十八話 ペイングリッシュ
いつも読んで頂きありがとうございます♪
ストレス発散目的と本格的に書き始めました。
それでも拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。
この作品は完結まで書く!
魔力探知にまた一つ反応があった。
陽魔導士の少年が被るベレー帽の側面に付いている純白の羽根が淡く光るとその方向に一枚の羽根灯りが導く。
傍らにいた魔銃士の少女は少年を背中に道を確認しながら慎重に先行する。
ある程度の距離に辿り着くと羽灯かりは消え失せ、再びそこで魔力探知を少年は発動する。
もうどのくらい繰り返しているか二人さえ分からない。
ただ解っているのは少年と少女が合流するまでの間、其々が〝靄〟の意義を理解できていることだ。
「ブルオが居って本当に良かったわ。アンタが居らんかったら、きっとウチは甘い世界にどっぷりやったわ。」
「セシルは無計画すぎんねん、せやから僕が補ってやっとんねんし、感謝が足らんで、それにマロンを見つけてとっととここから出るで。」
「えぇ、そやね。」
二名は素早く無駄のない動きで次々と進路の安全確保を熟すと、ブルオの羽根灯りが色濃く光輝く。
「近いで、セシル。」
ブルオの魔力探知は捜索対象の魔素に反応する非常に優秀な技能。
物陰に隠れつつブルオとセシルは周囲を見渡していると、セシルは複数の影を視界に捉え、視線を外さず腕でブルオの背中を小突き、ブルオはそれに反応する。
二人がそっとその方向に顔を向けると、一体の巨体な魔物が片手に何かを掴みながら立っていたのだが、そのぶら下がる影は紛れもなくマロンであった。
「セシル、奴等は隙だらけやから気付かれずに行けよ、援護は俺に任せーな。ああいう大物好きやろ?母さんに似て。」
「は?何ディスってんねん、ついでにママのことも。それに、あんたに言われんでも行くし、少しは妹の心配くらいしぃや。」
「心配?誰を?マロンの事なら……ありゃ大丈夫やんけ。」
目を瞑った状態でブルオがそう言うと、安堵したセシルは一気に魔物の方へと駆け出す。
魔物は何することもなくただマロンを逆さ吊りにしているが、小柄な彼女は数倍の体格差を前に為す術が無いのか、はたまた気を失っているのか、何をすること無くだらんと伸びるかのような姿勢。
ぴくりとも動かない。
セシルが雄叫びを上げながら、鬼の形相で向かってくるまでは……。
「だから、心配要らん言うたやん。」
「ちょっとマロン!アンタ息があるならあんな小物ちゃちゃちゃっと片して!心配したやん!」
「えへへ、ごめんごめん姉さん。でも動けへんかったんは事実やで?だって幾ら魔法撃ち込んでも平然としてて手放してくれへんから、つい……」
「つい……何や?……」
長い間悲しげな表情をするマロンにブルオもセシルも次第に前のめりに聞こうとする。
「睨めっこしてた!」
その一言により、息を合わせたように兄と姉は地に倒れそうになるくらい、よたよたと歩くと笑いこけた。
「なっ?心配するだけ無駄やねん」
「流石、ド天然キャラや……」
「えへへ。まぁ、二人の匂いが近づいてきてたから安心してもうて寝そうになってたんは内緒やで。」
「アンタ、内緒の意味解ってる?」
けらけらと笑う犬狼族のパピ家三兄妹が揃い踏み、一段落つくと、ふとブルオが片膝をついて何やら独り言を繰り出し、二人の妹は覗き込みながら兄に問いかけた。
「いや、ヒックス様やナイル教官の話やとここは〝靄〟のはずや。現実世界と幻影世界の狭間……せやのに、魔物を倒せば魔石が落ちるのは不思議ちゃう?」
「そういうもんやないの?ただでさえあり得ない事象ばっかり起きてるんやし。」
「うん、確かに変やで姉さん。私ここに来るまで何体か魔物倒してんけど魔石なんて落ちひんかったで?」
「この虚鬼は別格やから落としたんかもな。覚えてるか?ナイル教官が言うてた大型の魔物は魔素を喰って肥大化、即ち進化していくって。それがホンマならこの程度の事でこれだけ魔石を獲られるっちゅーことはやで……」
「バカ兄、そんなんやっとる暇なんてないわ。魔石見ると見境なくなる性格ええ加減治しぃや。」
セシルに小言を言われ悄気るブルオだが、気を取り直しながら辺り一面に散らばる虚鬼の魔石を一つ残らず掻き集める貧乏性もとい守銭奴ぶりに呆れた妹達も仕方なくそれを手伝う。
「さーて、魔石も拾い集めたしそろそろ出るでこんな陰気臭い所。」
「待て待て、セシル。」
先を急ぎたいセシルにブルオが止めに入ると同時に指を差した。
その方向には一つの魔紋が地に這うように浮かび上がっており、三人はその前に並び立った。
「なんやこれ?さっきまで無かったやん。」
「あぁ、魔石を拾い集めなきゃあの位置からは見えんかったな。」
「……感じる。僅かやけど一瞬、ラインヤールの匂いが……した?」
「した?」
「いいや、気ぃつかんかったけどマロンは鼻が利くからな……僕には分からんかったなラインヤールの足の裏の匂い。」
「なんで足の裏やねん、私も嗅いだ事ないわ。」
けたけた笑いあった後、三人は顔を見合わせると両側に立つ兄と妹のニヤつく顔を見てセシルは呆れる。
「ええか?〝靄〟出るのがウチらの出来ること……更に足踏み込んでどないすんねん。」
「魔石が在るかも!」
「ラインヤールとユカが居るかも!」
「アンタら、そんなんやから【負を置き忘れてきた者】なんて言われるんや!悪いけど、ウチは恐怖も痛みも知ってんねん!」
「その割には魔物見つけたら真っ先に飛び込むやんけ。俺等からしたら一番ペイングリッシュやで?鬼の身体能力者。」
兄にツッコまれ照れるセシル。
「ほな、ラインヤールとユカに会いに行くで!」
そうして三人は地に向かって飛び込んだ。
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
極力サボらず毎日マイペースで少しずつ書き出してますが
一身上の都合により不定期更新となります。
また次話読んで下されば嬉しいです♪
書き溜め… …_φ(・_・




