十一話 異変
いつも読んで頂きありがとうございます♪
ストレス発散目的と本格的に書き始めました。
それでも拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。
この作品は完結まで書く!
卒学試験二日目の朝、迷宮内に昇る太陽はさながら地上世界と変わらず、冒険者の卵達はお陰で時間の感覚は保てていた。
各ブロック全隊の準備が整い、二日目の試験が開始されると、本部の職員達は其々の担当映像に気を引き締めて役割に従事する。
二日目と三日目は、学舎と冒険者協会の監視のもと執り行われる。
かつて迷宮内で異変が起きた際、多くの若い芽が摘まれた過去があり、対応が大幅に遅れた苦い経験から来るものだが、今年はそれに似た前兆があったからに他ならない。
「こちらZ現在異常なし、報告完了」
「ザウバース長、全隊異常なし確認。引き続き監視致します。」
「あぁ。よろしく頼む。」
最終ブロックの無事が確認されると本部監視室はまた静かにも慌ただしく監視作業に追われる。
迷宮内にある通信魔道具を遠隔操作しながら周辺の警戒にあたる監視員達もそれらとは別に迷宮内で隠密行動を司る高級冒険者や学舎職員達も事前に噂を耳にしていただけに緊張感を拭えないでいた。
★★★
「はぁ!?卒学試験だぜ!?」
ガヴィは口に昼食を含みながらそう叫ぶと呆れかえり、同じ卓に居合わせていたフォールナー達から注意を受けるが、真横に座っていた一番の被害者であるナイルは何事も無かったように話を続ける。
その光景に他の臨時雇用の冒険者や学舎職員はそんな彼にツッコミを入れようかどうしようか悩んでいた。
「いや、あくまで噂なんだよね……気味が悪いから僕なりに調べてみたんだけど噂の出処は判らなかったよ。」
そう話終えると、ナイルは真横で物思いに耽る犬狼族の犯人にぶち撒けられたパンの咬み屑の類を和やかに投げつけては、ガヴィをじっと見つめる。
「なら満更噂話って話でも無さそうね〜」
そう切り出したのは、高級冒険者で隠密科臨時雇用女教官、グリンダだった。
卒学試験の一月前から〝セーフポイント〟の安全確保と整地と呼ばれる魔物の一掃を担っていた折、ある異変に出会していた。
卓上に差し出した禍々しく不気味な色味の掌大の宝石。
それを観て高級冒険者や学舎職員は物珍しく見ていたが、こと長命種族の壮年者はまるで金縛りにあったように身を凍らせる。
「どした?竜爺、瞳孔開いてるぞ。」
ガヴィが竜人族のツァイードラに視線を送らずともその動揺した呼吸だけで見事に言い当てると、ツァイードラは重苦しくもゆっくりと一呼吸する。
「……セアイル霊堂の迷宮で砕いた物と酷似しておる。」
「セアイル霊堂?」
「ガガタ霊峰を北東に降った小さな聖堂……というより竜星の墓場。」
「北東ってインバル国側ってことか……モンテロッテお前よく知ってんな。行ったことあるのか?」
「ある……というか私の故郷はインバルの田舎……。」
ツァイードラの言葉にガヴィが問うが、モンテロッテがその場を制するかのように話を続ける。
パノラ大国とガルバス自由国の国境線を北東に進むとガガタ霊峰と呼ばれる山脈があり、その霊峰を挟んだ真逆側はインバルと呼ばれる国が存在する。
インバル国は大陸暦前から大層芸術に視点を置く芸術国家。
モンテロッテ曰く、才を有する者にとっては楽園の様で、そうでないものには過酷な国。
「芸術……ねぇ……。」
「インバルには『竜の詩』がある、それで国民の価値が決まる。」
「うむ。インバルの民詩は我も幼き日によく聞かされたものだ。元来は竜人族の始祖、竜星様の慈愛と加護に捧げる詩であったが、近頃はそれがいつしか竜人族に感謝を捧げる詩にもなったとか。」
「……そう。だからインバルの才有る詩い手は年に数度ガガタ霊峰に祈りを届けに行く。その道中にあるセアイル霊堂があるけど元々霊堂で祈りと讃歌を捧げてたって聞いた。」
ガヴィ、ツァイードラ、モンテロッテの会話が途切れるとグリンダは本筋を戻す。
「話を聞く限りそんな神聖そうな場にこんな醜い宝玉があるのは不思議ね。」
グリンダの包み隠さない物言いにツァイードラは少し黙りこくって、あくまで想像、個人的感情だと前置きし過去を語る。
「インガの泥人形は有名であろう?」
「それって確か童話の【悪魔と悪魔】ってやつだね……確か悪魔が放った魔獣を止めれず、泥を魔獣に被せて事なきを得る……だったかな?」
「表向きは……な。」
そう言った放った直後ツァイードラの硬い鱗顔が酷く歪むが、それは憎さや怨み節に見せるそれだった。
その後、哀しみを纏っては間を置いて続きを口にすると、一同も不快感に見舞われる。
ガヴィ以外。
「つまり、何らかの儀式をやっててそれが抑えきれなくなって近くの鉱山場に波及してしまったわけね。話に出てくる泥人形っていうのはその近くの鉱山場にいた鉱夫達ってことか。」
「当時、セアイル霊堂の秘密を暴いた冒険者が居たと聞いたが結局のところ有耶無耶になった。保身や世間への心象悪化を恐れインバル教会側は真実を隠す変わりにその冒険者と取り引きしたとか噂はあったが、いつ、どこで、誰が、どんな取り引きをしたかは定かではない。それからというもの竜人族ともいえど、セアイル霊堂は簡単に立ち入れない場となった。」
「大方、死者蘇生の類だろ?人里離れた場所に怪しい儀式に教会絡みとくりゃ。」
「事実、鉱夫達は泥状に身体を維持しておったからな。魂を弄る類の儀式か何かだろう。」
「……ところでガヴィ。珍しくやけに苛立っているね。さては霊が怖いのかな?」
「……なんとでも言え金髪。」
こういった慣れた顔ぶれが集まり他愛のない話や稼ぎにまつわる話になると何かしら犬狼族のガヴィが咬み付き吠えるのだが、今回だけは違った事に違和感を覚えたのはナイルだけではなかった。
ふとした瞬間に見せた流し目は普段から我関せずなガヴィがする眼差しとは遠く離れている程〝無〟であった。
それにいつもなら無駄に高揚して場を騒がせる彼だけに誰かしらが止めに入るのだがそれすらもない。
――異変――
ただそれだけである。
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
極力サボらず毎日マイペースで少しずつ書き出してますが
一身上の都合により不定期更新となります。
また次話読んで下されば嬉しいです♪
書き溜め… …_φ(・_・




