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重い過去と影を背負いし大剣使い『に見えるだけの凡人』、災害級ヒロインたちを雲らせてしまう 〜渋おじ転生〜  作者: 星屑ぽんぽん


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3話 旅が渋すぎた


「ふぅ……俺に背負いきれるだろうか————」


 背中の剣がめっちゃ重い。

 この剣を振れる自信なんて1ミリもないし……推しの所持品じゃなかったら、今すぐ捨てたい。

 長さは3メートル弱。身長を優に超えるサイズだし、鉄塊を背負う感じだ。

 しかも腰には二本の片手剣も差してるし、訳がわからなすぎて、訳があるんだろうなって感じ。


「もしかして、ぱぁぱは魔神の意思に、抗い続けてる……? だから滅ぼさない……?」


 後ろからついてくる幼女は、ぶつぶつと絵本の設定か何かを囁くが興味はない。

 今は一刻も早く、街に到着したかった。


 街道に出ればそのうち人里に着くだろうと安易に考えていたが、歩き始めて4時間。足腰に限界が来ていた。

 (おも)に推しの巨剣のせいで。


「ここらで休憩にするか」

「はい、ぱぁぱ」


 ふぅー疲れた。

 もはや小休憩用に火を起こすのも面倒だ。

 とはいえ小腹は空いたし、今後を考えると手持ちの野ウサギ肉を口にしておきたい。


 そういえば今朝習得した【魔神の陽炎(かげろう)】とやらで、サクッと薪に火を起こせないだろうかと思い至る。

 試しに記憶魔法【魔神の陽炎】を発動してみると————


「ぱっ、ぱぁぱ、大丈夫!?」


 驚愕の眼差しで幼女が俺を心配してきた。

 彼女は俺と、背後と、上空に目を向けている……?


 俺の周囲には禍々しいオーラが揺らめいており、その範囲は上空を歪めるほどに巨大だった。

 見た目は派手だが、どうやらこの記憶魔法は魔神が信者らを寒さから守るためのものらしい。

 ほんのりと周囲を温かくする。

 ただそれだけの……つっかえない魔法だった!



「——ふう、ぬるいな……」


「暴走する魔神の意思が、手ぬるい……? ぱぁぱの精神力、底が知れない……」


 幼女は相変わらず驚きながらブツブツ独り言をこぼしているが、少しは焚き火の準備を手伝ってほしい。

 そんな不満をそっと胸にしまい込み、俺は黙々と昼食の支度をした。





「王国の(うみ)は、暗殺せねばなりませんわ」


 代々、暗殺貴族として王家に仕えた我が家の家訓を口にする。

 急がなくてはいけません。

 そんな逸る気持ちが、馬では不足と決断させましたわ。

 ひらりと馬上から降り立てば、背後から護衛たちが騒めきます。


「ノ、ノワールお嬢様!?」

「おい、今はもうご当主様だろうがっ」

「ノクスフェルム女伯爵様、どうかお待ちをっ!」


「——先行させていただきますわ」


 もっと早く、もっと早く————馬上の護衛たちを置き去りに駆ける。

 幼少の頃より鍛えぬいた脚は馬よりも遥かに俊足。

 誰よりも殺しの腕を磨いたわたくしは、夜の闇さえ味方にすれば、英雄すらも屠れますわ。


 だから、どうか間に合って————

 

「……我が領民の糧を、勇者ウェイ・ヤリラーフィが奪う前にッ」


 四ヵ月前。

 あの能無し勇者はお父様に不名誉を着せ、処刑に追い込みましたわ。

 ことの始まりは我が領民が、【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】を畜産するのを見かけた勇者が……危険な魔物だと断定し、全滅させたのです。


 確かに野生の【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】は危険極まりない。

 ただ、飼育された【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】は乳を出し、その毛は金属として加工できますわ。

 我が領地の特産品にすらなりかけていた。

 

 それをあの考えなしの勇者は……野生の【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】討伐後、ふらっと立ち寄った我が領地で、領民が【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】と触れ合っているのを『襲われている』と勘違いしましたの。

 もちろん攻撃を仕掛けられれば、他の【鉄毛の大羊(メタル・シープ)】たちも大混乱に陥りますわ。

 村一つが大惨事になり、死者も多数出ました。


 そしてその過失から逃れるために、あの勇者は妄言まで吐きましたわ。


『魔物の乳を飲み、他領への交易品に回すとは。魔を広める宣教師うぇい?』


 この発言に乗っかったのが後ろ暗い貴族の面々。

 彼らは嬉々としてお父様を侮辱し、陛下に進言しましたわ。

『魔族と戦争中でありながら、魔と通ずるとは。貴族の恥晒しは極刑に値する』と。


 元々、我が家は暗殺稼業で成り上がった伯爵家。

 王国に不利益をもたらす存在を粛清する立場にありますわ。

 ですから腹に一物抱えた貴族たちにとって、目の上のたんこぶだったのでしょう。

 そう、自らの悪事が明るみに出る前に、お父様を罰する腹積もりだったのです。


 魔族との戦争に勇者ウェイ・ヤリラーフィの存在は必要不可欠。

 貴族たちの後ろ盾もまた、王家の威光を支える一つですわ。

 周囲の声になびいた陛下は……お父様を処刑いたしました。


「お父様は……決して逆賊などではありませんわ」


 そして今、全ての元凶である勇者ウェイ・ヤリラーフィが……!

 再び我が領地に足を踏み入れたとの報告が入り、わたくしは駆けています。

 勇者らが向かったのは『猫丘きのこ里(ニャッシュルーム)』地方ですわ。

 あそこは、竜の血が混じった巨大な【猫丘(ニャッシュ)】と共生している里です。


 勇者ウェイ一行は前々から【猫丘】に住む人々を糾弾していましたわ……魔物の尻尾に住まう者たちと……。

 仮に勇者ウェイが【猫丘】討伐に乗り出したら、領民は住む家を失います。

 それだけは、断じて許しません。


 お父様を冤罪でねじ伏せるだけでなく、我が領民にも手をかけるというならば。

 あの勇者が下手な動きを見せた瞬間、幼少の頃よりお父様と研ぎ澄ませたこの刃を——喉もとに深々と突き立ててやります。

 それがお父様よりこの地を受け継いだ、わたくし……現ノクスフェルム女伯爵の誓いですわ。


「これは私怨でなく、崇高なる暗殺。決して、お父様の仇ではありませんわ」


 そうは口にしても、ドス黒い感情は隠しきれませんでした。

 あの勇者を滅してやりたいと、お父様を死に追いやった全ての貴族たちを闇に葬ってやりたいと、憎しみが弾けそうになる。


 そんなわたくしの内心を予兆するかのように、南の空が不意に暗く歪み(・・・・)始めました。何事かと思い、わたくしは進行方向を調整します。

 まさか勇者ウェイがすでに暴れていますの……?



「————夜獣(やじゅう)よ、共鳴なさい」


 まだ、夜は訪れていない。

 それでも周辺3キロメル以内に、夜行性の狩人(けもの)がいれば。爪か、牙か、その強靭で敏捷性に富んだ両脚を借り受けられますわ。


「————【黒狼】」


 ビンゴ。

 本日のわたくしは運命が味方していますわね。

 四肢を黒狼へと変貌させ、さらに速度を跳ね上げますわ。


 もう温存いたしません。

 勇者ウェイを発見し、状況によっては処断いたします。たとえ、返り討ちになろうとも、この覚悟は砕けませんわ。


 空が禍々しく歪んだ方角へ近づくほど、嫌な暖気が肌にまとわりつきますわね。

 そんな風に警戒を強めていた矢先————

 

 唐突に地面が、鳴いたのです。

 轟音というよりは、低く湿った呻き。


 大地そのものが不快を訴えている、その激しい振動が手足へと伝わってきます。


「——ッ!?」


 次の瞬間。

 視線の先、歪んだ空の下で草原が持ち上がりました。

 いいえ。

 草原だと思っていたものが、立ち上がったのです。


 丘のような巨大な背。

 ふわふわと生い茂る草々はどんな【猫丘】よりも立派で。

 一本一本が風車ほどある四足が、地面を踏み砕きながら姿を現す。


「……まさか【地竜ベヒーモス】の系譜……【猫丘ニャヒーモス】?」


 その荘厳さはまさに伝説に語られた生物でした。

 かつてこの地に現れた魔神と壮絶な戦いを繰り広げ、長い眠りについた神獣。

 そんな存在が、今、目覚めたのですわ。


「ニャヒィィィィィイイイイイッ! (魔神の気配がするにゃああ)」

 

 その咆哮を耳にした瞬間、理解が追いつきました。

 いえ、理解させられてしまったのです。


 次元の違いを、生物的な格の違いを。

 この距離、この規模、この不意打ち、護衛なし、退路なし。

 踏みつぶされると————


 咆哮が来ます。

 空気を叩き潰すような吠え声が、鼓膜ではなく内臓を揺さぶりました。

 脚が動かない。

 魔力を練ろうにも、呼吸が乱れ、集中できない。


 こんなところでわたくしは死ぬの……?


 まだ、まだ何も成し遂げていませんわ。

 お父様の大きなあの背中を、まだ何一つ、超えられておりませんのに……。


 世界は常に不条理が蔓延(はびこ)っていて。

 そんな歪に抗いたくて、民を守りたくて、必死に自身を鍛え、生きてきたのに。

 いつも神は嘲笑うかのように、理不尽を押し付ける。


 民の笑い声と、家臣の笑顔と、どうしようもない悔しさが脳裏を駆け巡る。

 最後に浮かんだのは、やっぱりお父様のご立派な雄姿。

 そうだわ。ノクスフェルム伯爵家現当主として、最期ぐらいはお父様に誇れるような散りざまを。堂々と神獣に対峙いたしますわ。


 たとえ、それがただ立ち尽くすだけであったとしても————

 そう、何もかもを覚悟した瞬間。



 世界が白に染まりました。

 熱でも光でもない。

 ただ『力』だけが、唐突に空間へ流し込まれた感覚。

 次の刹那、ニャヒーモスの巨体が——横へと吹き飛びました。


「……え?」


 あり得ません。

 あの質量が、あの巨体が、まるで紙屑のように宙を舞い、視界から消え失せたのです。


 遅れて、衝撃音と地鳴り。

 そして静寂。


 残ったのは焦げ付いた大地と、空気に漂う微かな魔力残滓だけ。

 い、今のは……? 超高位魔法?

 いえ、詠唱も、魔力収束の前兆も感じられなかった。


 混乱するわたくしの背後で足音がしました。

 重く、しかし慌てる様子もない足取り。




「————やれやれ」


 低く、渋い声。

 振り返ると、そこには一人の男が背を向けて立っていました。

 その背中に、あまりにも無骨すぎる大剣を背負って。


「——間に合った、か」


 まるで散歩の途中で立ち寄ったかのような口調。

 一瞬だけ、その力強い背中が、亡きお父様の背中と被ってしまいましたわ。


「あ、あなたは……?」


 問いかけるわたくしに、男はちらりと空を見上げてから肩をすくめました。


「————通りすがりだ」


 嘘だ、と直感しましたわ。

 通りすがりの人間が、あのニャヒーモスを目にして……逃げ出さないはずがありませんもの。


「それにしても————助かったな (俺が)」


 彼は、そう続けます。


「一歩遅けりゃ、踏み潰されてたか (俺が)」


 カラカラと渋く笑う男。

 ——彼に、命を救われた。

 そんな言葉が、胸の奥深くに()み渡ります。


 そして彼の影に隠れるように、遠慮がちに姿を現したのは銀髪の幼い少女。

 わたくしは彼女を目にした瞬間、全身の肌が泡立ちました。

 えっ、かっ……なんて底が見えない魔力量なのでしょう。


 仮にも我が伯爵家は、魔族の血がほんの少しだけ流れているので魔力量を検知できますわ。

 何か、こう、自然と屈したくなるような、そんな気配すら滲ませた少女に視線が外せなくなります。


 少女は紅玉色の危険な美しさを孕んだ瞳で、男を見上げ、何やらボソボソと喋っています。


「わたし、余計なこと、した?」

「いや——いい仕事をした」


 男は恐れ多くも、強大な魔力の持主を遠慮なくぶっきらぼうに()でましたわ。

 彼からは一ミリも魔力を感じられない。

 だからこそ、それは暴挙の何ものでもないはずなのに。さも当然のように振る舞っています。

 そんな二人の関係性を見て、わたくしは父の言葉を思い出します。



『真の強者は刃を隠すもの』


 ……なるほど、見るからに少女は男に師事している様子。

 おそらくは師弟関係なのでしょう。

 そうなれば必然的に、命の恩人である渋いおじさまは……あの少女より桁違いの実力者なのですね。

 何も感じられませんが、きっと想像もつかない技術で己が秘めたる無尽蔵の魔力を隠しておられるのでしょう。


「あ、あの……わたくしはノワール・リリィ・ノクスフェルムと申します」


 改めてわたくしが名乗れば、男は静かに視線をこちらに戻してくださいました。

 彼の目がわたくしの両腕と両脚を這ったところで、自分が未だに【黒狼】と共鳴状態であると思い出します。



「————おもしろい、【夜獣(やじゅう)使い】か」


「ッ!?」


 彼が口にしたのは、ノクスフェルム伯爵家の秘奥中の秘奥。

 他家に口外などしたこともない、一子相伝の秘技名をなぜご存じなのですか!?

 それにたった一目で見抜いたご慧眼……わかってはおりましたが、やはり只者ではありませんわ。


「以前はよく、PvPで苦戦したなあ……」


 遠い目で在りし日々を語るその横顔は、まさに歴戦の猛者でした。

 彼が語るのはいつの時代で、彼はいつから戦い続け……その過去に何を背負っているのか。18年間しか生きていないわたくしでは想像できない重みを感じましたわ。


 いつまでも彼のまとう不思議な余韻に浸っていたいと、抗いがたい欲求をどうにか抑えます。命の恩人に対し、ノクスフェルム伯爵家当主として恥ずかしくないよう振る舞わなければ。



「このわたくし、ノクスフェルム女伯爵をお救いいただき感謝いたしますわ」


「礼など不要だ————俺は何もしていないからな」


 衝撃すぎる発言に、わたしは眩暈すら覚えました。

 な、なんて無欲で……謙虚なのでしょう。

 仮にも現伯爵であるわたくしの命を救ったとなれば、褒賞は思いのまま。しかし彼は、そんなものには興味がないと一蹴してきたのです。


 か、彼はなんと真っすぐなのでしょう。

 わたくしが女伯爵として伯爵領を継ぐと、男性貴族たちはこぞって言い寄ってきましたのに……。

 王国は基本的に、女性は爵位を継げません。ですから暫定的な女主人としてノクスフェルム伯爵領を統治していると周囲には映ります。つまり、実質的に次なるノクスフェルム伯爵の地位に就くのは、わたくしの伴侶となる男性。

 そんな未来を狙った貴族たちが、わたくしに邪な視線を幾度となく向けてきました。それら有象無象と比べ、この御方はなんと澄んだ瞳の持主なのでしょうか。


「ああ、でもこいつには何か言ってやってくれ」


 弟子を立てる師とは……師弟愛が眩しすぎますわ。

 もう、ぶっきらぼうながらも子供を慈しむ姿が尊すぎますわよ。



「ぱぁぱのお願いが、私の願い」


 ぱッ、パッパ!?

 親子でしたの……?


 いえ、でもお二人のお顔立ちは似てはいませんわよね?

 あっ、わ、わたくしったら! 命の恩人の過去を詮索するなんてはしたないですわ。きっとわたくしには想像もつかない経緯があって、訳あり少女を自分の子とし、守りながら、影を背負いッ! 運命に抗いながら旅を続けている御仁なのですわ!


 淑女たるもの、無粋な詮索はいたしません……!

 んんんん……ですが、ちょっと、ちょっと素敵すぎませんか?

 

「そうは言われてもな——」

 

 義娘から義父に向けられた絆も尊く、そして少し困ったような顔を浮かべるおじ様も尊すぎますわ。


「わたくし、いかような願いも全身全霊で叶える所存でございます」


「じゃ、じゃあそうだな————近くの村や街まで、道案内を頼めるか?」


 たたたたた、たったの、それ、だけ、ですの……!?

 無欲すぎる彼の態度に、お父様の最期の言葉がよぎります。


『いいか、我が最愛の娘ノワールよ。真実の愛とは、何も望まず、ただ守り、慈しみ、与え、捧げ、支え合うことなのだ』


 わたくしは恥ずかしながら、そんなのは幻想だと感じておりました。

 ただの綺麗事で、結局は欲や打算に塗れたのが人間だと諦めておりました。


 ですが、今まさに……。

 お父様の遺言を体現したかのような人物がいるのです。

 わたくしの地位や家名を聞いてもなお、何も求めず、ただ目の前のわたくしを助けただけの御仁に出会ってしまいましたわ。

 自身の全てを捧げながら娘を庇護し、何かと戦い続け、そして支え合っているかのような……そんな殿方に。


 本当の、真実の愛に触れたのだと、確信しそうですわ。

 それでも卑しいわたくしは、信じ切れないわたくしは、あまりにも無欲な御仁に再度の確認を取ってしまいます。


「あの、そのような些事でよろしいのですか……?」


「————いつの間にか、色々と見失ってしまってな。今はただ、わかる者と同じ道を歩めればいい (道に迷ってしまってな)」


 その言葉にわたくしはハッといたします。

 わたくしもまた、勇者ウェイを憎むあまりに……自身の道を見失いかけていたと。

 勇者ウェイをこの手にかけてしまえば、それこそ本当にノクスフェルム家は逆賊となってしまうでしょう。

 そうなれば、わたくしが守るべき領民の生活も脅かされてしまいますわ。


 きっと彼もまた、彼の道を踏み外しかけ……幼い少女と出会い、絆を育むうちに修羅の道から帰還できたのかもしれません。

 だからこそ、わたくしの危うい精神状態にもいち早く気付いてしまったと。

 そして今、わたくしが落ち着くまで一緒に歩んでやろうと、慈悲まで示してくださいました。

 おそらく道案内を頼んだのも、わたくしを落ち着けるための方便なのでしょう。


「喜んで、わたくしの領地をご案内させていただきますわ」


 わたくしは冷静さを取り戻しながら、その御仁と少女と、同じ道を歩き出します。

 すぐ近くの、【猫丘きのこ里(ニャッシュルーム)】を目指して。


 ————ただ、なぜか心臓がトクトクと強く脈打ち。

 この高鳴りは、一向に落ち着きを取り戻してはくれませんでした。




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