゼーって現【十一足】の筆頭じゃない!」
「奴が【七ツ星級】の中でも頭一つ抜けているのも超実力主義派な性分も実のところ、理由は俺と同じだ。力に拘るっていう部分だけはな。」
カミーラは黙る。
「同じ御方に助けられた。死と絶望しかない状況から颯爽と現れて一撃で数多くの敵を屠る姿に俺も奴も魅入られた……裏を返すと俺と奴だけがあの生地獄を経験しても冒険者を続ける言い訳に出来たと言える。あの光景はとにかく凄まじかったし、その場所が丁度この辺りの雑木林帯だ。」
そう聞いてカミーラは視線を伏せては細く呟いた。
「そう……貴方にもそういう人、居たんだ……。」
一瞬の間を置いてヒックスは聞き返すと、カミーラは何でも無いと一言だけ返す。
それからは一頻り話を終えた感が強く、区切りをつけたヒックスは解体作業に苦戦する若手達の元へ歩み始め、カミーラは変わらず大木に背中を預けては、その人を思い浮かべていた。
★★★
――僕はいずれ父上を越える立派な当主になります!ですが、その前に立派な冒険者になって多くの戦果を積み上げ、冒険者としてもあの人達に肩を並べられるくらい大物冒険者になりたい!――
冷え込む明朝、いつもより早い時間に目が覚めたポルクピッツは色褪せ失せていたはずの記憶を睡夢にて思い出していた。
いつからだろうか、在りし日の我が子が道を外れていたのは……と。
★★★
ミリーティア製作の揺り椅子に全身を預けながら短くも整えられた顎髭を擦りつつブライトンは自酌していた。
思い返すは憎き腐れ縁の恥を承知な上での場面。
そこには、まるで別人かと疑ってしまった程彼の面目は微塵も無かった。
以前から執拗に話を持ってきては我儘ぶりを見事に発揮し終始迷惑していたが、今回の変わりようは日を見るより明らかであったが、それがブライトンの心を悩ませていた。
生来のポルクピッツは先代はともかく先々代の当主から大層可愛がられていた事が原因で非常に面倒な人格形成が成り立ってしまっていた。
実際、我儘を言えばほぼ、何でも手にいれる事が容易に出来た為に尚更だ。
また過去には件の男の知らぬ処で定期的なガス抜きとして開かれる冒険者や民による貴族を対象とした不人気投票が行われた際には何期にも跨り、見事一位を獲得するに至る。
幼少時からの付き合いであるブライトンは彼の数多の業を誰よりも近くで見てきただけに、心の隅でその変わり身に動揺を隠せない。
「今回ばかりはテルギースなら素直に受けちまうかもな。準備だけはしておくか……。」
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
極力サボらず毎日マイペースで少しずつ書き出してますが
一身上の都合により不定期更新となります。
また次話読んで下されば嬉しいです♪
書き溜め… …_φ(・_・




