第144話 狂い出した歯車
翌日。
文化祭の振替休日で、その月曜日は休校だった。
昨晩、病院から帰宅したあと。
陽向は横溝琉嘉との通話を終え、クラスと生徒会のグループLINEに、心配してくれた皆へ向けた謝罪と報告のメッセージを送っていた。
送信したあとも、しばらく通知は鳴り止まなかった。
よかった。
無理すんな。
まじびびった。
生徒会長、ちゃんと寝ろ。
次々と届くメッセージに、陽向はひとつひとつ目を通しながら、短く返事を返した。
けれど、スマホを閉じた瞬間。
部屋の静けさが、急に重くなった。
今、陽向は一人、自室のベッドに仰向けになっていた。
カーテンの隙間から、昼前の淡い光が差し込んでいる。
昨日まで校内を満たしていた文化祭の熱気が嘘みたいに、家の中は静かだった。
天井を見つめる。
何も考えたくないのに。
何も思い出したくないのに。
胸の奥に沈んだ鉛だけが、まだ消えてくれない。
「……っ」
ぎゅっと目を閉じる。
その瞬間、瞼の裏に焼き付いた光景が蘇った。
暗い教室。
閉められたカーテン。
重なる影。
音楽で掻き消され、聞こえなかったはずの呼吸。
見てはいけなかったもの。
頭の中から追い払おうとしても、何度も何度も、同じ場面が勝手に再生される。
違う。
関係ない。
二人は付き合ってるんだから、普通のこと。
そう何度も言い聞かせるのに、胸の奥は少しも納得してくれなかった。
ズキン、と痛む。
陽向は寝返りを打ち、枕へ顔を押し付けた。
その時だった。
ポン。
枕元のスマホが、小さく鳴った。
陽向はゆっくり手を伸ばし、画面を開く。
綾真だった。
《体調どう?》
その短い文字を見た瞬間。
胸の奥に張り詰めていたものが、ほんの少しだけ緩んだ。
陽向はすぐに返信を打つ。
《全然余裕》
送信して、数秒。
すぐに返事が来た。
《シュガーラボ食う?》
シュガーラボ。
陽向の好きなケーキ屋の名前だった。
その文字を見た瞬間、胸の奥に沈んでいた鉛が、一瞬だけ軽くなる。
「…………。」
陽向はスマホを見つめたまま、少しだけ迷った。
本当は、一人でいた方がいいのかもしれない。
昨日のことも。
自分の気持ちも。
ちゃんと一人で整理しなきゃいけないのかもしれない。
こんなふうに、綾真の好意に甘えることも。
本当は良くないって頭のどこかでわかってる。
でも。
今の陽向に、そんな余裕は微塵もない。
今日という一日を、一人ぼっちで乗り越えるのは、正直しんどかった。
誰かの声がほしい。
くだらない話で笑いたい。
何も聞かずに、隣にいてほしい。
陽向は、小さく息を吐いた。
そして、指を動かす。
《食う!》
すぐに既読がついた。
《昼過ぎに行くね》
そのメッセージを見た瞬間、陽向はようやくベッドから身体を起こした。
「……うーん」
大きく伸びをする。
固まっていた背中が、少しだけ音を立てた。
まだ胸は重い。
まだ苦しい。
まだ何も、解決なんてしていない。
それでも。
綾真が来る。
甘いものを持って。
いつもの調子で、きっと馬鹿みたいに笑わせに来る。
そう思っただけで、ほんの少しだけ息がしやすくなった。
陽向はベッドから降りると、スマホを机の上へ置いた。
そして、浴室へ向かう。
シャワーを浴びて。
顔を洗って。
昨日の涙の跡も、少しだけ洗い流して。
今日を、どうにか始めるために。
メイクをして。
髪の毛を巻いて。
私服に着替えて。
身支度が整っていくと、不思議と気持ちまで整っていくようだった。
(…綾真がいてくれて…良かったな。)
その存在の温かさに、改めて気付かされた陽向だった。
午後。
陽向の自宅最寄り駅。
月曜日の昼下がり。
ホームに行き交うのは買い物帰りの主婦や営業途中らしいスーツ姿の会社員ばかりだった。
電車が発車する音。
改札を抜ける人の流れ。
構内放送のアナウンス。
そんな人の流れの中を歩きながら、綾真は片手に提げたシュガーラボの紙袋を見下ろした。
陽向が好きな期間限定のシュークリーム。
それと、新作のケーキ。
昨日はグループLINEで「大丈夫」と返信が来るまで、まともに眠れなかった。
大事にならなくて、本当に良かった。
だから今日はくだらない話をして。
甘い物を食べながら。
少しでも元気になればいい。
そう思いながら改札を抜けた、その瞬間だった。
「……っ」
綾真の足が止まる。
最低最悪の鉢合わせ。
目の前に立っていたのは。
人混みの中でも妙に目立つ長身。
気怠そうな立ち姿。
「…………。」
朔也もまた綾真に気付いていた。
視線が落ちる。
シュガーラボの袋。
そして再び綾真の顔へ戻る。
数秒。
言葉のない沈黙が流れた。
先に口を開いたのは朔也だった。
「……それ持って、わざわざ会いに来たの?」
平坦な声。
けれど綾真には分かった。
あからさまに、機嫌が悪い。
「お見舞いだよ。心配だったから。」
綾真は即答する。
その言葉に、朔也は小さく鼻で笑った。
「大袈裟だな。あいつの発作なんて今更騒ぐことじゃねぇんだよ」
吐き捨てるような声音。
綾真の眉が寄る。
「そんな言い方すんなよ!救急車で運ばれたんだぞ。」
声が強くなる。
だが朔也は表情を変えなかった。
むしろ一歩、綾真へ距離を詰める。
「……バカみてーに調子乗って騒ぎ過ぎてっからそうなんだよ。」
低い声だった。
綾真の奥歯が軋む。
こいつ。
本気でそう思ってるのか。
それとも、心配してることを認めたくないだけなのか。
「……っ」
胸の奥に苛立ちが込み上げる。
綾真はキッと睨み返した。
「そんな事言って。本当は心配してるくせに強がんなよ。」
その瞬間。
朔也の目が僅かに細くなった。
けれど次の瞬間には、いつもの皮肉な笑みに戻っている。
「誰が?あいつのパニックごとき、俺は慣れっ子だから。」
肩を竦めて、わざとらしく口角を上げた。
「お前と違ってな♪」
綾真の拳がぎゅっと握られる。
必殺、“幼馴染ムーブ”。
十八年。
自分には絶対に埋められない時間。
何度追い掛けても届かない歴史。
それを黒川朔也はこういう時に武器にしてくる。
「…………。」
綾真の沈黙を見て、朔也は勝ったように笑う。
腹が立った。
どうしようもなく。
「また邪魔しに来んのかよ。」
それでも綾真は怯まない。
さらに鋭く睨み返す。
「まさか。俺は今から雫んちに行くの。」
朔也は軽々しい口調で、あっさり答えた。
その言葉に、綾真の胸がざわつく。
小野雫。
黒川朔也の彼女。
なぜ、この男は。
陽向へあそこまでの執着心を燃やしておきながら。
今だって、こんなにあからさまな剥き出しの敵意を向けて来るくせに。
小野雫を隣に置いているのだろう。
校内一の美少女と付き合って。
陽向の気を引いて、嫉妬を煽ろうとしているのだろうか。
朔也は続けた。
「あんな女。煮るなり焼くなり好きにしたら?」
その言葉はあまりにも軽かった。
軽いはずなのに。
なぜだろう。
綾真には、それが妙に苦しそうに聞こえた。
「ま、俺はこれから雫と良い事してくるからよ」
そして綾真の肩へ、ポンッと軽く手を置いた。
「あいつのケツ追ってても、一生卒業出来ないよ?」
改札へ向かって歩き出す。
そして最後に片手だけ上げた。
「じゃーね♪童貞の鷹井綾真くん。」
振り返りもしないまま。
「っ!!!」
そして。
駅前に響き渡る絶叫。
「だから童貞じゃねぇーーーーー!!!!!!」
通行人達が一斉に振り返る。
改札へ向かう朔也の肩だけが、小さく揺れていた。
───────。
そして翌日、火曜日。
振替休日が明けた校舎には、文化祭の余韻がまだ色濃く残っていた。
廊下の隅には片付け途中の段ボール。
剥がされかけた装飾。
文化祭実行委員や生徒会役員達が朝から慌ただしく動き回っている。
陽向もまた、その一人だった。
朝早く登校して、生徒会の残務処理と文化祭の片付けを終えたところだった。
ようやく一息つき、生徒会室を後にする。
教室へ向かうため、廊下を歩いていたその時だった。
「───っ!」
前方の曲がり角から現れた人影に、陽向の足が止まる。
黒髪の男子生徒。
その隣を歩く、小柄な女子生徒。
朔也と雫だった。
一瞬で、胸が強張る。
脳裏に蘇る。
暗い教室。
閉じられたカーテン。
重なった影。
胸の奥がズキリと痛んだ。
「…あっ!」
先に声を上げたのは雫だった。
ぱっと表情を明るくして、小さく手を上げる。
その声に、陽向の心臓が大きく跳ねた。
雫の顔を見れない。
「星野先輩!体調は───」
最後まで聞けなかった。
気付けば身体が先に動いていた。
スッ───。
陽向は咄嗟に進行方向を変え、そのまま右側の階段へと曲がる。
まるで逃げるように。
そのまま数段登ったところで。
「……っ!」
陽向は我に返った。
足が止まる。
(やばっ……!!シカトしちゃった……!!)
頭を抱えたくなった。
別に無視したかったわけじゃない。
嫌いになったわけでもない。
二人が悪いわけでもない。
ただ。
まだ胸が追いついていなかった。
どういう顔をすればいいのか分からなかった。
何を話せばいいのか分からなかった。
だから身体が勝手に逃げてしまった。
階段をゆっくりと登りながら、陽向はぎゅっと胸元を押さえる。
そんな陽向の様子など知る由もなく。
廊下では、雫が不思議そうに首を傾げていた。
「……あれ… 星野先輩……?」
小さく呟く。
心配そうな表情が浮かぶ。
すると隣の朔也が、特に気にした様子もなく肩を竦めた。
「ボーッとして気付かなかったんだろ。」
いつも通りの気怠そうな口調。
雫はまだ階段の方を見つめている。
「でも先輩、なんか顔色悪かった気がする……」
一昨日のことがある。
救急搬送されたばかりなのだ。
心配しないはずがなかった。
しかし朔也は鼻で笑う。
「あいつがボケっとしてんのなんて今に始まったことじゃねぇよ。」
そう言って歩き出した。
「んな心配することねーって。」
雫は少しだけ納得しきれない表情を浮かべながらも、
「……そっか。」
と小さく呟く。
二人はそのまま教室へ向かって歩いていった。
文化祭が終わった。
けれど、陽向にとっては終わりではなかった。
祭りの余韻に浸る暇もなく、次に待っていたのは体育祭だった。
校内にはまだ文化祭の名残が残っている。
剥がしきれていない装飾。
片付け途中の備品。
廊下で交わされる思い出話。
けれど、生徒会室だけは違った。
体育祭実行委員との打ち合わせ。
競技進行の確認。
応援企画の調整。
備品管理や各委員会との連携。
生徒会長である陽向の机の上には、次から次へと新しい書類が積み上がっていく。
気が付けば昼休みは打ち合わせで終わり。
放課後は生徒会室へ直行。
帰宅してからは受験勉強。
目が回るような毎日だった。
そして、その忙しさに追い打ちをかけるように、受験が待っていた。
九月。
文化祭の直後に、指定校推薦の校内選考結果が発表された。
結果は、予想していた通りだった。
一学期の赤評定。
それが大きく響き、陽向の名前は推薦者の中になかった。
自分でも分かっていた。
厳しいだろうな、と。
だから結果を見た時も、思ったより驚かなかった。
「あー、ですよねー」
そんな言葉が口から出ただけだった。
泣いたりもしなかった。
誰かに愚痴を言うこともなかった。
仕方ない。
そう思った。
それだけだった。
けれど。
その”仕方ない”は、決して平気だったという意味ではなかった。
その一件で、陽向の胸の奥には小さな重石のようなものが残った。
目立つほど大きな痛みではない。
けれど確かに存在する、小さな重さだった。
けれど、それを引きずっている余裕もなかった。
立ち止まれば、その分だけ受験本番が近付いてくる。
十月には総合型選抜試験が控えている。
面接対策。
小論文練習。
生徒会業務と体育祭準備をこなしながら、それらを並行して進めなければならない。
そして、その直後には十一月の公募推薦試験も待っていた。
息をつく暇もない。
本来なら、今は受験だけに集中したい時期だった。
けれど現実はそう簡単ではない。
体育祭。
生徒会。
受験。
そして───
朔也。
文化祭の日以来、胸の奥に刺さったままの棘は、少しも抜けてくれなかった。
忙しさに紛れて忘れられる日もある。
けれど、一人になった瞬間。
ふと気を抜いた瞬間。
あの日見てしまった光景が、何度も脳裏を過る。
忘れたい。
考えたくない。
そう思えば思うほど、心は勝手にそこへ戻っていく。
そして、その頃からだった。
何か一つの出来事が苦しいわけじゃない。
ただ色々なものが少しずつ積み重なっていく。
それでも、立ち止まらないように。
生徒会の仕事へ没頭し。
体育祭準備に追われ。
受験勉強へ向かう。
けれど、どれだけ予定を詰め込んでも。
胸の奥に沈んだ重たい感情だけは、消えてくれなかった。
日に日に疲労は蓄積していく。
睡眠時間は削られ。
笑顔を作ることにも少しずつ力が必要になっていく。
それでも陽向は前を向かなければならなかった。
立ち止まることは許されない。
けれど陽向はまだ気付いていなかった。
誰にも気付かれないまま。
自分自身ですら気付かないまま。
まるで見えない荷物を背負い続けるように。
文化祭の日に胸へ刻まれた傷が、自分の想像以上に深く残っていることを。
───────。
十月。
カレンダーが一枚めくられると同時に、総合型選抜試験の対策もいよいよ佳境へ入っていた。
放課後の進路指導室。
窓の外では、秋の夕陽が校舎を淡く染めている。
廊下の向こうからは、体育祭準備に追われる生徒達の声が遠く聞こえていた。
けれど、この部屋の中だけは静かだった。
机の上には、原稿用紙。
隣には、問題用紙。
そして、時計。
陽向は進路指導室の一角で、小論文演習に取り組んでいた。
教員からお題が出される。
制限時間内に、構成を考え、文章を書き上げる。
それは、これまでにも何度か繰り返してきた練習だった。
本来なら、陽向にとって文章は苦手なものではない。
むしろ誰よりも得意なはずだった。
感情を掴むこと。
人の心を想像すること。
物語の奥にあるものを読み取ること。
それは、ずっと陽向の中に自然とあったものだった。
なのに。
「…………。」
陽向のシャープペンを持つ手は、原稿用紙の上で止まっていた。
白いマス目。
並ぶ罫線。
まだほとんど埋まっていない紙面。
その余白だけが、やけにまぶしく見えた。
(……文章が………………出てこない。)
頭の中に、言葉が浮かばなかった。
いつもなら、良くも悪くも何かしら言葉は湧いてきた。
まとまっていなくても。
勢い任せでも。
自分でも制御しきれないほど、思考は勝手に動いていた。
けれど今は違う。
頭の奥に、白い霧がかかっているみたいだった。
考えようとしても、思考が進まない。
何かを掴もうとしても、指先をすり抜けていく。
問いの意味はわかる。
何を書けばいいのかも、ぼんやりとは理解している。
それなのに。
自分の言葉が、どこにもない。
カチ、カチ、カチ。
壁の時計の針だけが、無慈悲に進んでいく。
制限時間は迫っていた。
陽向は唇を噛む。
このままでは駄目だ。
白紙で出すわけにはいかない。
何か書かなければ。
とにかく、原稿用紙を埋めなければ。
焦りに背中を押されるように、陽向は無理やりシャープペンを動かした。
浮かんでもいない考えを、あるように見せかける。
自分の中にない結論を、それらしい言葉で繋ぐ。
論理も、熱も、実感もない。
ただ文字数を埋めるためだけの日本語が、原稿用紙の上に並んでいく。
書きながら、自分でもわかっていた。
これは、自分の文章じゃない。
それでも陽向は、最後まで書いた。
やっつけだった。
無理やりだった。
とにかく時間内に提出するためだけの、小論文だった。
そして演習後。
国語科の教員による添削が返ってきた。
渡された原稿用紙を見た瞬間、陽向は言葉を失った。
赤。
赤。
赤。
紙面のあちこちに、容赦なく赤ペンが入っている。
論点が曖昧。
具体例が弱い。
結論が浅い。
文章の流れが不自然。
主張に説得力がない。
今までなら、ここまで酷いものを出したことはなかった。
「……星野さん。」
教員の声が、重たく落ちた。
陽向は俯いたまま、赤ペンだらけの原稿用紙を見つめていた。
「あなた、最近本読んでる?」
「……はい?」
思わず顔を上げる。
本。
その言葉が、胸の奥に小さく刺さった。
本は、陽向にとってずっと特別なものだった。
物語の世界は、息ができる場所だった。
現実でうまく立っていられない時も、本を開けば違う世界へ行けた。
知らない誰かの人生に触れて。
知らない感情を知って。
それでもなぜか、自分自身に戻ってこられる。
本を読むことは、陽向にとってただの趣味ではなかった。
呼吸だった。
避難場所だった。
自分が自分でいられる場所だった。
それなのに。
いつの間にか。
毎日に追い立てられているうちに、最後に本を読んだのがいつだったのかすら、思い出せなくなっていた。
陽向は、ゆっくり視線を落とした。
「……読んでません。」
小さな声だった。
教員はしばらく黙っていた。
そして、静かに言った。
「本が好きで、文章に触れたくて、文学部へ進むんじゃないの?」
その言葉に、陽向は何も返せなかった。
赤ペンだらけの原稿用紙が、机の上にある。
そこに並んでいるのは、自分の言葉のはずなのに。
どこか知らない誰かが書いた、空っぽの文章みたいだった。
胸の奥が、ぎゅっと苦しくなる。
私は、何をしたかったんだっけ。
何を学びたくて。
何を書きたくて。
何を言葉にしたくて。
文学部へ行きたいと思ったんだっけ。
陽向は、原稿用紙の端をそっと握った。
白い紙の上に残された赤い文字が、今の自分そのものみたいに見えた。
こんな状態で、総合型選抜を突破出来るはずがない。
試験は、失敗する。
そんな未来が、脳裏を過った。
試験本番までは、時間がない。
陽向は目の前が、真っ暗になる。
一つの歯車が狂うと、すべての歯車が狂い始める。
最初の小さな綻びが、やがて全体を引き裂いていくかのように。
一枚目のドミノが倒れた瞬間、もう止めることはできなかった。




